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09.二回戦行く前に甘いチョコレートパフェでも食べませんか?【前編】
しおりを挟む「本当に、すまなかった!」
「ふえ?」
異世界の満月の夜、いつものようにお店を開店する時間になったため、準備を始めていた矢先、突然扉が開いたと同時に現れたのはクロさんだった。
クロさんは土下座をするようにしながら地面に膝をつき、頭を床にこすりつけるかのように謝ってくる。
え、なに、どうしたの?って言うぐらい、今の僕の頭は混乱状態に陥っているのだった。
何故クロさんが謝るのか不思議で仕方がない僕は、とりあえず頭をあげてほしかった。
「え、えっと、クロさん、その、どうして謝っているのか、なぜ土下座をしているのか全く理解が出来ないんですけど……」
「……具合が悪いのに、店主の所に行った」
「この前の満月の夜の事ですか?」
「……ルギウスから聞いた。熱が出ていた。店主の自室に招かれてその日の夜だけ店主のベッドに横になっていることも何となく覚えている……本当、すまない。自室に行くのはちゃんとした計画……手順を踏まなければならないのにッ!」
「あ……あはは、手順って?」
拳を握りしめながら語りだし始めたクロさんの言葉に疑問を抱きつつも、思わず笑ってしまう事しか出来ない。
そして、僕はそのままクロさんの目線に合わせるようにしながらしゃがみ込み、右手を伸ばして頬に触れる。
「今日は、熱くないですね。顔色も悪そうに見えませんし……ちゃんとお休みになりました?」
「店主と別れてから三日間安静にしてた。ルギウスが看病してくれたし……お前から教わったやり方でやってくれた」
「そうなんですね、それはよかった」
クロさんが倒れた後、朝になる前にルギウスさんがどうすればよくなるのか、どういう看病をすれば良いのかと聞いてきたことがあったので、僕が知っている範囲で簡単に教えたのだが、どうやらルギウスさんは実行してくれたようだ。
今日のクロさんはいつものように顔色がよく、元気に見える。ただ、いつもと違って開店間際に来るのは初めてなのだが。
「クロさん、お仕事終わりに来たんですか?」
「今日のために早く終わらせた。店主、俺をほめてくれ」
「え、褒める……えっと、えらいえらい?」
「……ッ‼」
褒めてほしいと言われてしまったので、どうしたらいいのかわからなかった僕が出た行動は、クロさんの頭を優しく撫でて口で簡単に出てきた言葉を言うだけだった。
ただ、クロさんにとっては、それはどうやらかなりの効果的だったようで、次の瞬間顔を真っ赤に染め上げる珍しいクロさんの姿を見てしまった。
頭を撫でられたことが嬉しかったのか、次の瞬間クロさんは突然顔をあげると同時にそのまま両手で僕を強く抱きしめたのだ。
「え、ちょ……く、クロさん⁉」
「……いい匂いがする、ああ、店主……アキノリの匂いだ」
「なんか変態チックですよその言葉!ちょ、顔埋めないで、くすぐったいッ!」
離れようともせず、クロさんは僕を強く抱きしめながら匂いを嗅ぎ始めている。流石にこれはまずいと頭が理解したので離れようとしたのだが、ひょろい体の僕がクロさんに勝てるわけがない。
そのまま押し倒されそうになった瞬間、突然クロさんの体が強く引っ張られ、同時に僕の瞳にある人物が映し出される。
「ちょ、それ合意じゃないでしょクロ」
「あ……い、いらっしゃいませラティさん」
「やっほー店主さん。今クソ悪魔引きはがすから待っててねー」
「……俺と愛しいアキノリの逢瀬を邪魔するゴミが」
「ヤるかぁ、クソ悪魔」
「ちょ……」
ラティさんはそのままクロさんの首根っこを鷲掴みにした後外に放り投げると同時、クロさんの右手から黒い炎が、ラティさんの左手に氷のような何かが。
店の扉が閉められたと同時に、外から激しい音の数々が聞こえてくるのだった。
「……お店、壊れないかな?」
少し不安を感じながら、僕は二人の戦いが終わるのを待つと同時に、店の鍵を静かにかけた。
♢ ♢ ♢
音がしなくなったことに気が付いた僕は鍵を開け扉を開くと、店の周りが焼け野原になっている。木々がたくさんあったはずのだが。
その中でクロさんとラティさんがボロボロな状態で倒れているのがわかった。
「お、終わりました?」
「……店主、すまない。仕事疲れてこのクズを倒す事が出来なかった。申し訳ないが許してくれ」
「いえ、数少ない常連さんなので、出来れば殺してほしくないんですけど……」
「ご、ごめんね店主さん……今日もこの黒いクソ悪魔を退治することが出来なかった。ふがいない私を許して……」
「いえ、大丈夫です許しますからもうやめてくださいお願いですから」
第二回戦でも始めようかと言う勢いを見せる二人を何とかなだめるために声をかけながら、そして二人にあるものを見せる。
「ほら、甘いものでも食べましょう!食べて休戦しましょう二人とも‼」
「「……甘いもの?」」
ラティさんとクロさんの二人が目を向けた先にあったのは、僕が先ほど作っておいたもの、チョコレートパフェだった。
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