余命の残りを大切な人にくれてやります

きるる

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番外編:使用人は見た!公爵家夫妻の情事と癒しの現場【限定婚姻編】1





「―――以上です。…無欲というか…偏った欲の度合いが突出しているという印象でした」


本日も漆黒の燕尾服を完璧に着こなし、くすんだシルバーの髪を綺麗に撫でつけ、一つの隙も無い出で立ちのイーガンは主の帰宅後にいつもの報告…今日に関しては期間限定で迎えた婚姻相手のスーランの話題をメインに報告を終えた。


「…だろうな」


ホークル公爵家の当主バウデンは、昨日スーランとの期間限定婚姻の決定をイーガンにぼやき、既にキリウより周知していたことを伝えると「…そうか」と儚げに遠くを見るという珍しい光景を目の当たりにした。

本日はそこまでではないが、ふうと溜息を吐きながらローブを脱ぐのをイーガンが受け取る。


「それとドリスより、…入浴中にやらせろとぼやいていたと…」


そしてこの言葉に何かを思い出したのか、「…はあ」と何も言わず…言う元気も無くなったのか、無言で服を脱いでいた。

スーランの薬開発による貯まっていた褒賞と、国王からの召集により丸め込まれたらしいバウデンに、イーガンはお迎えしたスーランの舌鋒に僅かに見てみたいと主の従者としては些かよろしくない思いを胸に秘めながら、主の世話を焼く。


そしてバウデンが食事と入浴を終えた少し後、スーランが酒とグラスをそれは重そうに持ちながら、バウデンの部屋の扉を足で叩くという場面に遭遇し、扉の中に入っていくのを遠目で確認しイーガンは戻って行った。


翌朝。
イーガンはいつもの時間に部屋の前に訪れる。

スーランからは共に眠らないと聞いていたが、万が一があるので少しだけ扉の前で深呼吸をしてからノックして入る。

すると珍しくカーテンが閉まったままで陽射しも入らず部屋は暗いままだ。

いつもイーガンが訪れた時はバウデンは既に起きて居ることが殆どなのだが、寝台ですやすやと眠る姿に些か驚く。

眠りが深いというか、とても良い睡眠をとっているという感じに、イーガンはこのまま寝かせてあげたいと思ってしまったが、本日も仕事なので仕方ない。

声を掛けるとゆっくりと目を開け、「…イーガンに起こしてもらったのは久々だな」と本人も驚く様子で体を起こした。

そして睡眠だけでは有り得ない寝乱れた格好とぐしゃぐしゃの寝台の様子に、恐らく性交を無事に終えたスーランは本当に部屋に戻ったのだろう。

何だか少し寝惚けている様子がいつもの主らしくなくて、でも人らしくてイーガンは思わず目を細めながらも「恙無く終えられたようで」と声を掛けるとバウデンは起き抜けの爽快さを隠し、無言で浴室に向かっていく姿に僅かに口角が上がってしまった。



*****************



「帰宅直後のバウデンさん襲ったのマジ楽しかったし興奮したなー」


スーラン専属のドリスもフリアもそれなりにスーラン発言には耐性がついていた、はずだった。

スーランの突如発せられた無遠慮な言葉に、頭を洗っていたドリスは手の加減を僅かに強くしてしまい「あー今の刺激強くて良いーもっと」と謝罪する前に喜ばれ、そろそろ手のマッサージをと近づいていたフリアは足元がつるんっと滑りそうになったところを意地で体勢を整えた。


「襲った…ですか?」
「そうそう。ほら、私が庭で寝ていた時に起こして抱っこしてくれた時」


それはドリスもしっかり覚えている。その後イーガンから「スーラン様の入浴の準備を」と急に言われたのだ。

返事をしながらも食事前に?と首を傾げていると「中から二人のやり取りが聞こえたので」と淡々と答えるイーガン。

空気を読むのが上手いグェンが「要はスーラン様が旦那様を上手く丸め込み部屋に入った時点で事が始まるってことですよ」と補足してくれたことで、ようやく意味が分かり顔を赤くしながら準備したのだ。


「ちょっと嫌がりながらも快楽に呑まれていく過程が堪んないよね」
「さ、左様ですか」


フリアもそれ以外答えようがないらしい。ドリスも大いに同意する。


「これで期間限定が終わったら、バウデンさんも自慰ばかりでなくそれなりに発散できるね。めでたしめでたし。あー…気持ち良い」


その言葉にドリスとフリアが目を合わせる。

そう。これは期間限定なのだと改めて認識させられたのだ。

スーランが来てまだ間もないが、ドリスは勿論フリアも既にこの先ずっとお世話するつもり…いや、お世話しなくてはと言う気持ちに勝手にさせられていた。

現在自分達が行っていることがそのうち出来なくなるという未来に何だかとてもやるせない気持ちになったのだった。





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