68 / 135
アニエス、拐われる 2
しおりを挟む
触ると意外と柔らかい黒髪。
撫でると気持ちがいい。
ギラギラと揺るぎない信念を持った金の瞳。
時々見せる優しい色が切ない。
グレン様……。
自分の油断から、敵の手に落ちた。
ごめんなさい。
泣きながら目が覚めた。
誰もいない部屋。
豪華な天蓋付きのベッドに寝かされている。
頭が痛い。殴られた時の怪我はそのままだ。
手当てぐらいしてよ。
右手に金の隷属の腕輪。
また、これか。
今回は片手だけ。でも、前の腕輪よりも
強力そうだ。
さらに両手を鎖で繋がれている。
ここはどこ?
モニカは帝国に一緒に戻ろうと言った。
ここは帝国?
私を後ろから殴り、担ぎ上げた男は赤竜だ。
赤竜は何かに操られているみたい。
幼い頃に見かけた青竜と共にいた赤竜は
やんちゃで陽気な感じだった。
あんな虚ろな瞳じゃなかった。
ため息が出る。
今はそんな事考えている場合じゃないな。
この腕輪を何とかしないと!
右手の腕輪に魔力を込めるが、グニャリと
視界が歪む。酷い眩暈に襲われる。
……魔法は使えないな。でも……。
これ壊せるかも。
なんだかそんな気がする。
諦めず魔力を腕輪に流し続ける。
ガチャリと扉が開く音がする。
赤い長い髪を後ろで一つに束ねた身なりの
良い男が部屋に入って来る。金色の瞳だ。
赤竜?似ているけど……違う。
泣き黒子があるせいかアルフォンス様
に似てる気がする。
男がベッドの上に乗り上げてくる。
顎を捕まれ上を向かされる。
「ふん。他の男の臭いがプンプンするな。
ま、いいさ。多少手間だが、仕方がない。
相手の男を殺せばいいだけの事だ」
……何言ってるのこいつ。誰なの?
「ついでにあの馬鹿な女も殺さないとな。
三年使っても懐妊しない役立たずだが、
今回は、それなりに働いたからな。
せめて苦しまないように殺してやるか」
男の手が体を撫でる。気持ち悪い。
何?なんなのこいつ。
馬鹿な女って誰の事。三年使っても懐妊
しないって……こいつ。女性を何だと思って
いるのよ!
「なんだ?ずいぶん大人しいな。ん?
甘いな……旨い。ふふ、こんな事なら、
最初からお前にしておけば良かった」
頭の傷から流れた血を舐められる。
嫌だ。気持ち悪い!
歯を食い縛り堪える。
「エリザベートが手に入ったら、
お前は繁殖のために赤竜にくれてやるのも
ありかな。ま、お前にはあいつと違って、
色々と使い道があるからな。手に入ったのは
幸運だったよ」
なんでここで姫様の名前が出てくるの?
ひょっとしてこいつ……。
「あなたは誰なの?」
「オズワルド・ゲイル・ガルディアン。」
この国の皇帝さ」
オズワルド!こいつが姫様を襲ったクズか!
正体を知る前からクズだと思ったら、
正真正銘の、どクズだった!
こいつのせいで姫様がどんな辛い思いを
したと思っているんだ。
一発殴りたい!
恐怖よりも怒りの方が大きい。
あ~もう、腕輪!壊れろ!
魔力を思い切り流すが気持ち悪い。
襲ってくる眩暈に吐きそう。
う~。両手を拘束されているから殴れない。
せめて噛みついてやるか。
いつまで人の体を撫で回しているのよ。
このクズ!
よし、噛みついてやる!
──と思った瞬間、胸ポケットに入れていた
手乗りピイちゃんが、
オズワルドの鼻に噛みついた。
悲鳴を上げるオズワルド。
ピイちゃんナイス!
