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第1の異世界ー右腕を失った仮面の王子
第2話 辛い過去
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……俺は幼いころから鉄の仮面を被らされて生活をしていた。
正確には10歳からだ。それは俺の母親がなにものかに殺されて間もなくことだった。
俺の父であるマルサル王国の王を誘惑した貴族の女、サリーノのよって王妃であった母は第2夫人へと落とされ、のちに何者かの手によって殺された。
子である俺は人を魅了して惑わす容姿をしているという理由で、サリーノの命令によって鍵付きの鉄仮面を被らされていた。
「父上」
大臣からの問いかけに窮していた国王へ耳打ちし、助言をする。
「わ、わかっておるっ! 貴様に言われんでもっ!」
ドンと俺を突き飛ばした国王は、先ほど俺の言ったことをそのまま大臣に伝える。
「まったく、貴様は余計なことを言わんでいい。護衛のためにそこに置いているのだからな」
「失礼いたしました」
身体が大きいからという理由でこんなことをさせられているが、護衛などおよそ王子のすることではない。だが国王の命令ではしかたないと甘んじて引き受けていた。
「その不気味な仮面でわしに近づくな。サリーノの頼みとはいえ、貴様を護衛として側に置くななど気味が悪くてたまらん」
「申し訳ありません」
こんなのはサリーノの嫌がらせだ。
あの女は自分の息子であるバルドンを国王とするために、第一王子である俺を貶めて臣下からの評判を悪くしようとしている。
「暗くて陰気な声をだすな。不愉快だ」
「申し訳ありません」
「ふん。そういえば貴様はもうすぐ20歳か」
「はい」
俺は1カ月に20歳となる。
我が国、マルサル王国では次期国王となる者が20歳となったとき、手の甲には王家の紋章が浮かび、王位を継承できるわけだが……。
「貴様が王になど、無いだろうな」
「……」
「貴様の母は下級貴族の娘だ。美人であったゆえに王妃としてやったが、それは間違いだった。サリーノのような上級貴族の美女がいると知っていたならば、あの女を王妃になどしなかった。まあすでに死んでしまったからどうでもいいがな。がははっ!」
「……」
こんな男が父親とは。
反吐が出るとはこういうときに使う言葉なのだろう。
母の殺害には国王も関わっているはず。
しかし主犯は……。
「国王様」
と、そのとき玉座の間へ女と少年が入って来る。
サリーノとバルドンだ。
サリーノは卑しい笑顔でこちらへやって来て、玉座の前へと立つ。
「おお、サリーノっ。美しき我が王妃よっ」
サリーノを前にだらしない声音を吐く国王を見下ろし、俺は心の中で侮蔑する。
「これはこれはハバン様、相変わらず仮面がお似合いですわね」
「恐縮でございます。母上」
「ハバン、貴様はもうよい。出て行け」
「はい」
言われて俺は玉座を離れて、扉へ向かう。
護衛といっても形だけだ。
不気味という理由で、ほとんどは国王の側にいない。こんなことをするなど本意ではないので、それはまったく構わないが。
「生まれの安い者にはお似合いの仮面ですね。兄上」
背後からバルドンの声がするも、俺は足を止めない。
「バルドン、話しかけてはなりません。あのような者に」
「申し訳ありません。母上」
いつもサリーノについて歩いている、母親には決して逆らわない異母弟のバルドン。あんな母親の言いなりな男が王になれるわけはない。
「陛下、いつまであの男をここに置いておくおつもりですか? あんな邪魔な男は辺境へと追放してしまうのがよろしいかと」
「まあ待てサリーノよ。20歳になって紋章が現れなければ、それを理由に追放してやる」
「ではもうすぐですね。ふふふ」
「……」
そんな不愉快な会話を耳にしながら、俺は玉座の間を出た。
こんな日々は不愉快だ。
しかし自分の手に王家の紋章が現れれば変わるはず。
