虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第77話 助けてくれた男(ペイナー視点)

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 だ、誰だ? いや、知っている声のような気が……。

 なんだかよくわからない状況をペイナーは黙って見守る。

「なんだお前は? 変な格好しやがって」
「俺はハバン・ニー・ローマンド。彼女と同じナイトだ」
「ハ、ハバン……?」

 あの男か。しかしなぜこいつがここに?

「お仲間を助けに来たってことか」
「いや。事情は知らないけど、ひとりを集団で攻撃していたぶるというのが気に入らないだけだ」
「ふん、正義感ぶったいけ好かない男だな」
「正義ぶっているつもりはない。したいようにしているだけだ」
「そうかい。それでどうする? お前がそいつの代わりにレーザーを浴びるか?」
「そんな必要は無い。君が黙ってこの場を去れば済むことだ」
「そんなつまらない幕引きはごめんだね。おい、構わないからこいつごと撃て」

 ガスターナの命令でふたたびレーザーが一斉掃射されるが、

「ふん」

 即座にレヴァンソードを右手に構えたハバンによってすべてを弾かれる。

「ほお、そこにいる雑魚よりはマシなようだ。けれどいつまで続けられるかな?」

 レーザーはさらに速度を増してハバンを襲う。
 だがレーザーは1発もハバンの身体に触れることはなく、尽くが彼の操るレヴァンソードの剣身によって弾かれた。

 速度を増したレーザーはもはやペイナーの目には映らない。
 それを軽々とハバンは弾く。

「こ、このっ! しつこい奴だっ!」

 苛立った声でガスターナが叫ぶ。

「それはこちらの言いたいことだ。もういいだろう?」
「黙れっ! 貴様を痛めつけるまで引き下がれるかっ!」
「だったらこちらのやり方で終わらせてもらう」

 そう言ってハバンがレヴァンソードを振ると、

「ぐあっ!?」

 兵らの全員がひっくり返る。
 なにが起こったのかはわからない。しかし彼らは皆、仰向けで眉間を押さえていた。

「な、なにをしたんだっ?」
「弾き返したレーザーを全員の眉間に当ててやったのさ」
「そ、そんな芸当できるわけがっ!」
「できるからこうなっているんだ」
「ぐ、ぐぐ……っ」

 ペイナーもガスターナと同じく、そんな芸当ができるなど信じられない。
 しかし実際に兵は痛そうに眉間を押さえて倒れている。それが真実だった。

「これで満足か? だったらおとなしくこの場を去れ」
「うるさいっ! あたしに命令するんじゃねーっ!」

 怒声を上げたガスターナが懐から別のレーザー銃を取り出す。

 あれは訓練用じゃない。殺傷力のある通常のレーザー銃だ。

「ガ、ガスターナ……貴様、それは訓練用じゃないだろうっ! なにをする気だっ!?」

 あんなものを撃って万が一にもナイトが殺されでもすれば、もう遊びじゃ済まない。ヨトゥナとアズベルヘイムの関係に亀裂を入れる大事になってしまう可能性も……。

「黙れよ雑魚女が。この野郎、あたしに恥をかかせやがって。こ、殺してやるぜ」

 目を見開いてガスターナはハバンへ銃口を向ける。

「そこの雑魚が言った通り、こいつは訓練用のレーザー銃じゃないぜ。しかも威力を上げた特注の改造銃だ。仮面ごとてめえの頭を吹っ飛ばしてやる」

 ガスターナは本気だ。
 しかしあの男ならばレーザーをレヴァンソードで防げるはずと、ペイナーの不安はそれほどでもなかった。

「君に恥をかかせてしまったのならば、それは申し訳なかった謝ろう」
「謝ったって済まさねーぞっ!」
「ならどうしたらいい?」
「あたしに殺されろっ!」

 引き金が引かれてレーザーが発射される。
 それをレヴァンソードで弾くかと思われたが……。

「あっ!?」

 レーザーはハバンの額に直撃し、衝撃で彼の頭が上向く。

「な、なぜレヴァンソードで防がないっ!」

 不可解なハバンの行動にペイナーは困惑しつつ声を上げる。

 死んだのか? だとしたら大変なことに……。

 不安に鼓動を早めるも、しかしハバンの頭はゆっくりと元の位置へと戻る。

「気は済んだか?」

 さっきよりも低い声でハバンが言いながら近づくと、ガスターナは表情を焦らせて退く。

「な、なんで……なんで平気なんだよっ!」
「平気だから平気なんだ。それよりも気は済んだかと聞いている」
「済むかよっ!」

 ふたたびレーザー銃をハバンへ向ける。が、素早い動きで近づいたハバンは、あっという間にガスターナから銃を取り上げて背後へ放り捨てた。

「て、てめえこの……っ!」
「いいかげんにしろ」

 突き出される右の拳を掴んだハバンは、ガスターナを見下ろしながら右手を振り上げそして、

 パンっ!

「あうっ!」

 彼女の頬を平手でひっぱたいた。

「人殺しの道具を感情に任せて無闇に使うんじゃない。あぶないだろ」

 至極、真っ当な言葉だ。
 あんな変な格好をしているのに言うことはまともである。

「……」

 叩かれたガスターナは頬を押さえて俯いている。

 獣のような女だ。ハバンの言うことなど聞くとは思えないが。

「ううう……」
「えっ?」

 すすり泣く声。

 そんなまさか。

 思わぬことだが、意外にもガスターナは泣いていたのだ。
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