53 / 135
アニエス、辺境へ発つ
しおりを挟む
──王女宮の廊下。
よし、成功!転移できたわ。
姫様の部屋へと急ぐ。
姫様のお部屋の前。私はドアを慌ただしく
ノックする。
「え、誰?アルフォンス?駄目よ。
入って来ないで!」
え?拒否られました。ドアの前で中に声を
かける。
「姫様、アニエスです。入れて下さい」
「あ、アニエス?あなた一人なの?
アルフォンスは一緒じゃないのかしら?」
「はい。私、一人です」
バンとドアが開き姫様が、私に飛びつき
ぎゅっと抱きしめる。
「アニエス、戻って来たのね。もう、
会えないかと思った」
私の頬に自分の頬をすりすりする姫様。
……いや、なんでそんな格好?
ハーフアップに結い上げ、少し崩した
艶っぽい髪型。それはいい。
でも……赤いエロエロスケスケな短い夜着に
黒いタイツに赤いガーターベルト。
おまけに右手に鞭が……。
「お~アニエス!おかえり~よく戻って
来れたわね。すごい、すごい」
アルマさんだ。……アルマさん、なぜ?
黒いエロエロスケスケな短い夜着。
首に赤と黒のチョーカー。
生足に赤いハイヒールが色っぽい。
「あ~アニエスだ!おかえり~!
アニエスも着る?今、誰が一番色っぽい
でショーを開催中なの!ねえ、誰が一番
色っぽい?
とうとうアルが宮に来れなくなったから、
完全な男子禁制。もうどんな格好してても
へっちゃらです!」
そういうアイリスさんは、胸を強調した
青い紐の編み込みのあるスケスケな白い
短い夜着。裾がふりふりのレース。
首に青いチョーカー。
髪を一つに束ねて前に垂らしている。
色っぽい。
手には孔雀羽根の扇子。
──誰が一番、色っぽいでショーって何?
王宮中が心配する中、
この人達、一体、何をしているのでしょう?
膝から崩れる私。
「ア~ニ~エ~ス~?ふふふ、ジャン!」
若草色のエロエロスケスケな短い夜着を手に
姫様が笑う。
「うふふふ。アニエスも参加するわよね?」
櫛を手に笑うアルマさん。
「当然、強制参加よ。うふふふふっ!」
黒いタイツに緑のリボンの付いたガーター
ベルトを手に笑うアイリスさん。
何、何、なんなの。あ~ああ~!
──三人がかりで着せられました。
若草色のエロエロスケスケな短い夜着。
髪に緑色のリボンを編み込みされ華やか。
「うわ、アニエス。エロ可愛い!」
姫様がご満悦だ。その右手の鞭はどこかへ
しまって下さい。
「やっぱり若いから?お肌がモチモチ。
ぜんぜん手入れしてないクセに許せない!
あ~うん。アニエスの勝利かな?」
アイリスさん。なんの勝負ですか。
「それにしても綺麗な足よね。
これか!グレン様を悩殺した足は!
うん。納得のエロさ……うん。うん」
アルマさん何を納得してるの。
いけない。この人達のペースに乗せら
れたら話しが進まない!
「姫様、実は私はロイシュタール様に
お会いしました」
「え?」
格好はなんだが一瞬で真顔になる姫様。
やっぱりあのイヤな奴がお好きなのだ。
ま、色恋は当人同士の問題だ。
他人には分かるまい。いくら私があいつを
嫌いでも姫様の想い人だ。
敬意は払おう。
とりあえず女神像の庭の『穴』に落ちた事。
ロイシュタール様に殺されかけた事。
青竜の事。
グレン様の訃報の事を報告した。
あと、アルフォンス様、マクドネル卿の
伝言をアイリスさん、アルマさんに伝える。
「ロイに手紙を書いたから王宮経由で
キルバンに送ってくれる?それでアニエスは
辺境にグレンを探しに行くのね?」
姫様のお顔の表情は固い。
無理ないよね。
ロイシュタール様、怪し過ぎる。
しかも青竜を従えている。
「はい、しばらくお側を離れます。
お許し下さいますか?」
私も真面目な口調だが、格好がエロエロ
スケスケだから。
格好つかない。早く着替えたい。
「許すも何も私からもお願い。グレンを
必ず見つけて。でも、無理はしないで。
アニエス、また戻って来てね」
「はい。必ず」
姫様のお許しが出た。
辺境に行こう。
「あ、アイリスさん生鮮食品を持って
来ました。氷結庫に入れて置きますね。
あと、保存のきく食料も追加しておきます」
「うん。助かる。ありがとう」
あ、そうだ。あれを聞かなきゃ。
「アルマさん。マクドネル卿と婚約して
いる事、なんで私に教えてくれなかったん
ですか?知らなくて恥をかきました!」
恨みがましく言う私。
「あはは、ははは!!言えないわよね~!