「なんだ?!この花は!」
鼻を押さえながら叫ぶオズワルド。
わ~い。マヌケ!やったよピイちゃん。
喜んだのも束の間、顔を殴られる。
二度、三度と容赦なく打たれる。
口の中が切れた。血の味がする。
頭が揺さぶられたせいで、
赤竜に殴られた時にできた頭の傷が開いた。
また額に血が流れてくる。
くらくらする。痛い、痛いよ。
オズワルドの顔も血まみれだ。
手乗りピイちゃん、鋭い鋸歯で皇帝の鼻を
噛みきる勢いで噛んだみたい。
そのせいでクズがキレた。
何発殴れば気が済むの。狂ったように
殴られる。
グレン様、ごめんなさい。
私、このまま死ぬかも……。
人を襲わないはずのピイちゃんがオズワルド
を襲った。
こいつ、魔物が混ざってないか?
悲鳴を聞いた衛兵が何事かと、部屋に大勢
なだれ込んで来る。
面倒なので死んだふりをする。
か弱い私は殴られたから気絶中よ。
死んだふり。死んだふり。
頭と口から血を流し……あ、鼻血も追加。
両鼻からも生温かいものが流れ出る。
……鼻水じゃないよね?目を閉じているから
どっちだか分からないわ。
まんざら、芝居でもなく、ぐったりとベッド
に横たわる。丈夫だな私。
殴られ馴れててよかった。
ようやく我に帰ったらしいオズワルドが
私に声をかけながら揺さぶる。
女性に暴力を振るうなんて
救いようのないのクズだわ。
頭に怪我してるんだから揺さぶらないでよ。
ぐったりとしたまま意識のない私に舌打ち
すると医者と侍女を呼ぶよう指示し、
衛兵と共に部屋を出て行った。
目を開ける。
部屋には誰もいない。
よし。これで腕輪に集中できる。
すぐに侍女や医者が来る。
早くしないと。
最初から、医者を呼びなさいよ。人でなし。
頭がズキンズキンと痛む。
あ、ふりじゃなくて本気で気絶するかも。
痛みで気が遠くなる。
駄目。本当に気を失っては。
何かパリス伯爵家を思い出しちゃった。
よく、こうやって殴られたよね。
あの頃も、腕には金の腕輪が嵌められて
いたっけ。
……嫌な事思い出すのはやめよう。
ただでさえ気が滅入りそうな状況なのに。
自分で追い討ちをかけてどうする。
とにかく腕輪を壊さないと……。
腕輪に魔力を流す。気持ち悪い。目が回る。
我慢しながらとにかく流し続ける。
一心不乱に腕輪を壊す事に集中した。
ピシッと音がする。
あ、やった。腕輪にヒビが入った。
もう少しだ。
また、ガチャリと扉が開く音がする。
医者かな?それとも侍女かな。
もう!もう少しなのに。
慌てて目を瞑る。
とりあえず、死んだふり作戦継続。
私は気絶中。気絶中。
時間を稼いでその間に腕輪を壊さないと。
気絶したふりで腕輪にひたすら魔力を
流し続ける。
「あら、ずいぶん手荒く扱われたわねぇ」
………この声、モニカだ。
他にも数人の気配と声がする。
侍女かな?
「今、着替えさせても血だらけになるから、
先に治療しないと駄目ね。私が見ている
から医者を急がせてちょうだい」
侍女が部屋を出て行く。
モニカと二人で部屋に残される。
私は目を開けた。
モニカと目が合う。
派手に着飾った幼馴染み。
何、その格好。
一つ年上の彼女とは同じ子爵家。
同じ辺境伯を支える家臣の子供同士。
生まれた時から
家族ぐるみで付き合って来たけれど、
お館様……アイザック様と婚約した頃から
モニカは私を見下すようになった。
色々、意地悪をされたので実は、この子の
事はあまり好きではない。
よく、黒竜に愚痴を言っていたわ。
でも、親子揃って帝国の間諜かぁ。
複雑だ。
「ふふ、気がついた?酷い有り様ね。
もう、オズワルド様は何であんたなんかを
連れて来るようにおっしゃったのかしら?」
なんだ?モニカは理由を知らないのか。
役に立たないなぁ。
ん?役に立たない?
『三年使って懐妊しない役立たず』って
まさか……。まさかね?
だって、三年前ってモニカはまだお館様の
婚約者だったもの。
「モニカは何で帝国の手先なのよ。
お父様が帝国の間諜だったから、仕方が
なかったの?」
「は?逆よ。逆。私が帝国の間諜だったから
父様を手先に使ってたのよ」
「え?」
「だって私。オズワルド様の皇妃に
なるんですもの。
オズワルド様のためなら何でもするわ」
「はい?いやそれは無理じゃない?敵国の
子爵家の娘が皇妃にはなれないでしょ」
「ふふん。それが無理じゃないのよ!
