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香りが傍にあれば 3
「何も面白いことないと思うけど」
「そんなことないよ。花屋久々に行ってみたい」
ある日シュナが公園散歩を経て花屋に向かっていると、ちょうど遠征帰りの軍服姿のイアンと会った。
そこでシュナの行く花屋が見てみたいと言うので共に向かう。
「あ、シュナさん!いらっしゃいませ!」
元気良く対応してくれたのはだいぶ仕事も対応も身について様になってきたポックだった。
「ポック、こんにちは」
「今日はイランイランの新しい苗が入荷しています!―――あ、彼氏さんですか?初めまして!」
「ポックー、違うから」
「こんにちは。イアンです。なかなかこっち振り向いてくれなくてさー」
もうそこいらの女性なら一発で落ちるだろう素敵な笑顔だ。ポックは青年なのにイアンの綻ぶ美麗な笑顔にぽっと頬を染めた。
「ちょっと。一般女性と同様にポックすら虜にする気?」
「え」
「残念だけど、僕そっちはいかないんだよねーポック君はそっち?それとも両刀?」
「え!?」
「イアン、こら」
ポックはますます頬を赤らめる。
「いいいいいいえ!僕は普通です!女性だけです!」
「それは良かった」
「ほら。またその麗しい笑顔を見せるからポックが赤くなるんだってば」
「えー普通なんだけどこれ。それなら僕どうやって微笑めば良いのー」
「あれよ。胡散臭そうなやつ」
「えーそんなのあったっけ?」
「あるある」
シュナとイアンの遠慮のない会話にポックがくすくすと微笑む。
「何だかちょっとした漫談みたいに楽しそうですね」
「そ?楽しんでくれたなら良かったわ。イランイランの苗二つと、ラナンキュラスの朱色を数本お願いしまーす」
「はい、了解です!」
シュナは他の花々を見ているとイアンが話しかけてきた。
「シュナは本当に花が好きだね。目がきらきらしている」
「まあいつもは淀んでいるからこんな時くらいはね」
「ふはっ。淀んでなんていないけどね」
そんな会話をしながらイアンは報告しに薬屋に行くというので共に帰路に着く。
「最近遠征が多くってさ」
最近は当然のようにシュナの手を繋いで歩くイアン。それが心地良く始めこそあーだこーだ言っていたが、狡猾な孔雀の言葉にはなかなか勝てずに…勝とうとするつもりもなかったりする自分が居た。
そう言えば遠征の話は前にも言っていたなと思い出す。
「遠征だから周辺の国ってこと?」
「うん。特殊部隊としてもだけど、今はどっちかって言うと裏仕事みたいなものの方が多いね」
恐らくエリックも関わる事柄なのだろう。
「詳しくは言えないんだけど。ちょっと隣国からよろしくない薬が出回り始めていて。今はその情報の確認みたいな感じ」
「そうなんだ」
よろしくない薬。
「バロアス国では媚薬自体精製が基本禁止されているからね。あるにはあるけど、バロアス国のやつは可愛いものばかり。でも他の国には結構やばめのもあったりする」
媚薬。シュナはひゅっと息を呑みそうになるのを何とか抑えた。
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