アニエス、ウブいもの!あはは、ははは!」
大笑いな姫様。
はい?なんでウブいと言えないの?
顔を両手で隠し真っ赤になって
俯くアルマさん。
その格好だとやたらエロいです。
「うふふっ!アルマ、酔った勢いで
朝チュンなのよね。ミュラーとあはは!」
楽しそうなアイリスさん。
朝チュンって何?
「体中にキスマークつけて帰って来てね。
王女宮に恥ずかしくて籠っていたら、
マクドネルがアルフォンスにアルマとの
婚約願いを出して完全に外堀が埋まっちゃ
ったのよ。
ま、マクドネルの奴、アルフォンスに散々
殴られたらしいけれど。
あと、モールからも半殺しにされたみたい」
姫様が説明してくれる。
体中にキスマーク!それは恥ずかしい。
背中や足でも恥ずかしいのに。
全身!
ああ、そうか。マクドネル卿とアルマさん。
そんな感じなんだ。
へえ。ヘ~え。ふふ。うふふふ。
「妹分には話し辛いよね。アルマ、アニエス
にはお姉さんぶってるから!あはははは」
大笑いなアイリスさん。
「所々覚えているのが余計恥ずかしいの。
何であんな事……。
ああ、自分が今でも信じられない!」
真っ赤になってのたうち回るアルマさん。
可愛いわ。あれ?でも……。
「それって、最近の事じゃないですか?
アルマさん、やたら長袖に高い襟の服を
着てましたよね?」
「お、子リスが鋭いぞ!」
姫様が笑う。
「じゃあ、あの時、服の下には……」
「やめてぇ~!そっとしといてぇ!」
……ぷぷ。成る程、人をからかうのは
楽しいものだ。いつも、からかわれる方だ
から気がつかなかったわ。
アルマさんが可愛い。
「アイリスさん。アルマさん。姫様を
お願いしますね」
「当たり前でしょう。アニエスは無事に
戻って来る事だけを考えなさい」
「うん。怪我とかしないで元気でね」
「あ~もう、湿っぽい!どうせなら
楽しく生きないと!アニエス、旅を楽しみ
なさいな。故郷に里帰りでしょう?
グレンは絶対、無事よ」
女、四人でエロエロスケスケな夜着姿で
抱き合った。
元着ていた服に着替え、姫様達に別れを
告げる。
「あ、これ義母から預かったお菓子です。
みなさんで召し上がって下さい」
マリーナ義母様から預かったお菓子を渡す。
「あ、マリーナ特製ジャムクッキー!
美味しいのよね。これ!
あ、でも地獄を思い出すわ」
ああ、あれか。確かに美味しい。
ザルツコードでお茶受けに食べたわ。
あれ?姫様もキャンプ参加者?
「ああ、地獄のキャンプの後で食べたよね。
懐かし~い!」
「ああ、うん。生きて帰って来たって
実感させてくれるクッキーだよね」
……あ、王女宮、私以外みんな参加者?
