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121.王国(リオネル視点)2
しおりを挟む朝起きて、欠かさずに鍛錬を行う。隣にナルアが居ないことに寂しさを感じつつもいつも通りにこなしていく。いつもならウェンさんやティナさん、テスラさんやナルアと父母、僕で囲っていた机が寂しく思える。
そんなことを考えてもナルアが帰ってくるわけもなく、いつもよりも静かな食事を終える。今日は特に予定も決めていなかった。けれど無性にロウに会いたい。無意識にナルアが居ないことによる寂しさをロウで埋めようとしている。
ロウは突然会いに来た僕を、特に何を聞くでもなく部屋にあげてくれた。
「ロウ…ごめん…突然来て」
「ううん、僕も会いたかったから!ふふっ嬉しいよ」
正直いって我ながら最低だ…。ロウをナルアの代わりみたいに扱うなんて。それでもそんな僕をにこにこと受け入れてくれるロウに甘えてしまう。
「…ねぇ、どうしたの?って聞いても…いいのかな…。リオネル」
家に招き入れてくれて、開口一番そう言ったロウ。よっぽどわかりやすい顔してたんだろうな。ロウの前ではあんまり取り繕ったり出来ないし。
「…うん…話す。…昨日ナルアが魔術学園都市に向けて出発したんだ。それで…ずっと隣にナルアが居たから…その…寂しくなったんだ…」
「そっか…」
「ごめん…最低だって分かってる…ナルアの代わりみたいにして…ごめん…」
「いいんだよ。もっと僕に甘えて?それで…僕なしではいられなくなっちゃえばいいよ。」
「ロウ…ありがとう。大好きだよ」
「うん、僕も大好きだよ。リオネル」
夏休みに入って定期的に会ってはいたけど、唐突に訪ねてきたリオネル。会いに来た彼はまるで迷子の子供のような、とても寂しそうで不安そうな顔をしていた。すぐに招き入れて、聞いてみれば原因はナルアくんのようだ。とても仲のいい兄弟だったからね。
長く離れたことなんてないって言っていたし。会いに来てくれて嬉しかったし甘えてくれるようになったのもとても嬉しい。リオネルはαで、他クラスにいるΩたちに迫られていることだって知っている。それでも僕を選んでくれていることだって。
だからといって僕の不安がなくなるわけもない。Aクラスのトップにいる彼がモテないわけもない。顔だってカッコイイしとても優しくて、剣術も魔法も成績上位なんだもん。
「ねぇリオネル、おいで?」
「ん…ロウ」
こんな甘えた姿を見せてくれるのは僕にだけだ。隈の見える彼の顔。寝かせてあげたほうが良さそうだ。ベッドの上で仰向けに寝転んで、リオネルを呼ぶ。そして、僕の胸元あたりに顔をうずめたリオネルの頭を撫でてあげる。
「おやすみ」
「ん…おやすみ…」
ロウに甘やかされて眠りについた。そして起きたときには、ロウのおかげで元気になっていた。ロウも寝ていたので、しばし可愛い寝顔を眺めて、起こさないようにご飯を買い出しに出ることにした。書き置きも残して、家を出た。
ロウの分と自分の分を買って戻ると、家から飛び出そうとするロウと出くわす。とても慌てている様子で何かあったのだろうか?
「ロウ!どうしたの?」
「え?…あ…リオネル…居なかったから…捜さなきゃって…思って…」
よく見てみれば、靴も履かずに家を出ようとしていたらしい。よっぽど僕のことを心配してくれていたらしい。
「えっと…書き置き残して置いたんだけど、気付かなかった?ごめんね?」
「ううん、ごめん…寝起きで注意力が散漫だった…でも…良かった帰ってきてくれて。おかえり」
「ん、ただいま。ご飯買ってきたから食べよ」
「うん、ありがとう」
僕のことになると随分あわてんぼうになるんだな、ロウは。正直それだけ思われているのが嬉しいし、ロウは本当に可愛い。癒やされる…。それから食事をしながら、進学は辞めて、冒険者になろうと考えていると話した。
冒険者になれば、離れ離れになってしまうことだってあるだろう。活動拠点だって転々とすることになると思う。他国にも行くし、ロウの選ぶ道は、この王国での進学だと聞いている。ロウとも離れることになるかもしれない。だからこそ、一緒にいられる時間を大切にしたいと思っている。
僕の話を聞いたロウは、考え込むような顔をしていた。悩ませてしまっている。それでももう決めてしまった。
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