そんな思いで俺は辛い毎日を送っていた。
中庭に出た俺は、弓を持って的を射る。
子供のころから弓は得意だ。
こうして精神を集中して弓で的を射ていると、疲弊した心が癒された。
射る矢はすべて的に命中。
満足した俺は、側のイスに座ってしばらく時間を過ごす。
「ハバン様」
背後から女性に声をかけられる。
振り返ると、そこには長い金髪に赤い瞳の気が強そうな顔をした美少女が立っていた。
彼女の名はソシア・ルン・マリアンド。
上級貴族の娘で、俺より5つ年下の幼馴染だ。
「さあ、わたくしを連れてどこか遠くへ逃げてください」
座っている俺にソシアが抱きつく。
彼女の大きな胸が俺の胸板に押し付けられるが、
「なにを言っているんだお前は?」
心を乱すことなく冷静な声音で問いかける。
するとソシアはじーっと俺の顔を見上げ、
「ハバン様、わたくしに抱きつかれて顔を赤くしてらっしゃる?」
「いや」
「嘘。本当は仮面の奥で赤面をしていらっしゃいますわ。だってこんなに美人で魅惑的なわたくしが抱きついているんですもの。焦って赤面しているに違いありませんわ」
「そう言われてもな」
仮面を取って証明してやりたいが、あいにくとこの仮面は鍵付きだ。
自分の意志ではずすことはできない。
「俺は王になるために生まれてきた男だ。女性に魅了されて心を乱したりはしない」
どんな女性に抱きつかれようと、目の前で裸体を晒そうと心を乱さない。絶対に。
「ふーん。なんだつまらない」
さっきまでの口調を崩してそう言ったソシアはハバンから離れる。
「子供のころの口調に戻ってるぞ」
「こっちが本来のわたくしだしー。あーあ、ハバン様がわたくしを連れてどこか遠くへ逃げてくれたらバルドンなんかと結婚をしなくて済むのに」
「そんなことをここで言うな。誰かに聞かれていたらどうする?」
「わたくしはバルドン様と結婚はしたくありません。あんなデブのマザコンと結婚をするなんて、まっぴらごめんでございますわ」
彼女は同い年のバルドンと婚約させらているのだが、このようにひどく嫌がっている始末だ。
「あーあ。貴族になんて生まれたくなかった。もっと自由で、行きたいところへ行って、たくさんの素敵な男性と出会う人生を送りたかったなー」
「生まれは変えられない。諦めるんだな」
「むー。でも、ハバン様が王様になれば、せめてバルドンとの結婚は避けれるかも」
と、ソシアは頬を染めて俺を見つめてくる。
「そんなにバルドンとの結婚は嫌か?」
「うん。わたくしはハバン様のほうが好きだよ」
「ふっ、こんな顔もわからない男に惚れるなんて変わってるな」
10歳から仮面をつけている。
もはや自分の顔がどんなだったか思い出せない。
瞳の色は青で、髪は金色だったか。わかるのはそれくらいだ。
「ハバン様はやさしくて男らしいし」
「そんなに煽てたってお前を連れて逃げたりはしないからな。さあ、俺はこれから出掛けるからもう行くぞ」
「どこへ行くの?」
「少し遠くの領地へな、鉱石が採れるか調査へ行く」
この国は水害が多い上、海が無いので海産物は獲れない。牧畜をやっている人間も少なく、農作物が水害であまり収穫できない年は食料自給率が極めて低くなる。
しかし鉱山資源が豊富なので、水害のひどい年は採れた鉱石を他国へ輸出し、代わりに農作物などを輸入して食料を確保していた。
「それってハバン様がわざわざ行く必要あるの?」
「他の者に任せたいんだが、他の者じゃわからないって言うんだ。鉱石が採れなければこの国は終わる。俺が行かないわけにはいかない」
「そっか。うん。っと、えと……あの、さっき言ったのは煽ててとそういうのじゃないから、ね」
「うん? じゃあどういう意味だ?」
「それはその……。ふん。もういいハバン様なんてーっ」
たたたと駆けてソシアは行ってしまう。
「変な奴だ」
と、立ち上がった俺は出掛ける準備をするため自室へと戻る。
……そしてそれから1カ月後、20歳となった俺の右手に王家の紋章が現れた。