確か、グレン様のグループ。
アイリスさんが怪我で抜けて、
アルフォンス様とアルマさんが加入
したって言っていた。
「あれ?姫様もキャンプに参加されたん
ですか?グレン様達と同期?」
「ううん。私、子供の頃体が弱くてグレンと
同じ頃の参加は無理だったから。数期後よ。
私の同期はグレンの元婚約者のプリシラ」
……あ、うん。
聞いた事がある。
グレン様の元婚約者で今は辺境伯夫人。
お館様の奥様か……。
「あ、プリシラによろしくね。
あの子も面白いわよ。あ、元婚約者って
いうのは気にしなくてもぜんぜん平気よ」
……そう、言われても気になりますって。
それに幼馴染みの奥様だしね。
お館様……モニカとは婚約解消に
なったんだな。
モニカ……元のお館様の婚約者。
私のもう一人の幼馴染みの子爵令嬢。
……うん。私、あの子苦手だったんだよね。
彼女、今はどうしているのだろう。
幼い頃からの婚約解消。
ちょっと気の毒。
「では、しばしのお別れを。お元気で」
姫様達は笑顔で見送ってくれた。
転移魔法で王宮の庭にもどる。
あ、アルフォンス様もマクドネル卿も
マックス義兄様もまだ、待っていてくれた。
「三人ともお元気でした。追加の食料補充
をしてお二人の伝言をお伝えしました」
「無事に転移出来たんだ。朗報だな」
アルフォンス様が笑顔になる。
マクドネル卿もほっとした顔だ。
「それで、私。これから北の辺境へ行こうと
思います」
私がそう宣言するとみんな笑う。
「言うと思った。もう、支度済みだよ。
早駆けするからその格好じゃ無理だ。
王宮の侍女に頼んである。着替えておいで。
僕とアルフォンスが同行するよ」
マックス義兄様、また付いて来てくれるの。
アルフォンス様も。
心強い。
もう、二人とも旅支度だ。
私は急いで支度し、用意された馬に乗る。
騎士服……なんか変な感じ。
第ニ騎士団の制服。
アルフォンス様も、マックス義兄様も同じ
濃紺の制服だ。
第二騎士団からも沢山の騎士が派遣されて
いるから目立たない配慮かな?
「お気をつけて。私は王都を守ります。
グレン様をよろしくお願いします」
マクドネル卿に見送られ王都を発つ。
辺境へ向けて。
グレン様の元へ。
私は馬で駆け出した。
よし、成功!転移できたわ。
姫様の部屋へと急ぐ。
姫様のお部屋の前。私はドアを慌ただしく
ノックする。
「え、誰?アルフォンス?駄目よ。
入って来ないで!」
え?拒否られました。ドアの前で中に声を
かける。
「姫様、アニエスです。入れて下さい」
「あ、アニエス?あなた一人なの?
アルフォンスは一緒じゃないのかしら?」
「はい。私、一人です」
バンとドアが開き姫様が、私に飛びつき
ぎゅっと抱きしめる。
「アニエス、戻って来たのね。もう、
会えないかと思った」
私の頬に自分の頬をすりすりする姫様。
……いや、なんでそんな格好?
ハーフアップに結い上げ、少し崩した
艶っぽい髪型。それはいい。
でも……赤いエロエロスケスケな短い夜着に
黒いタイツに赤いガーターベルト。
おまけに右手に鞭が……。
「お~アニエス!おかえり~よく戻って
来れたわね。すごい、すごい」
アルマさんだ。……アルマさん、なぜ?
黒いエロエロスケスケな短い夜着。
首に赤と黒のチョーカー。
生足に赤いハイヒールが色っぽい。
「あ~アニエスだ!おかえり~!
アニエスも着る?今、誰が一番色っぽい
でショーを開催中なの!ねえ、誰が一番
色っぽい?
とうとうアルが宮に来れなくなったから、
完全な男子禁制。もうどんな格好してても
へっちゃらです!」
そういうアイリスさんは、胸を強調した
青い紐の編み込みのあるスケスケな白い
短い夜着。裾がふりふりのレース。
首に青いチョーカー。
髪を一つに束ねて前に垂らしている。
色っぽい。
手には孔雀羽根の扇子。
──誰が一番、色っぽいでショーって何?
王宮中が心配する中、
この人達、一体、何をしているのでしょう?