だって私、金竜の末裔だから。
オズワルド様に望まれて婚姻鱗も頂いたの。
私達、三年前から番なのよ。
番が皇妃になるのは当然でしょう?」
……番、婚姻鱗。ここでそんな物が
出てくるの?は??
モニカが金竜の末裔なのは本当だろう。
黒竜は辺境には数家族、金竜の末裔がいると
言っていたから。
何せ私もそうだ。
でもオズワルドが婚姻鱗をモニカに渡した?
あいつは竜なの?
「婚姻鱗を貰っただけ?交換じゃなくて?」
「私は金竜の末裔だけれど、人なのよ?
鱗なんて生える訳ないでしょう。
竜と人が番になるために、竜から人に鱗を
与えるのよ。種族が違うのよ?
じゃなきゃ番になれないわ。
私の御先祖様の金竜も同じ事をしたはずよ」
あ~うん。成る程。そうやって人と竜の
血が混ざって子孫ができるのね。
分かった。分かったけど、引っ掛かる。
黒竜は雄の婚姻鱗は、雌に気に入られる
ための、ただのプレゼントだと言っていた。
選択権は雌にある。
竜同士は雌が自分の婚姻鱗を相手に渡すこと
で、婚姻成立。要するに交換だよね。
じゃあ、竜と人の場合は?
雄の婚姻鱗は失恋するとまた生えてくると
黒竜は言っていた。
失恋しなくても、相手が死んだら……。
また、生えてくる?
邪魔になった仮の番を殺して
新しい番を迎える。
オズワルドのクズさ加減からしてありそう。
大体、オズワルドが執着しているのは
姫様だよね。だとすると
『三年使って懐妊しない役立たず』
殺さないといけない
『馬鹿な女』って……。
モニカの事だよね。
──モニカさん。騙されてません?
これ、竜の結婚詐欺なんじゃない?
いや、オズワルドが本当に竜かどうか、
まだ分からないけれど。
──竜の結婚詐欺疑惑。
黒竜に聞きたい事がまた一つ増えたわ。
私はため息をついた。
撫でると気持ちがいい。
ギラギラと揺るぎない信念を持った金の瞳。
時々見せる優しい色が切ない。
グレン様……。
自分の油断から、敵の手に落ちた。
ごめんなさい。
泣きながら目が覚めた。
誰もいない部屋。
豪華な天蓋付きのベッドに寝かされている。
頭が痛い。殴られた時の怪我はそのままだ。
手当てぐらいしてよ。
右手に金の隷属の腕輪。
また、これか。
今回は片手だけ。でも、前の腕輪よりも
強力そうだ。
さらに両手を鎖で繋がれている。
ここはどこ?
モニカは帝国に一緒に戻ろうと言った。
ここは帝国?
私を後ろから殴り、担ぎ上げた男は赤竜だ。
赤竜は何かに操られているみたい。
幼い頃に見かけた青竜と共にいた赤竜は
やんちゃで陽気な感じだった。
あんな虚ろな瞳じゃなかった。
ため息が出る。
今はそんな事考えている場合じゃないな。
この腕輪を何とかしないと!
右手の腕輪に魔力を込めるが、グニャリと
視界が歪む。酷い眩暈に襲われる。
……魔法は使えないな。でも……。
これ壊せるかも。
なんだかそんな気がする。
諦めず魔力を腕輪に流し続ける。
ガチャリと扉が開く音がする。
赤い長い髪を後ろで一つに束ねた身なりの
良い男が部屋に入って来る。金色の瞳だ。
赤竜?似ているけど……違う。
泣き黒子があるせいかアルフォンス様
に似てる気がする。
男がベッドの上に乗り上げてくる。
顎を捕まれ上を向かされる。
「ふん。他の男の臭いがプンプンするな。
ま、いいさ。多少手間だが、仕方がない。
相手の男を殺せばいいだけの事だ」
……何言ってるのこいつ。誰なの?
