虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第3の異世界ー死にたい魔王

第35話 魔物の区別がつかない

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 ――魔王城の最深部。その中心にある豪奢な玉座にはこの城の主である若い女が足を組み、尊大な態度で座っていた。

 ハイパーサタン。

 彼女こそが魔王リュアンを倒し、新たにこの城の王となった強者である。

「勇者と元魔王のリュアンが攻め入って来たようだね」
「はっ」

 ハイパーサタンが座る玉座の前には全身を黒衣で覆った5人の男が恭しく跪いている。

「わたくしを倒すために勇者と魔王が手を組むか。なかなかおもしろいじゃん」
「しかし無駄なことでございます。勇者と組んだところで大魔王様に敵うはずなど……」
「わたくしのことは大魔王ではなく、ハイパーサタンと呼ぶよういったはずだけど?」
「し、失礼致しました。ハイパーサタン様」
「ふん」

 大魔王なんてだっさいよ。ちょー格好悪い。

 そう思う彼女はハイパーサタンと、自分を小粋なネーミングで呼ばせていた。

「しかしハイパーサタン様、魔王と勇者の他に、2人ほど仲間がいるようです」

 他の男がそんな報告をするが、

「勇者の仲間でしょ。そんなのちょー雑魚過ぎていないのと一緒じゃない?」
「そ、そうですね。おっしゃられる通りです。余計な報告でした。しかしひとりは子供と聞いたので、少し妙に思いまして……」
「ふぅん。子連れでわたくしを倒しに来るなんて舐めてるね」

 子連れって、どんだけ呑気なんだろう? もうひとりの奴が親かな?

 どんな顔してんのか見てみたいわと、ハイパーサタンは心の中で嘲笑う。

「そんな舐めた奴らを相手にハイパーサタン様の手を煩わせることなどありません。我々の手で片付けてきましょう」
「そうだね。任せた」

 と、ハイパーサタンは5人へ向かって親指を立てた。

「ははっ! では行って参ります」

 5人は踵を返すと、素早く部屋を出て行く。
 ひとり部屋に残ったハイパーサタンは、目を瞑り考えに耽る。

「うーん……まさかこんなことになるなんてなぁ」

 人生なにがどうなるかわからんもんだなと、こっくり彼女は頷くのだった。

 ……

 ……魔物を倒しながら、俺たちは順調に魔王城の奥へと進んで行く。
 最深部へ近づいて行くほど魔物は強力となり、出現する数も増していくが、魔王リュアンと勇者デムーロニーの手であっさり倒されていた。

「ねぇ、さっき倒したビックビューティーオーガと、前に倒したマッスルダンディオーガってなにが違うの? 絶対おんなじでしょあいつら?」

 これまでにいろいろな種類の魔物が出てきたが、同じ種族で名前の違う魔物の違いが俺にはやっぱりわからなかった。

「ぜんぜん違いますよ。さっきのはビューティーで、前のはダンディだったじゃないですか。もーハバンさん、ちゃんと見てたんですかー?」
「見てたけど……」
「一緒に出てきた小悪魔系美少女ゴーレムと妹系甘えん坊ゴーレムならわかるんじゃないかな? あれはぜんぜん違ったしさ」

 とデムーロニーは言うが、

「いや、あれも一緒だったじゃん……」
「ええ……」

 こいつ目がおかしいんじゃないかとでも言いたげな視線で、リュアンとデムーロニーは俺を凝視する。

 いや絶対にこいつらのほうがおかしい。俺の目は正常だよ。おかしくないからな。

「安心しろハバン。ツクナもわからんから」
「そ、そうだよなっ」

 味方を得た俺は思わずツクナを抱きしめた。

「俺の味方はお前だけだ」
「大袈裟な男じゃな。ほれ、くだらぬ戯言は終わりにして先を急ぐのじゃ」
「うん」

 気を取り直して俺たちは先へ進む。と、

「ふぅはははっ!」
「うん? 誰かの笑い声?」

 ひとりではない。複数の笑い声がどこからか聞こえてきた。

「誰だっ!」

 そう俺が叫ぶと、目の前に顔まで黒衣で纏った5人の何者かが現れる。

「な、なんだお前らは?」

 魔物ではない? 黒衣で姿は見えないが、人間のように思えた。

「我らはハイパーサタン様に仕える5人の幹部。貴様ら如き、偉大なるハイパーサタン様が相手をするまでもない。我らの手で倒してくれよう」

 幹部。ということは、こいつらハイパーサタンの次に強い連中ということだろう。ならば今までのようにはいかないかもしれない。

「ふん。わたしたち強いよ。幹部だってあっさり倒しちゃうんだからね」

 と、リュアンが魔法の構えをとろうとする。が、

「待て」

 5人の中で中心に立っている男が手を前にかざして制止を求めた。

「なに? 怖気づいたの?」
「違う。ふむ……」

 男が俺たちをぐるりと見回す。

「お前とお前」
「うん? 俺?」
「僕か?」

 男は俺とデムーロニーを順番に指差して口元をニヤリと歪ませる。

「なかなか容姿の整った男ではないか。ならば武力での戦いなどつまらん。貴様らにイケメンバトルを申し込む」
「イ、イケメンバトルですとぉっ!?」

 横でリュアンが叫ぶ。
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