玉座の間で俺は国王とサリーノ、衛兵や大臣たち、バルドンに王家の紋章を見せつける。
国王とサリーノは絶句し、文字通り言葉を失っていた。
これで俺がマルサルの王だ。
辛い日々から解放され玉座へとつける。
そう思った。
「あ、あれは偽物の紋章ですわっ!」
不意にサリーノが叫ぶ。
「馬鹿な。これは間違いなく本物の……」
「そうだ偽物だっ! 貴様の手に王家の紋章など現れるはずはないっ!」
「ち、父上……」
なにを言われているのかわからなかった。
「黙れっ! 貴様に父などと呼ばれたくはないわっ! この大罪人めっ! 衛兵っ! 衛兵っ! こやつを捕らえよっ! 王家の紋章を偽造した大罪人だっ!」
「お待ちください父上っ! この紋章は偽物などでは……」
衛兵に拘束されながら俺は弁明をする。
「なるほど。偽物でしたか。国王になりたいからと紋章を偽造するなど、なんて愚かな。ハバン様には恥というものがないようですな」
「まったくです。このような恥知らずな者が王になっていれば我が国はどうなっていたか。想像するのも恐ろしいことです」
大臣らは口々に俺を侮蔑する言葉を吐く。
「卑しい兄上だ。血が繋がっていることが恥ずかしいよ僕は」
「くっ」
睨んだ先ではバルドンがうす笑いをして蔑むような視線でこちらを見ていた。
ここには誰も味方はいない。
俺の言葉を信じる者など、誰ひとりとしていなかった。
「そやつの右腕を斬り落とせっ! そして辺境の領地へと追放してしまえっ!」
「そ、そんなっ!? 父上っ!」
「死罪にしなかっただけでもありがたく思えっ! この恥知らずの愚か者めがっ!」
「こ、こんな……」
こんな馬鹿なことがあっていいはずがない。
紋章の現れた俺は王になるはずだ。それなのになんで……。
「ふん。国王を誘惑した下賤な女の子供らしい恥ずべき愚行ですわね。命だけは助けた国王様に感謝をなさい」
「サ、サリーノ……っ」
この女さえいなければ。
この女が父上を惑わしたしたりしなければこんなことには……っ。
……その後、俺は肘から先の右腕を切断され、辺境の領地へと追放された。
正確には10歳からだ。それは俺の母親がなにものかに殺されて間もなくことだった。
俺の父であるマルサル王国の王を誘惑した貴族の女、サリーノのよって王妃であった母は第2夫人へと落とされ、のちに何者かの手によって殺された。
子である俺は人を魅了して惑わす容姿をしているという理由で、サリーノの命令によって鍵付きの鉄仮面を被らされていた。
「父上」
大臣からの問いかけに窮していた国王へ耳打ちし、助言をする。
「わ、わかっておるっ! 貴様に言われんでもっ!」
ドンと俺を突き飛ばした国王は、先ほど俺の言ったことをそのまま大臣に伝える。
「まったく、貴様は余計なことを言わんでいい。護衛のためにそこに置いているのだからな」
「失礼いたしました」
身体が大きいからという理由でこんなことをさせられているが、護衛などおよそ王子のすることではない。だが国王の命令ではしかたないと甘んじて引き受けていた。
「その不気味な仮面でわしに近づくな。サリーノの頼みとはいえ、貴様を護衛として側に置くななど気味が悪くてたまらん」
「申し訳ありません」
こんなのはサリーノの嫌がらせだ。
あの女は自分の息子であるバルドンを国王とするために、第一王子である俺を貶めて臣下からの評判を悪くしようとしている。
「暗くて陰気な声をだすな。不愉快だ」
「申し訳ありません」
「ふん。そういえば貴様はもうすぐ20歳か」
「はい」
俺は1カ月に20歳となる。
我が国、マルサル王国では次期国王となる者が20歳となったとき、手の甲には王家の紋章が浮かび、王位を継承できるわけだが……。
「貴様が王になど、無いだろうな」
「……」
「貴様の母は下級貴族の娘だ。美人であったゆえに王妃としてやったが、それは間違いだった。サリーノのような上級貴族の美女がいると知っていたならば、あの女を王妃になどしなかった。まあすでに死んでしまったからどうでもいいがな。がははっ!」
