余命の残りを大切な人にくれてやります

きるる

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鷹の囲い込み 2



スーランだけに向ける感情と攻撃性。
それが愛しくて仕方がない。
それは認めよう。
だがしかし。
はっちゃけるのにも程がある。

性欲も関心も薄いと宣った言葉を是非とも撤回して欲しい。

許してと言っても悦ばれ、啼けば啼くほど興奮し高揚され。

とどめにあの瞳孔の開いた獰猛な瞳はスーラン専用でしか発揮されず最早反則行為なのである。


十日間の蜜月休暇。
長くないかと思っていたが、今考えればこのままだとスーランはまず十日どころでは済まないだろう。個人的には最終日二日間ほど身体の休息日にしてくれと切に願う。


先ずは確定事項で歩けない。
そして椅子に座ることすら困難必須の可能性も大いにある。
更には精製や魔術に集中することすら出来ず涎を垂らして眠る自信しかない。



昨夜スーランはどこで意識が失くなったのかも覚えておらず、ずっと身体が快感に浸っていたような気がする。口も身体も心の全てがバウデンに囚えられたように僅かにも動けなかった。


そして昼過ぎにお腹がくるると鳴って目が覚めると、スーランの首元に顔を埋めてすうすう眠る満たされ顔のバウデン。

そしてスーランの腟内には、未だにバウデンの雄がしっかりと陣取っていた。その周りがぐちゃぐちゃに滑っていたので、どれだけ致したのだろうとスーランは若干戦慄く。

マジかと思いながらももぞもぞ動いていると、何故かバウデンの雄がむくむくと大きくなっていく。どこまでご健勝なのか。

ちょっと待ってくれと焦りながらスーランは何とか抜こうとしていると、ちぅっと首元を吸われた。恐る恐る見るとレモン色の瞳をとろりとしながらスーランだけに微笑むバウデンにさっと頬を染める。

そしてそのまま身体を覆われてしまい埋め込まれた剛直が動き出す。スーランの声は喘ぎ過ぎて枯れており、その声が余計堪らないと何度も口付けながら、更に悶える声を出させようと何故かバウデンは精を出してしまった。

朝一から参りましたな虚脱状態スーランにひたすらくっついて離れないバウデンは、いつの間にか湯を張られた浴室にいそいそとスーランを運び、使用人かと思うくらいの手慣れた動作で全身隈無く洗われた。

二人で湯船に浸かりひたすら口づけはされたが、流石にそこでは致すことはなく上がった。
…後日しっかりと浴室でも致すことにはなったのだが、それはスーラン先制である。

バウデンは嬉々として「ドリス達からやり方を聞いた」と言いながら、声はガラガラ、腰はカクカク、足はガクガクのスーランの全お世話を担い、身体を拭き、顔と全身に保湿剤を塗り込め、髪を丁寧に拭ってくれた。

スーランは生まれて初めて体力づくりをしておくべきかと微かにだけ考えた。



「スーランの髪は美しいな」


一房取ってそこに口づけする恍惚顔のバウデンの美麗なことといったら。
そんな顔もするんだとスーランはもう心がいっぱいっぱいである。

訝しげな顔から焦る顔、困った顔、怒った顔、呆れた顔、泣いた顔、喜んだ顔、微笑んだ顔、蕩けた顔。

バウデンの表情をコンプリートしたかのようなこれらはスーラン限定なのである。
そして恐らくスーランの表情もバウデン限定にしか見せないものは沢山あるのだろう。

寝台で膝上に乗らされたスーランはワゴンに乗ったほかほかの食事をバウデンが己の仕事とばかりに給餌してくれたので遠慮なく受け入れる。

程良く手も持ち上がらないし、震えているのだから仕方ない。
そうでなくてもしてもらうのは良きに計らえなスーランではあるが。




「今後は研究の為でも、番避けの薬と避妊薬の服用は禁止だ」


これにはいつも以上にぼけっとしていたスーランも反撃するが、「もうある程度薬は出来ているものばかりで、服用するのがスーランでなければならない理由はない」と聞く耳を持ってくれない。

確かにそうではあるが、作った本人が被験者になる前提の考え方であるスーランは何とか反論しようとする。何よりも避妊薬に関しては飲まないと、あっというまに成就してしまいそうな予感しかしない。

だがとどめに「本心を言うなら屋敷から一歩も出したくないくらいだ。ぼーっとしながらあちこちふらふらして知らない雄に捕まったら、俺は片っ端から仕留めにいくぞ」と軽く、いや本気で脅された。

スーラン的にはそこまで意外に無防備ではないと主張するが、バウデンはやれやれと言わんばかりの溜息を吐かれ、また離れなくなった。




食事を終え、不意に左側の首元を噛まれたことを思い出したスーランはバウデンにお願いして手鏡を持ってきてもらって見たのだが。


「…もう模様がほぼ鬱血痕で覆われて見えないんですが」


鷹の羽のような模様とグロリオサのようなうねった花びらが拳大に出現しており、とても美しいはずなのに周りを埋め尽くすような鬱血痕が物凄い。


「これで俺の唯一だと知らしめられるからな。消えればちゃんと見えるようになるが暫くは無理だ」


バウデンが悪びれもなく宣うが、これはもうまるで痣のようにしか見えない。


「所詮魔力補充とお互いの気持ち良さを求めるだけの相手だったんですから、そんな酔狂な人いませんよ。バウデンくらいです」


スーランはそう主張したが、バウデンは更に溜息を吐き「それはお前がそうとしてしか見ていなかったからだろうが。…まあ良い。スーランはそのままの認識でいろ」と言うので、素直に頷いた。


そしてその後も用を足す時くらいしか離れなかったバウデンは、なんと八日間丸々スーランを夫婦の寝室から出さなかった。

基本はひたすらスーランの首元に顔を埋め腰に腕を巻き付けてくっついている。
ぼそりと甘える言葉を溢したりスーランのつれない返事に拗ねたりしながらも離れることはない。
朝昼晩と獣人本能スイッチが入るとスーランの声が掠れるまで寝台に翼で包囲される。
スーランに会いたがるキリウに対しては掛布でぐるぐる巻きにされたスーランとの対面だ。
親子だろうに。





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