膝から崩れる私。
「ア~ニ~エ~ス~?ふふふ、ジャン!」
若草色のエロエロスケスケな短い夜着を手に
姫様が笑う。
「うふふふ。アニエスも参加するわよね?」
櫛を手に笑うアルマさん。
「当然、強制参加よ。うふふふふっ!」
黒いタイツに緑のリボンの付いたガーター
ベルトを手に笑うアイリスさん。
何、何、なんなの。あ~ああ~!
──三人がかりで着せられました。
若草色のエロエロスケスケな短い夜着。
髪に緑色のリボンを編み込みされ華やか。
「うわ、アニエス。エロ可愛い!」
姫様がご満悦だ。その右手の鞭はどこかへ
しまって下さい。
「やっぱり若いから?お肌がモチモチ。
ぜんぜん手入れしてないクセに許せない!
あ~うん。アニエスの勝利かな?」
アイリスさん。なんの勝負ですか。
「それにしても綺麗な足よね。
これか!グレン様を悩殺した足は!
うん。納得のエロさ……うん。うん」
アルマさん何を納得してるの。
いけない。この人達のペースに乗せら
れたら話しが進まない!
「姫様、実は私はロイシュタール様に
お会いしました」
「え?」
格好はなんだが一瞬で真顔になる姫様。
やっぱりあのイヤな奴がお好きなのだ。
ま、色恋は当人同士の問題だ。
他人には分かるまい。いくら私があいつを
嫌いでも姫様の想い人だ。
敬意は払おう。
とりあえず女神像の庭の『穴』に落ちた事。
ロイシュタール様に殺されかけた事。
青竜の事。
グレン様の訃報の事を報告した。
あと、アルフォンス様、マクドネル卿の
伝言をアイリスさん、アルマさんに伝える。
「ロイに手紙を書いたから王宮経由で
キルバンに送ってくれる?それでアニエスは
辺境にグレンを探しに行くのね?」
姫様のお顔の表情は固い。
無理ないよね。
ロイシュタール様、怪し過ぎる。
しかも青竜を従えている。
「はい、しばらくお側を離れます。
お許し下さいますか?」
私も真面目な口調だが、格好がエロエロ
スケスケだから。
格好つかない。早く着替えたい。
「許すも何も私からもお願い。グレンを
必ず見つけて。でも、無理はしないで。
アニエス、また戻って来てね」
「はい。必ず」
姫様のお許しが出た。
辺境に行こう。
「あ、アイリスさん生鮮食品を持って
来ました。氷結庫に入れて置きますね。
あと、保存のきく食料も追加しておきます」
「うん。助かる。ありがとう」
あ、そうだ。あれを聞かなきゃ。
「アルマさん。マクドネル卿と婚約して
いる事、なんで私に教えてくれなかったん
ですか?知らなくて恥をかきました!」
恨みがましく言う私。
「あはは、ははは!!言えないわよね~!
アニエス、ウブいもの!あはは、ははは!」
大笑いな姫様。
はい?なんでウブいと言えないの?
顔を両手で隠し真っ赤になって
俯くアルマさん。
その格好だとやたらエロいです。
「うふふっ!アルマ、酔った勢いで
朝チュンなのよね。ミュラーとあはは!」
楽しそうなアイリスさん。
朝チュンって何?
「体中にキスマークつけて帰って来てね。
王女宮に恥ずかしくて籠っていたら、
マクドネルがアルフォンスにアルマとの
婚約願いを出して完全に外堀が埋まっちゃ
ったのよ。
ま、マクドネルの奴、アルフォンスに散々
殴られたらしいけれど。
あと、モールからも半殺しにされたみたい」
姫様が説明してくれる。
体中にキスマーク!それは恥ずかしい。
背中や足でも恥ずかしいのに。
全身!
ああ、そうか。マクドネル卿とアルマさん。
そんな感じなんだ。
へえ。ヘ~え。ふふ。うふふふ。
「妹分には話し辛いよね。アルマ、アニエス
にはお姉さんぶってるから!あはははは」
大笑いなアイリスさん。
「所々覚えているのが余計恥ずかしいの。
何であんな事……。
ああ、自分が今でも信じられない!」
真っ赤になってのたうち回るアルマさん。
可愛いわ。あれ?でも……。
「それって、最近の事じゃないですか?
