虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第2の異世界ーお金持ちと結婚したい女

第19話 工島と福来がホテルへ……

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 しばらくして男が出て来たので俺はサワキフクを連れて車外へ出て行く。

「あの……」
「ん?」

 赤い車に乗ろうとしていた男が俺の声に反応してこちらを向く。

「あなたは……? 僕になにかご用ですか?」
「はあ、その」

 俺は背後に隠れているサワキフクの背を軽く押して前へと立たせる。

「俺の……その、妹がね、あなたと話したいって言うんで、少し付き合ってもらえないかな?」
「えっ?」

 男は驚いたような顔をしたのち、すぐに微笑みを浮かべた。

「ええ、構いませんよ」

 お。

 絶対に無理だと思っていたが、意外にもうまくいった様子で俺は驚く。
 サワキフクの外見に一目惚れでもしたのだろうか。

「あなたが一緒にでしたらぜひ」
「……うん? えっ?」

 不意に男は俺の手を握る。

「な、なにを言って……?」
「素敵な方だ。お名前をお聞きしても?」
「いやあのその……」

 熱の篭った男の視線と異様な雰囲気に寒気を感じた俺は、

「し、失礼するっ!」

 男の手を振り払い、慌ててデュロリアンへ乗り込んで発車させた。

「なんなんだあの男はっ?」

 助手席のサワキフクへ向かって、それからうしろのツクナへ問う。

「ふむ。どうやらあの男はホモだったらしいのう」
「ホ、ホモ?」
「ホモとはの……」
「いや、言うな。なんとなくわかる」

 あの男は男色家だったのだ。

「ホモだから独身だったんじゃな」
「あーそういうことかー。なんかあの人、ハバンさんを見る目がキラキラしてると思ったんだよねー。ホモだからだったんだ」

 納得して頷くサワキフクの隣で俺はため息を吐く。

「ツクナ、他にいないのか? ホモじゃない奴な」
「うーん……イケメン高身長で性格が良い金持ちで、恋人も嫁もいない男じゃと、それなりに理由があるんじゃ。さっきの男みたいにホモだったり、女と関係が持てない特殊な理由がの。だから探すのは難しい。今日中にはむりじゃな」

 ……とのことで、とりあえず今日のところは帰ることになる。また明日ということだが、どうにもなんとかなるような気がしなかった。



 ……



 日曜日の朝。三田村楽駆は自家用車を運転して沢木福来の家に向かっていた。

 最近、福来ちゃんが妙な男と関わっている。

 工島にもそうだが、どうも彼女は金持ちの男に弱い。昔からそうだ。金持ちで、ちょっと顔の良い背が高い男を好きになって……。けれど男運が悪いのか、いつも性格の悪い男に騙されてひどい目に遭って傷ついている。

 きっとあの男も悪い男に違いない。

 人を信じやすい子だ。自分が守ってやらなければ。

 そんな思いを胸に、楽駆は福来の家へ向かっていた。
 やがて福来の家の側まで来ると……。

「ん? あれは……」

 高級そうな車が彼女の家の前に停まっている。

「あの男の車かな?」

 しかし車から降りて来たのは……

「く、工島っ?」

 車から降りて来た工島挙流だ。

「あの男は福来ちゃんをフッたはず。どうして今さら……」

 家から出て来た福来が、工島の車に乗ってどこかへ行く。
 なにか嫌な予感がした楽駆は、そのあとをついて行くことにした。

 ……30分ほど走り、やがてやって来たのはラブホテルだ。

「こんなところに連れて来るなんてあいつ……」

 工島は大学の先輩で、成績優秀、スポーツ万能、イケメン、高身長、金持ちな上、絵に描いたような好青年だ。
 福ちゃんはずっと工島のことが好きで、フラれるのが怖くて告白できないまま同じ会社まで追って行った。そして先日、ついに告白してフラれたわけだが……。

「と、とにかくついて行ってみよう」

 まさか無理やりここへ連れて来られたのでは?
 だったら助けなければいけない。けれどもし同意の上でここへ来ているとしたら……。

「だったらいいさ」

 福ちゃんが工島と結ばれてしあわせになれるならそれでいい。

「……いいんだ」

 駐車場に車を停めた楽駆は、気付かれないよう静かに2人のあとを追う。

 無理にという様子では無い。やっぱり同意の上でここへ来てるのか。

「……他の客は全然いないな」

 日曜日の朝ならば帰りの客とかいそうなものだが。
 まあそんなのはどうでもいいことだ。

 誰もいないホテル内をこっそりついて行き、やがて2人は部屋へと入って行く。

「や、やっぱり同意の上……だよな」

 おとなしくここまで一緒に来たのだ。もう疑える余地は無い。

 うな垂れた楽駆は、しばらくその場で呆然としていた。
 ……そのとき、

「きゃああああっ!」
「えっ?」

 扉の奥から聞こえる福来ちゃんの悲鳴。
 帰ろうとしていた足を止めた楽駆は、踵を返して部屋へ突入する。
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