「……」
こんな男が父親とは。
反吐が出るとはこういうときに使う言葉なのだろう。
母の殺害には国王も関わっているはず。
しかし主犯は……。
「国王様」
と、そのとき玉座の間へ女と少年が入って来る。
サリーノとバルドンだ。
サリーノは卑しい笑顔でこちらへやって来て、玉座の前へと立つ。
「おお、サリーノっ。美しき我が王妃よっ」
サリーノを前にだらしない声音を吐く国王を見下ろし、俺は心の中で侮蔑する。
「これはこれはハバン様、相変わらず仮面がお似合いですわね」
「恐縮でございます。母上」
「ハバン、貴様はもうよい。出て行け」
「はい」
言われて俺は玉座を離れて、扉へ向かう。
護衛といっても形だけだ。
不気味という理由で、ほとんどは国王の側にいない。こんなことをするなど本意ではないので、それはまったく構わないが。
「生まれの安い者にはお似合いの仮面ですね。兄上」
背後からバルドンの声がするも、俺は足を止めない。
「バルドン、話しかけてはなりません。あのような者に」
「申し訳ありません。母上」
いつもサリーノについて歩いている、母親には決して逆らわない異母弟のバルドン。あんな母親の言いなりな男が王になれるわけはない。
「陛下、いつまであの男をここに置いておくおつもりですか? あんな邪魔な男は辺境へと追放してしまうのがよろしいかと」
「まあ待てサリーノよ。20歳になって紋章が現れなければ、それを理由に追放してやる」
「ではもうすぐですね。ふふふ」
「……」
そんな不愉快な会話を耳にしながら、俺は玉座の間を出た。
こんな日々は不愉快だ。
しかし自分の手に王家の紋章が現れれば変わるはず。
そんな思いで俺は辛い毎日を送っていた。
中庭に出た俺は、弓を持って的を射る。
子供のころから弓は得意だ。
こうして精神を集中して弓で的を射ていると、疲弊した心が癒された。
射る矢はすべて的に命中。
満足した俺は、側のイスに座ってしばらく時間を過ごす。
「ハバン様」
背後から女性に声をかけられる。
振り返ると、そこには長い金髪に赤い瞳の気が強そうな顔をした美少女が立っていた。
彼女の名はソシア・ルン・マリアンド。
上級貴族の娘で、俺より5つ年下の幼馴染だ。
「さあ、わたくしを連れてどこか遠くへ逃げてください」
座っている俺にソシアが抱きつく。
彼女の大きな胸が俺の胸板に押し付けられるが、
「なにを言っているんだお前は?」
心を乱すことなく冷静な声音で問いかける。
するとソシアはじーっと俺の顔を見上げ、
「ハバン様、わたくしに抱きつかれて顔を赤くしてらっしゃる?」
「いや」
「嘘。本当は仮面の奥で赤面をしていらっしゃいますわ。だってこんなに美人で魅惑的なわたくしが抱きついているんですもの。焦って赤面しているに違いありませんわ」
「そう言われてもな」
仮面を取って証明してやりたいが、あいにくとこの仮面は鍵付きだ。
自分の意志ではずすことはできない。
「俺は王になるために生まれてきた男だ。女性に魅了されて心を乱したりはしない」
どんな女性に抱きつかれようと、目の前で裸体を晒そうと心を乱さない。絶対に。
「ふーん。なんだつまらない」
さっきまでの口調を崩してそう言ったソシアはハバンから離れる。
「子供のころの口調に戻ってるぞ」
「こっちが本来のわたくしだしー。あーあ、ハバン様がわたくしを連れてどこか遠くへ逃げてくれたらバルドンなんかと結婚をしなくて済むのに」
「そんなことをここで言うな。誰かに聞かれていたらどうする?」
「わたくしはバルドン様と結婚はしたくありません。あんなデブのマザコンと結婚をするなんて、まっぴらごめんでございますわ」
彼女は同い年のバルドンと婚約させらているのだが、このようにひどく嫌がっている始末だ。
「あーあ。貴族になんて生まれたくなかった。もっと自由で、行きたいところへ行って、たくさんの素敵な男性と出会う人生を送りたかったなー」
