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実感しながら 1
その後身悶えるような緩やかな性交をもう一度したスーランの魔力量はほぼ満タンになった。
そして起き上がった時のシーツに散らばっていた血の存在に驚いた。
何でも命繋ぎの剣で斬った切り口から流れたバウデンの血をスーランに口移しで流し、命を繋げたという話を聞く。
「バウデンはどれくらい削れてしまったのでしょう…」
ようやくスーランから少しだけ離れることが出来るようになったバウデンは一度外に出て湯の準備や食事を頼みに出て戻ってきたところで尋ねてみた。
バウデンは首を傾げながら「例えにはなるが」と前置きしてから話し始める。
「人族の寿命は長くて百年弱。獣人はその倍とまではいかないが、百五十年弱か。俺は約四十年生きているから残り百年だと仮定してそれを半分にした五十年となる。スーランと共に五十年居られるなら安いものだ」
獣人の寿命は長いと聞いていたが思った以上ではあったが、それでも五十年の寿命は大きい。
垂れ目を更に下げたスーランの頬を指の背でさらりと撫でながらバウデンが続ける。
「俺は微塵ほどにも後悔などしていない。スーランには悪いが、あの時お前が命を削って俺を生き永らえさせたとしても、お前が居ないなら生きる気力なんぞ無かった。お互い様だ、文句は言わせん」
スーランの顎をついと上げてバウデンの口が落ちてくる。
「スーランが俺を救ってくれたから、俺がお前を救えた。これであいこだ」
「まあ…はい。それで手を打ちましょう」
「お前な…」
そう答えながらもバウデンの表情は満足気だ。
命を削ってでもスーランと共に生きたいと願ってくれるなら、それをスーランは喜んで受け入れるのみだ。
バウデンが再度膝を付き寝台に座るスーランと目線を合わせる。
「今後は俺に隠し事はするな。絶対だ」
「元々漸減症くらいしか隠していなかったというか…」
「約束しろ」
「…全部思ったことそのままですかね?」
「そうだ」
「はあ。わかりました」
バウデンは一つ頷き、またちゅっと軽く口づけをした。―――この時のことを彼は後にそこそこ後悔することとなる。
「耳飾りを付けてくれてたんだな」
バウデンが色褪せたスーランの耳飾りを見せてくれた。
「はい。ローブの内側に入れてずっと持ってはいたんですが、あの時は魔力が失くなる可能性が高かったので直接付けました」
「ずっと持っていたのか」
「そりゃそうです。物をもらってこんなに嬉しかったのは初めてだったので。失くしたくないから付けなかったけど」
スーランが思ったことをそのまま伝えると、何故かバウデンは口元を覆い横を向いてしまった。
でもバウデンから初めてもらった耳飾りの輝きが失われてしまっていることがとても悲しい。
「色がくすんでしまいました…」
「魔力が空だからな」
「バウデンのもそうでしたね」
「ああ。また魔力を入れ直す。スーランのも一緒に」
「…!嬉しいです。また肌見離さずに持ち歩けます」
バウデンが今度は目元を覆うのだが、スーランは性交後の心地良い疲労感に大きな欠伸をして気づかなかった。
その後、ここは公爵邸ではないので二人で湯に入ることになりスーランは甲斐甲斐しく世話をしてくれるバウデンの好意に大いに甘えた。
そこでまたムラムラしたスーランにバウデンは襲われてしまうのだが、まあ想定範囲内である。
湯を浴び終え部屋に戻ると寝台は綺麗に整えられ、既に用意されていた食事をバウデンが給餌してくれるのをスーランは難なく受け入れた。
楽ちんだと思いながらぱかりと口を開けて待っている姿を、バウデンが悶えながら遂行していたことは気づく由もなかった。
「スーランさん!!」
キリウは一度屋敷に戻り、臨時の主として屋敷の者におおまかな概要を伝え、番同士の二人がこの先も婚姻生活が継続されることを伝えると屋敷の面々は狂喜乱舞したのだとか。
主の番が現れたこと、そしてスーランの世話が今後も出来ることを殊の外喜んでいたのだという。
寮の人達といい、屋敷の皆といい、本当に奇特で人が良いなぁとスーランは思った。
王宮から借りた夜着を着ていたスーランはまだ目元が赤いキリウに向かって両手を広げるとキリウが飛び込んできて…嗚咽が始まった。
―――親子で良く泣くなと思いながらよしよしと撫でて上げていると、少し遠くから限定ではない本物の伴侶となった人物から「今回だけは特別だ…いつもなら十秒までだ」と心狭い呟きが聞こえてきた。
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