トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

文字の大きさ
65 / 140

イアン 2






だがイアンは特定の付き合いを誰ともすることはなかった。雌というものは身勝手で簡単に裏切り、表の皮とは裏腹に悍ましく醜い生きものであるという認識になっていたからだ。

それならばこちらも性欲発散の目的として、ちゃんとお互い合意の上で性交することを徹底した。

案の定イアンに夢中になる雌は幾らでも湧いてきたが、その度に醜いものと再認識させてもらい性欲発散の道具にしか見られなくなっていった。

こんなことを繰り返しているので巷では女性を食い散らかす『正統派のクズ』という異名をもらい、よりヤりやすくなったとイアンは喜んだくらいだ。

その後ローアンに番が現れたことで、イアンは本当に犯されて良かったと心から二人を祝福し、イアンは自ら離れに移ることにした。

兄と番絆との仲睦まじい様子を邪魔したくはなかったし、過去のことで変に気遣われるのも嫌だったからだ。

同時期に王都の街近くに屋敷に帰るのが面倒な時と、雌を連れ込む専用の部屋も借りてイアンは悠々自適な生活を送っていた。

唯一のトラウマと言うならば、元々眠りが浅かったことが余計に浅くなり、雌と事後のあとも横になって目を閉じるくらいでぐっすりと眠れることなど無かった。


部屋借りに難色を示したのは、イアンをあの時助けてくれた専属メイドだった。

彼女はイアンが特殊部隊として、将来を見据え始めた時に父親と共に社会経験として、とある奴隷市場に赴いた時に出会った。

彼女はバロアス国には珍しい蠍族の一人で、以前から仲良くしていたエリックの右腕の人物と同じ特殊な瞳をしている。

蠍族は類稀なる能力で希少価値が高く、その昔奴隷として囚われ道具として使われていたらしい。奴隷市場の檻でどんな相手にも殺伐とした視線を向ける彼女の特異な目。

それが気に入ったイアンは父親に我儘を言い、その蠍族の末裔の一人、ターニャを引き取ったのだった。


「定期的に掃除だけは伺いますが、ちゃんと帰ってきてくださいよ。イアン様が居ないと私の仕事がなくなるんで」


可愛い言い分につい噴き出してしまうが、微笑んだところを見たことがないターニャはイアンを雄と見ない貴重な存在で、日々の生活の様子から忠誠を誓うようになった変わり者だ。

だがそこそこ口煩いので辟易しながらも、雌の視線を向けないターニャとはなんやかんやで仲良くしていた。

その後イアンは無事特殊部隊に入り、学生の頃から馬の合う親友のフェリウスと共に任務に赴いてはそれなりに成果を出し楽しい生活を送っていた。



フェリウスは黒豹族で特殊部隊統括総帥を父に持つレオダッド侯爵家の嫡男だ。

癖のない漆黒に輝く髪に銀色の瞳。イアンとはまた別の美しさと色気を兼ね揃えた青年だ。

黒豹族は代々特殊部隊に属し、フェリウスの能力は特殊部隊に特化しているといっても過言ではないくらいの身体能力を持つ。

ピーフォック家と系統は違うが、国の諜報や裏で暗躍する動きに適しているのだ。

イアンは世渡り上手でうわべの付き合いが上手く、狡賢く頭が冴える。対してフェリウスは身体能力と判断力が秀でており、そんな二人が共に任務に赴くと成功率は格段に上がった。

相手を屠る能力は圧倒的にフェリウスが上だが、イアンは拷問を得意とする。

甘く微笑む顔で行われる悍ましい拷問の数々はピーフォック家直伝である。フェリウスすら内容によっては眉を寄せて嬉々とやるなと言われるくらいだ。


新人当初は色々な場所へ遠征に赴き、戦闘や小さな任務をこなした。戦いで興奮すると滾りやすくなるので、そういう時は地方の娼館で発散していた。

特殊部隊は基本王国内よりもその周辺での任務が多い。イアンは次男であるし、伯爵家はローアンがいるのでピーフォック家は安泰だ。

この先もずっと特殊部隊に属し、時折旅のようにあちこち出向けることが楽しいので、性欲がなくなるまで適当に発散しながらこのまま独り身でのんびりが一番良いとイアンは思っていた。

唯一の番ならばそのものの考えが変わるかもしれないが、今のイアンにはどうしても誰か一人という考えが無い。

そもそも雌への悍ましさが消えないので難しい。それに番に会える可能性自体そう無いこともわかっているので、この年で既に余生を楽しもうと考えていた。





あなたにおすすめの小説

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした

こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】 伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。 しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。 そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。 運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた―― けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった―― ※「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】「元カノが忘れられないんでしょう?」と身を引いた瞬間、爽やか彼氏の執着スイッチが入りました

恋せよ恋
恋愛
「元カノが忘れられないなら、私が身を引くわくべきよね」 交際一周年、愛するザックに告げた決別の言葉。 でも、彼は悲しむどころか、見たこともない 暗い瞳で私を追い詰めた。 「僕を捨てる? 逃げられると思っているの、アン」 私の知る爽やかな王子の仮面が剥がれ落ち、 隠されていた狂おしいほどの独占欲が牙を剥く。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて

木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。 前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)

【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~

世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。 ──え……この方、誰? 相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。 けれど私は、自分の名前すら思い出せない。 訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。 「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」 ……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!? しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。 もしかして、そのせいで私は命を狙われている? 公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。 全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね! ※本作品はR18表現があります、ご注意ください。