「ついでにあの馬鹿な女も殺さないとな。
三年使っても懐妊しない役立たずだが、
今回は、それなりに働いたからな。
せめて苦しまないように殺してやるか」
男の手が体を撫でる。気持ち悪い。
何?なんなのこいつ。
馬鹿な女って誰の事。三年使っても懐妊
しないって……こいつ。女性を何だと思って
いるのよ!
「なんだ?ずいぶん大人しいな。ん?
甘いな……旨い。ふふ、こんな事なら、
最初からお前にしておけば良かった」
頭の傷から流れた血を舐められる。
嫌だ。気持ち悪い!
歯を食い縛り堪える。
「エリザベートが手に入ったら、
お前は繁殖のために赤竜にくれてやるのも
ありかな。ま、お前にはあいつと違って、
色々と使い道があるからな。手に入ったのは
幸運だったよ」
なんでここで姫様の名前が出てくるの?
ひょっとしてこいつ……。
「あなたは誰なの?」
「オズワルド・ゲイル・ガルディアン。」
この国の皇帝さ」
オズワルド!こいつが姫様を襲ったクズか!
正体を知る前からクズだと思ったら、
正真正銘の、どクズだった!
こいつのせいで姫様がどんな辛い思いを
したと思っているんだ。
一発殴りたい!
恐怖よりも怒りの方が大きい。
あ~もう、腕輪!壊れろ!
魔力を思い切り流すが気持ち悪い。
襲ってくる眩暈に吐きそう。
う~。両手を拘束されているから殴れない。
せめて噛みついてやるか。
いつまで人の体を撫で回しているのよ。
このクズ!
よし、噛みついてやる!
──と思った瞬間、胸ポケットに入れていた
手乗りピイちゃんが、
オズワルドの鼻に噛みついた。
悲鳴を上げるオズワルド。
ピイちゃんナイス!
「なんだ?!この花は!」
鼻を押さえながら叫ぶオズワルド。
わ~い。マヌケ!やったよピイちゃん。
喜んだのも束の間、顔を殴られる。
二度、三度と容赦なく打たれる。
口の中が切れた。血の味がする。
頭が揺さぶられたせいで、
赤竜に殴られた時にできた頭の傷が開いた。
また額に血が流れてくる。
くらくらする。痛い、痛いよ。
オズワルドの顔も血まみれだ。
手乗りピイちゃん、鋭い鋸歯で皇帝の鼻を
噛みきる勢いで噛んだみたい。
そのせいでクズがキレた。
何発殴れば気が済むの。狂ったように
殴られる。
グレン様、ごめんなさい。
私、このまま死ぬかも……。
人を襲わないはずのピイちゃんがオズワルド
を襲った。
こいつ、魔物が混ざってないか?
悲鳴を聞いた衛兵が何事かと、部屋に大勢
なだれ込んで来る。
面倒なので死んだふりをする。
か弱い私は殴られたから気絶中よ。
死んだふり。死んだふり。
頭と口から血を流し……あ、鼻血も追加。
両鼻からも生温かいものが流れ出る。
……鼻水じゃないよね?目を閉じているから
どっちだか分からないわ。
まんざら、芝居でもなく、ぐったりとベッド
に横たわる。丈夫だな私。
殴られ馴れててよかった。
ようやく我に帰ったらしいオズワルドが
私に声をかけながら揺さぶる。
女性に暴力を振るうなんて
救いようのないのクズだわ。
頭に怪我してるんだから揺さぶらないでよ。
ぐったりとしたまま意識のない私に舌打ち
すると医者と侍女を呼ぶよう指示し、
衛兵と共に部屋を出て行った。
目を開ける。
部屋には誰もいない。
よし。これで腕輪に集中できる。
すぐに侍女や医者が来る。
早くしないと。
最初から、医者を呼びなさいよ。人でなし。
頭がズキンズキンと痛む。
あ、ふりじゃなくて本気で気絶するかも。
痛みで気が遠くなる。
駄目。本当に気を失っては。
何かパリス伯爵家を思い出しちゃった。
よく、こうやって殴られたよね。
あの頃も、腕には金の腕輪が嵌められて
いたっけ。
……嫌な事思い出すのはやめよう。
ただでさえ気が滅入りそうな状況なのに。
自分で追い討ちをかけてどうする。
とにかく腕輪を壊さないと……。
腕輪に魔力を流す。気持ち悪い。目が回る。
我慢しながらとにかく流し続ける。
一心不乱に腕輪を壊す事に集中した。
ピシッと音がする。
あ、やった。腕輪にヒビが入った。
もう少しだ。
また、ガチャリと扉が開く音がする。
医者かな?それとも侍女かな。
もう!もう少しなのに。
慌てて目を瞑る。
とりあえず、死んだふり作戦継続。
私は気絶中。気絶中。
時間を稼いでその間に腕輪を壊さないと。
気絶したふりで腕輪にひたすら魔力を
流し続ける。
「あら、ずいぶん手荒く扱われたわねぇ」
………この声、モニカだ。
他にも数人の気配と声がする。
侍女かな?
