傷だらけの騎士を手当てしたら、惚れられ、連れていかれ、そして溺愛されました。お願いですからやめてください!?

桜塚あお華

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第29話、問題が山積みだが、解決しなければ傍に居られない。

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 ジッと見つめるようにしながらそのように発言するバジリスク、大蛇のアシュレイに対し、クラウスはルーナに視線を向ける。
 アシュレイとクラウスの言葉が聞き取れないのか、ルーナは首をかしげながら二人に視線を向けている。
 アシュレイは静かに見つめるようにしながら返答を待っている。
 何処か、そわそわしている様子も見えるのだが、クラウスはそれを見ていないように視線を逸らす形をとる。

「そばに、いる……か……できたら、そのようにしたいのだが」
「シタインダ」
「ああ、したい」
「ヨクボウガデテルネ、くらうす」
「俺は隠すつもりなど全くないからな」
「アルイミスゴイネ、キミ」

 全く隠さず、そのように堂々と発言するクラウスの姿に、アシュレイは呆れたような声を出した。
 しかし、ふと何かを思い出したかのように、クラウスは細い目をしながら唇を噛みしめる。

「……そのようにしたいのだが、まずは問題を片付けなければならない」
「モンダイ?」
「ああ、『トワイライト王国の聖女』の問題を解決しなければならない……だから、ケガが完治したら、一度この森から出ないといけない」
「けが、シテイタノ?」
「ルーナに治してもらっている。まだ完治していないからこうしてルーナの近くにいるんだ」
「フゥン……るぅなハソウイウノビンカンダカラネ」

 アシュレイはそのように言いながら、そのまま再度、ルーナに視線を向ける。
 バジリスクに視線を向けられたことに気づいたルーナは首をかしげながらアシュレイに目を向けているが、アシュレイはそのままルーナに近づき、彼女の頭に自分の頭を軽く乗せる。

「うわ!な、なんだ、アシュレイ?」
「……るぅなハクラウスノケガガカンチシタラ、ドウスルノ?」
「え、どうするって?」
「モリヲ、デルノ?」
「……はぁ?」

 アシュレイが言っている意味が理解出来ないルーナは驚いた顔をしながらそのままクラウスに目を向けるが、アシュレイが言っている意味が理解出来ないクラウスは首をかしげるのみ。

「どうしてそうなるんだよ!ボクは別にここを出ていくつもりは――」
「ダッテ、くらうすハケガカカンチシタラコノモリヲデテイクッテイッタ。ケドるぅなノソバカラハナレルツモリハナイッテイッタ」
「…………クラウス様?」
「……そばにいたい、と言っただけだ」

 視線をそらしながら小声でそのように発言するクラウスの姿を、呆れたような顔をしながら静かに息を吐く。
 クラウスのケガはだいぶ良くなってきている。
 あと一週間程度、安静にしていれば完治と言う形になるだろう――しかし、それは、クラウスとの別れを意味する。
 ルーナは最初のころは、早くケガを治して出てってくれないかなと思っていたのだが、今は違う。

(……なんだかんだで、放っておけないんだよなぁ、あの人)

 クラウスと離れてしまったら、あの人がどのような事になるのかわからない。
 もしかしたら、良からぬ事が起きる可能性があるかもしれない。
 それを考えると、正直クラウスと離れるなんて、考えられないのだ。

(力になりたい、と言う気持ちはある)

 恋愛的な意味ではなく、友人的な意味で、クラウスの力になりたいと思ってしまった。同時にトワイライト王国の奴らを片っ端からぶん殴って、最終的には聖女をボコボコにしたいなと何度も思った事がある。
 それで、クラウスの気持ちが穏やかになるのであれば、の話なのだが。

 しかしルーナは、森から出ていくつもりもないし、村から出ていくつもりもない。
 アシュレイはクラウスの言葉を聞いて、ルーナがここから出ていくのではないだろうかと言う事を考えたらしく、少しだけ嫌そうな顔をしている。
 アシュレイに手を伸ばし、ルーナは顔に触れる。

「アシュレイ、ボクはここから出ていくつもりはないよ。まだ見ておかなきゃいけない人たちもいるし、それに神父様……シリウス様を一人にするわけにはいかない。一人にしちゃったらあの人何するかわからないじゃん」
「……カタッパシカラモリカラデテ、トウゾクヤボウケンシャタチニカネメノモノヲヌスンデソウダネ」
「うん、やるよ、絶対」
「ヤダナァ……」

 アシュレイとルーナの二人は遠い目をしながら、そのように発言するのだった。

「……あの神父、どんだけ周りに迷惑かけてるんだろう」

 魔物と少女の言葉を聞いたクラウスは呆れる顔をしつつ、静かに息を吐きながら再度ルーナに目を向ける。

(……彼女の傍に居たければ、まずは問題を片付けなければならない、な)

 早く完治をしなければいけない、と考えながら、クラウスはルーナとアシュレイの二人の手伝いをするために、二人に近づいたのだった。
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