「生まれは変えられない。諦めるんだな」
「むー。でも、ハバン様が王様になれば、せめてバルドンとの結婚は避けれるかも」
と、ソシアは頬を染めて俺を見つめてくる。
「そんなにバルドンとの結婚は嫌か?」
「うん。わたくしはハバン様のほうが好きだよ」
「ふっ、こんな顔もわからない男に惚れるなんて変わってるな」
10歳から仮面をつけている。
もはや自分の顔がどんなだったか思い出せない。
瞳の色は青で、髪は金色だったか。わかるのはそれくらいだ。
「ハバン様はやさしくて男らしいし」
「そんなに煽てたってお前を連れて逃げたりはしないからな。さあ、俺はこれから出掛けるからもう行くぞ」
「どこへ行くの?」
「少し遠くの領地へな、鉱石が採れるか調査へ行く」
この国は水害が多い上、海が無いので海産物は獲れない。牧畜をやっている人間も少なく、農作物が水害であまり収穫できない年は食料自給率が極めて低くなる。
しかし鉱山資源が豊富なので、水害のひどい年は採れた鉱石を他国へ輸出し、代わりに農作物などを輸入して食料を確保していた。
「それってハバン様がわざわざ行く必要あるの?」
「他の者に任せたいんだが、他の者じゃわからないって言うんだ。鉱石が採れなければこの国は終わる。俺が行かないわけにはいかない」
「そっか。うん。っと、えと……あの、さっき言ったのは煽ててとそういうのじゃないから、ね」
「うん? じゃあどういう意味だ?」
「それはその……。ふん。もういいハバン様なんてーっ」
たたたと駆けてソシアは行ってしまう。
「変な奴だ」
と、立ち上がった俺は出掛ける準備をするため自室へと戻る。
……そしてそれから1カ月後、20歳となった俺の右手に王家の紋章が現れた。
玉座の間で俺は国王とサリーノ、衛兵や大臣たち、バルドンに王家の紋章を見せつける。
国王とサリーノは絶句し、文字通り言葉を失っていた。
これで俺がマルサルの王だ。
辛い日々から解放され玉座へとつける。
そう思った。
「あ、あれは偽物の紋章ですわっ!」
不意にサリーノが叫ぶ。
「馬鹿な。これは間違いなく本物の……」
「そうだ偽物だっ! 貴様の手に王家の紋章など現れるはずはないっ!」
「ち、父上……」
なにを言われているのかわからなかった。
「黙れっ! 貴様に父などと呼ばれたくはないわっ! この大罪人めっ! 衛兵っ! 衛兵っ! こやつを捕らえよっ! 王家の紋章を偽造した大罪人だっ!」
「お待ちください父上っ! この紋章は偽物などでは……」
衛兵に拘束されながら俺は弁明をする。
「なるほど。偽物でしたか。国王になりたいからと紋章を偽造するなど、なんて愚かな。ハバン様には恥というものがないようですな」
「まったくです。このような恥知らずな者が王になっていれば我が国はどうなっていたか。想像するのも恐ろしいことです」
大臣らは口々に俺を侮蔑する言葉を吐く。
「卑しい兄上だ。血が繋がっていることが恥ずかしいよ僕は」
「くっ」
睨んだ先ではバルドンがうす笑いをして蔑むような視線でこちらを見ていた。
ここには誰も味方はいない。
俺の言葉を信じる者など、誰ひとりとしていなかった。
「そやつの右腕を斬り落とせっ! そして辺境の領地へと追放してしまえっ!」
「そ、そんなっ!? 父上っ!」
「死罪にしなかっただけでもありがたく思えっ! この恥知らずの愚か者めがっ!」
「こ、こんな……」
こんな馬鹿なことがあっていいはずがない。
紋章の現れた俺は王になるはずだ。それなのになんで……。
「ふん。国王を誘惑した下賤な女の子供らしい恥ずべき愚行ですわね。命だけは助けた国王様に感謝をなさい」
「サ、サリーノ……っ」
この女さえいなければ。
この女が父上を惑わしたしたりしなければこんなことには……っ。
……その後、俺は肘から先の右腕を切断され、辺境の領地へと追放された。
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