虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第105話 ハバンの賭け

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 ……これは遊びだ。危険を感じたら逃げてもいい。

 ツクナはそう言ったが、

「そんな無責任なことできないよな」

 遊びでも、ヨトゥナという組織から信用されてナイトになったのだ。
 ならば与えられた役目は全うしなければならないだろう。

「じゃあやるか」

 と、動き出した俺は、同時に攻めてきたで20本の腕をかわす。

「おおっ!」

 というルカの声を背にそのままレプニールへと突っ込む。が、

「ぐっ」

 やはり、というか当然の如く俺の振り下ろした一撃はズァーグのバリアに阻まれる。

「無駄だ。お前のズァーグではあたしのズァーグを破壊できない。それと……ふっ、あたしはルオナルアを狙わないなどという約束はしていないぞ」
「なにっ!?」

 振り返ると、レヴァンソードを持った手がルカへ伸びるのが見えた。

「ルカっ!」
「あ……」

 叫んだ俺がルカの前へと瞬時に移動をする。

「ぐ……っ」
「ハ、ハバンさんっ!」

 背中に赤く尖ったズァーグが刺さる。

「……いや、平気だ」

 こちらもズァーグのバリアで背中を覆って攻撃を防いでいた。

「無駄なことだ。お前のズァーグであたしのズァーグは破壊できないと言ったな。しかしはたして逆ならどうかな?」
「ぐあっ!?」

 背中に強い痛み。
 バリアとして張ったズァーグが貫かれた。

「こ、このっ!」

 慌ててルカを抱えた俺は身体を貫かれる前にその場を移動する。

「ぐ……はあ、はあ」

 その場に膝をついた俺は荒く息をつく。
 貫かれはしなかったが、背中の20か所に浅くない刺し傷を負った。

「ハバンさんっ! あなたはもう戦えないっ! ここは私が……」
「……いや、君はここから逃げたほうがいい。君が逃げる時間くらいは稼ぐ」
「そんなのダメですっ!」
「行くんだ。頼む……」

 ヨロリと立ち上がった俺はふたたびレヴァンソードを構える。

「逃がさないぞ。お前ら2人はここで一緒に死ぬんだよ」

 20本のレヴァンソードが一斉に襲い来る。その直前、俺はルカを担いで出入り口のほうへと思い切り投げ飛ばす。

「うあっ!?」
「くっ」

 出入り口の扉にズァーグの塊をぶつけて破壊。
 投げられたルカはそのまま出入り口の先へ転がった。

「ハ、ハバンさんっ!」
「行けっ!」
「く、ううっ……」

 走り去って行くルカの背を見送って安堵した俺は小さく息を吐く。

「……ちっ。けど、ここで逃がしても結果は同じだ」
「どうかな? ここでお前が死ねば結果は変わるぞ」
「その身体であたしを倒せるつもりでいるのか? お笑いだな」
「むう……」

 背中に大怪我を負った。血も多く出ており、立っているのがやっとだ。
 対してレプニールは余裕の様子で足を組んでイスに座っていた。

「それだけ強さを持っているのに、なぜお前は卑怯な戦い方をした? 必要無いだろう?」
「さっきも言ったが、これは戦争だ。もっとも勝利に近い方法を選択するのは当然だろう。それが卑怯であろうと正々堂々であろうと関係無い」
「……たいしたものだ」

 フッと俺は薄く笑う。

「俺は甘かった。勝つためにはお前の卑怯さも少しは学ぶべきかもな」
「もう遅い。お前の命はまもなく終わる」
「まだ少し……抗ってやるさっ!」

 構えたソードを握り、20本の赤いズァーグが持つレヴァンソードへ向かう。
 そして……。

「ぐあっ!」

 突き迫るレヴァンソードを弾くも、身体の外へは弾かれず剣先が俺の左胸を貫く。
 赤いソードが引き抜かれると、俺はうつ伏せでその場に倒れた。



 ……



「……死んだか」

 倒れ伏したままピクリとも動かないハバンを見下ろしてレプニールは呟く。

 なかなかにしぶとい男だった。
 それゆえに楽しめもしたが。

「足りないな」

 勝利の快感には足りない。
 デズターを倒した程度の男など、所詮はこんなものかと嘆息する。

「さて、逃げたルオナルアを追うか」

 ハバンを攻撃したズァーグと自分を守るズァーグを消したレプニールはイスから立つ。

「ハバン・ニー・ローマンド。想定よりもつまらない男だった」

 そう吐き捨てて会場の出口へと向かう。
 ……そのとき、

「う……ぐっ」

 背中から胸にかけて不意に鋭い痛みを感じる。
 見下ろすと、左胸から青く光る矢のようなものが突き出ていた。

「がは……っ」

 なんだ……これは?

 背中から心臓を貫かれたレプニールの身体がその場に崩れ落ちる。
 遠のいていく意識の中、背後を振り返ると、伏せたまま顔を上げてこちらへ右手を伸ばすハバンの姿が見えた。

「馬鹿な……」

 そしてレプニールは地へと伏した。
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