「今、着替えさせても血だらけになるから、
先に治療しないと駄目ね。私が見ている
から医者を急がせてちょうだい」
侍女が部屋を出て行く。
モニカと二人で部屋に残される。
私は目を開けた。
モニカと目が合う。
派手に着飾った幼馴染み。
何、その格好。
一つ年上の彼女とは同じ子爵家。
同じ辺境伯を支える家臣の子供同士。
生まれた時から
家族ぐるみで付き合って来たけれど、
お館様……アイザック様と婚約した頃から
モニカは私を見下すようになった。
色々、意地悪をされたので実は、この子の
事はあまり好きではない。
よく、黒竜に愚痴を言っていたわ。
でも、親子揃って帝国の間諜かぁ。
複雑だ。
「ふふ、気がついた?酷い有り様ね。
もう、オズワルド様は何であんたなんかを
連れて来るようにおっしゃったのかしら?」
なんだ?モニカは理由を知らないのか。
役に立たないなぁ。
ん?役に立たない?
『三年使って懐妊しない役立たず』って
まさか……。まさかね?
だって、三年前ってモニカはまだお館様の
婚約者だったもの。
「モニカは何で帝国の手先なのよ。
お父様が帝国の間諜だったから、仕方が
なかったの?」
「は?逆よ。逆。私が帝国の間諜だったから
父様を手先に使ってたのよ」
「え?」
「だって私。オズワルド様の皇妃に
なるんですもの。
オズワルド様のためなら何でもするわ」
「はい?いやそれは無理じゃない?敵国の
子爵家の娘が皇妃にはなれないでしょ」
「ふふん。それが無理じゃないのよ!
だって私、金竜の末裔だから。
オズワルド様に望まれて婚姻鱗も頂いたの。
私達、三年前から番なのよ。
番が皇妃になるのは当然でしょう?」
……番、婚姻鱗。ここでそんな物が
出てくるの?は??
モニカが金竜の末裔なのは本当だろう。
黒竜は辺境には数家族、金竜の末裔がいると
言っていたから。
何せ私もそうだ。
でもオズワルドが婚姻鱗をモニカに渡した?
あいつは竜なの?
「婚姻鱗を貰っただけ?交換じゃなくて?」
「私は金竜の末裔だけれど、人なのよ?
鱗なんて生える訳ないでしょう。
竜と人が番になるために、竜から人に鱗を
与えるのよ。種族が違うのよ?
じゃなきゃ番になれないわ。
私の御先祖様の金竜も同じ事をしたはずよ」
あ~うん。成る程。そうやって人と竜の
血が混ざって子孫ができるのね。
分かった。分かったけど、引っ掛かる。
黒竜は雄の婚姻鱗は、雌に気に入られる
ための、ただのプレゼントだと言っていた。
選択権は雌にある。
竜同士は雌が自分の婚姻鱗を相手に渡すこと
で、婚姻成立。要するに交換だよね。
じゃあ、竜と人の場合は?
雄の婚姻鱗は失恋するとまた生えてくると
黒竜は言っていた。
失恋しなくても、相手が死んだら……。
また、生えてくる?
邪魔になった仮の番を殺して
新しい番を迎える。
オズワルドのクズさ加減からしてありそう。
大体、オズワルドが執着しているのは
姫様だよね。だとすると
『三年使って懐妊しない役立たず』
殺さないといけない
『馬鹿な女』って……。
モニカの事だよね。
──モニカさん。騙されてません?
