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悪夢の元凶 1※※
ホットミルクに入れられていた違法だろう薬。
薬によって無理矢理引き出される暴力的な快楽。
身体を固定されながらの終わらない律動。
身体中に付けられる鬱血痕。
上も下もひたすら蠢く気持ち悪い滑ったものが這う。
時に腕を固定させられどこにも行けない。逃げられない。
『――――っはっは…ああ、リア、リアリア…気持ち良いね』
耳元で悍ましく囁く死ぬほど大嫌いな声。
『リアは私のものだよ?ずっと…永遠に私だけのもの』
私はお前のものになったことなんかただの一度も無い。
『沢山愛でて、愛して、リアだけを可愛がるから…あれはその為に婚姻したに過ぎない…私が愛しているのはリアだけなんだよ…?』
気持ち悪い。
『まだ幼いから…今は私との行為がちょっと怖いだけ…。大丈夫。時間をかければ私がどれだけリアを愛しているかわかるからね…その時にリアは私の子を孕むだろう』
気持ち悪い、気持ち悪い。
『今はちょっとだけ動揺してるだけ…思春期だから仕方無い。…うん、私は全部わかっているから』
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…!!!!!
何一つ知らない癖に!!!
『ああ……リアの中は最高だ。…っ私の雄を好きだ好きだと搾り取ってくる。―――さあ、受け止めて。私の全部をあげるよ』
要らない要らない要らない!!
止めろ!!悍ましい!!!
シュナはカッと目を見開いて目を覚ました。
視界が歪み、息は荒い。体は強張り、微かに震えている。
目の前の部屋の光景が記憶に無く、万が一にも声を漏らさないように手で口を覆いながらゆっくりと息を整え記憶を遡っていく。
そしてシュナの腰に回された綺麗な指を見て、ようやくここが何処か理解した。
心臓は恐ろしいほど鼓動を速め、口を覆ってもはっはっと息を乱していたシュナはゆっくりと動くと腰に回っていた腕は難なく解けた。
殊更ゆっくりと動き寝台からずり落ちるように滑り降りたシュナはその場に蹲り、いつもの暗示の如く己に言い聞かせる。
(落ち着け、落ち着け。いつもの夢、大丈夫。今のは夢で、現実ではない)
肩を動かしながら後ろで眠っているだろう相手に気づかれないようにゆっくりと深呼吸を繰り返す。
いつもよりリアルな夢だったからか、なかなか喉の震えが治まらない。それでもぐっと目を瞑り喉を押さえながら、負けるなと根性で頭の中に暗示をかけていく。
それでもシュナがほぼ毎晩のように十年以上見続けている夢の元凶の顔を嫌でも思い出した。
****************
シュナはロンダース国で平民として生まれた。
母であったジュリア、人族の女は二十歳でシュナを産んだ。相手はどこかの貴族で不倫だったので名前を教えてくれたことはない。
ジュリアは恋に生きる女でシュナは彼女から母として愛されたことは一度もない。
暴力の虐待を受けたことはなかったが、小さい頃から家に男達が訪れると、部屋から出るなと厳命されシュナはいつも母親の喘ぐ声を聞かされて育った。
狭い部屋には飲み物と食べ物だけ置かれ、何時間もシュナはその声を聞きながら過ごさなければならなかった。
ジュリアの見た目は儚い印象のブロンドの髪を靡かせる美しい女の部類ではあるだろう。シュナが小さい頃にはひっきりなしに男が訪れていたイメージしかない。
いつも雄に媚び、身体を開き、愛を求め、それが相手にとって重くなると捨てられ、そしてまた新しい雄が来ての繰り返しだった。
ジュリアから生まれたシュナもそれなりの儚い容貌をしていたからか、訪れる雄の中には幼いシュナまで手を出そうとする輩もいて、シュナはいつも怯えながら極力彼らと会わないように閉じこもっていた。
それなのに、ジュリアは「あんたなんてまだお子ちゃまなんだから、私の邪魔しないで。物珍しいだけで魅力なんてないんだから」とまるで人を悪女扱いするかのように対女として見られることもあり、到底親ではない態度をいつも取られていた。
そんな生活を繰り返していたのでシュナはまともに学校も行ったことがない。部屋から出られないと外にも出られなかったからだ。
学校から支給された教科書とジュリアの気紛れでたまに与えられる本を何度も読み返し、本は全て使い古されるくらいにくたくただった。
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