アルマさん、やたら長袖に高い襟の服を
着てましたよね?」
「お、子リスが鋭いぞ!」
姫様が笑う。
「じゃあ、あの時、服の下には……」
「やめてぇ~!そっとしといてぇ!」
……ぷぷ。成る程、人をからかうのは
楽しいものだ。いつも、からかわれる方だ
から気がつかなかったわ。
アルマさんが可愛い。
「アイリスさん。アルマさん。姫様を
お願いしますね」
「当たり前でしょう。アニエスは無事に
戻って来る事だけを考えなさい」
「うん。怪我とかしないで元気でね」
「あ~もう、湿っぽい!どうせなら
楽しく生きないと!アニエス、旅を楽しみ
なさいな。故郷に里帰りでしょう?
グレンは絶対、無事よ」
女、四人でエロエロスケスケな夜着姿で
抱き合った。
元着ていた服に着替え、姫様達に別れを
告げる。
「あ、これ義母から預かったお菓子です。
みなさんで召し上がって下さい」
マリーナ義母様から預かったお菓子を渡す。
「あ、マリーナ特製ジャムクッキー!
美味しいのよね。これ!
あ、でも地獄を思い出すわ」
ああ、あれか。確かに美味しい。
ザルツコードでお茶受けに食べたわ。
あれ?姫様もキャンプ参加者?
「ああ、地獄のキャンプの後で食べたよね。
懐かし~い!」
「ああ、うん。生きて帰って来たって
実感させてくれるクッキーだよね」
……あ、王女宮、私以外みんな参加者?
確か、グレン様のグループ。
アイリスさんが怪我で抜けて、
アルフォンス様とアルマさんが加入
したって言っていた。
「あれ?姫様もキャンプに参加されたん
ですか?グレン様達と同期?」
「ううん。私、子供の頃体が弱くてグレンと
同じ頃の参加は無理だったから。数期後よ。
私の同期はグレンの元婚約者のプリシラ」
……あ、うん。
聞いた事がある。
グレン様の元婚約者で今は辺境伯夫人。
お館様の奥様か……。
「あ、プリシラによろしくね。
あの子も面白いわよ。あ、元婚約者って
いうのは気にしなくてもぜんぜん平気よ」
……そう、言われても気になりますって。
それに幼馴染みの奥様だしね。
お館様……モニカとは婚約解消に
なったんだな。
モニカ……元のお館様の婚約者。
私のもう一人の幼馴染みの子爵令嬢。
……うん。私、あの子苦手だったんだよね。
彼女、今はどうしているのだろう。
幼い頃からの婚約解消。
ちょっと気の毒。
「では、しばしのお別れを。お元気で」
姫様達は笑顔で見送ってくれた。
転移魔法で王宮の庭にもどる。
あ、アルフォンス様もマクドネル卿も
マックス義兄様もまだ、待っていてくれた。
「三人ともお元気でした。追加の食料補充
をしてお二人の伝言をお伝えしました」
「無事に転移出来たんだ。朗報だな」
アルフォンス様が笑顔になる。
マクドネル卿もほっとした顔だ。
「それで、私。これから北の辺境へ行こうと
思います」
私がそう宣言するとみんな笑う。
「言うと思った。もう、支度済みだよ。
早駆けするからその格好じゃ無理だ。
王宮の侍女に頼んである。着替えておいで。
僕とアルフォンスが同行するよ」
マックス義兄様、また付いて来てくれるの。
アルフォンス様も。
心強い。
もう、二人とも旅支度だ。
私は急いで支度し、用意された馬に乗る。
騎士服……なんか変な感じ。
第ニ騎士団の制服。
アルフォンス様も、マックス義兄様も同じ
濃紺の制服だ。
第二騎士団からも沢山の騎士が派遣されて
いるから目立たない配慮かな?
「お気をつけて。私は王都を守ります。
グレン様をよろしくお願いします」
マクドネル卿に見送られ王都を発つ。
辺境へ向けて。
グレン様の元へ。
私は馬で駆け出した。
0
あなたにおすすめの小説
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる