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番外編:使用人は見た!公爵家夫妻の情事と癒しの現場【永久婚姻編】1
番絆になってから。
バウデンとスーランの関係は見違える程に変わる―――ことは殆どなく。
相変わらずスーランは屋敷内のどこでも寝る。
本当に面白いくらい寝る。
そのままを表現した、名は敢えて伏せるがあの動物のようである。
時には庭の敷物の上で。
時には階段の途中や廊下でも力尽き。
時には厨房で飲み物を待っている時に。
時には倉庫に探し物を取りに行き帰って来ず。
時には応接間でぱかりと口を開けながら。
時には最愛の膝でたらりと涎を垂らしながら。
スーランの眠る姿はとても気持ち良さそうに幸せそうに眠っているので、気付いた使用人一同はどうしてもの時以外は基本そのまま好きに寝かせたままにしている。
今では屋敷の至る所に専用のブランケットが置かれているくらいだ。
食堂にて。
「スーラン様…スーラン様」
ドリスが何度か声をかけるが、最後の残っているトマトにまたもや敗北を喫したスーランが不貞寝のようにうとうと頭を揺らしている。
本日に限ってはバウデンもキリウも居ない。
どうしようかと悩んでいると、グェンが通りがかったのでドリスは中々起きないことを相談する。
「ああ、対処方法があってさ。この前やってみて成功した」
グェンが皿に残っているトマトをぷすっと刺してそっとスーランの手元にフォークを差し込んだ。
「スーラン様。ちゃんと仕留められていますよ。小賢しいトマトを」
すると、揺れていた頭が止まりすっと目が開くスーラン。
「―――本当だ」
「恐らくスーラン様が力尽きる前に刺せたのかと」
「…日頃の恨み、思い知れ」
フォークを持ちトマトを睥睨する視線を隠しもしないスーランはぱくりと頬張り、厳かに一つ頷いて「ご馳走様ー」と立ち上がり去っていく。
「凄い…」
「トマトへの飽くなき挑戦は睡眠を誘うが、同時に眠気からも覚ますってね」
くすりと笑うグェンにドリスも可愛らし過ぎる大好きな奥様についつい微笑んでしまった。
玄関先にて。
「階段を昇る手間を考えて早々に諦めたのでしょうか」
「まあ、敷物での休息がありませんでしたからねぇ」
玄関に入った作業着の上を脱ぐ場所で蹲って力尽きていたスーランを見ながらイーガンとボーグが推理をしている。小雨が振っていたので、いつもの休憩が取れなかったことが原因のようだ。
「応接間とかまで何とか移動すればソファで寝れるのに何故ですかねぇ」
「その距離すら無理だった感じですね」
イーガンが起こしてみるが、ちらりと目を向けたスーランが抱っこできる相手ではないと思ったのか、もそもそと顔を戻したので、諦めてドリスにブランケットを持ってこさせた。
「あれ。スーランさん?起きれなくなったんですか」
そこに帰宅したキリウが近づいて、つんつんとスーランを構っている。
「たまには僕が抱っこして運びますか?父上は今日帰りが少し遅いそうです」
「――――んー…キリウ、手を引っ張って起こしてくれー」
「ふふ。はい」
前ならば遠慮なくキリウにお願いしていただろう。
でも今のスーランは無意識の中で抱っこをしてもらうのは、抱っこしてもらいたいのはバウデンなのだと認識していることにキリウ始めイーガン達も微笑ましくなる。
その後食事もせず部屋で眠ってしまったスーランを遅く帰宅したバウデンが抱っこしながら食堂に下りてきた光景に何だか皆胸がじわりとしてしまった。
*****************
「―――え、何て言った?」
「丁度先ほど旦那様も帰られて湯を浴びているそうですよ」
スーランが湯から上がりドリスとフリアが髪を拭っている時であった。
「ナイス情報。最近咥えてないから今しかない」
「え、スーラン様…!?」
スーランは傍にあったガウンだけをさっと羽織り、まだ濡れたままの髪で普段の数倍俊敏な動きで部屋を飛び出して行った。
「フリア。スーラン様の夜着を」
「は、はい!」
ドリスは使うだろう大判のタオルを数枚抱えスーランの後を追う。
扉をノックしバウデンの部屋に入ると、既に浴室の方から「スーラ、―――っ!」とバウデンの驚く声と、ドボォォォンという水飛沫の音。
そして「ちょ、おい…!っ―――」というバウデンの焦る声。恐らく湯船に飛び込んだスーランがバウデンのアレに目掛けて突撃したのだろう。
我が主の婀娜っぽい声が聞こえる前にドリスはささっとタオルとフリアが持ってきた夜着を置いて、使用人の鑑の如くパタンと浴室の扉を閉め直ぐ様イーガンに報告しに行った。――――少し顔を赤らめながら。
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