これ、竜の結婚詐欺なんじゃない?
いや、オズワルドが本当に竜かどうか、
まだ分からないけれど。
──竜の結婚詐欺疑惑。
黒竜に聞きたい事がまた一つ増えたわ。
私はため息をついた。
31
あなたにおすすめの小説
カナリアというよりは鶸(ひわ)ですが? 蛇令息とカナリア(仮)令嬢
しろねこ。
恋愛
キャネリエ家にはカナリアと呼ばれる令嬢がいる。
その歌声は癒しと繁栄をもたらすと言われ、貴族だけではなく、王族や他国からの貴賓にも重宝されていた。
そんなカナリア令嬢と間違えられて(?)求婚されたフィリオーネは、全力で自分はカナリア令嬢ではないと否定する。
「カナリア令嬢は従妹のククルの事です。私は只の居候です」
両親を亡くし、キャネリエ家の離れに住んでいたフィリオーネは突然のプロポーズに戸惑った。
自分はカナリアのようにきれいに歌えないし、体も弱い引きこもり。どちらかというと鶸のような存在だ。
「間違えてなどいない。あなたこそカナリアだ」
フィリオーネに求婚しに来たのは王子の側近として名高い男性で、通称蛇令息。
蛇のようにしつこく、そして心が冷たいと噂されている彼は、フィリオーネをカナリア令嬢と呼び、執拗に口説きに来る。
自分はそんな器ではないし、見知らぬ男性の求婚に困惑するばかり。
(そもそも初めて会ったのに何故?)
けれど蛇令息はフィリオーネの事を知っているようで……?
ハピエン・ご都合主義・両片思いが大好きです。
お読みいただけると嬉しいです(/ω\)!
カクヨムさん、小説家になろうさんでも投稿しています。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!?
貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。
愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。
枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる
はなまる
恋愛
らすじ
フレイシアは10歳の頃母と一緒に魔物に遭遇。その時母はかなりの傷を負い亡くなりショックで喋れなくなtったがその時月の精霊の加護を受けて微力ながらも魔法が使えるようになった。
このニルス国では魔力を持っている人間はほとんどいなくて魔物討伐でけがを負った第二王子のジェリク殿下の怪我をほんの少し治せた事からジェリク殿下から聖女として王都に来るように誘われる。
フレイシアは戸惑いながらも淡い恋心を抱きジェリク殿下の申し出を受ける。
そして王都の聖教会で聖女として働くことになりジェリク殿下からも頼られ婚約者にもなってこの6年フレイシアはジェリク殿下の期待に応えようと必死だった。
だが、最近になってジェリクは治癒魔法が使えるカトリーナ公爵令嬢に気持ちを移してしまう。
その前からジェリク殿下の態度に不信感を抱いていたフレイシアは魔力をだんだん失くしていて、ついにジェリクから枯渇聖女と言われ婚約を破棄されおまけに群れ衣を着せられて王都から辺境に追放される事になった。
追放が決まり牢に入れられている間に月の精霊が現れフレイシアの魔力は回復し、翌日、辺境に向かう騎士3名と一緒に荷馬車に乗ってその途中で魔物に遭遇。フレイシアは想像を超える魔力を発揮する。
そんな力を持って辺境に‥
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。少し間が開いてしまいましたがよろしくです。
まったくの空想の異世界のお話。誤字脱字などご不快な点は平にご容赦お願いします。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。他のサイトにも投稿しています。
呪われた黒猫と蔑まれた私ですが、竜王様の番だったようです
シロツメクサ
恋愛
ここは竜人の王を頂点として、沢山の獣人が暮らす国。
厄災を運ぶ、不吉な黒猫─────そう言われ村で差別を受け続けていた黒猫の獣人である少女ノエルは、愛する両親を心の支えに日々を耐え抜いていた。けれど、ある日その両親も土砂崩れにより亡くなってしまう。
不吉な黒猫を産んだせいで両親が亡くなったのだと村の獣人に言われて絶望したノエルは、呼び寄せられた魔女によって力を封印され、本物の黒猫の姿にされてしまった。
けれど魔女とはぐれた先で出会ったのは、なんとこの国の頂点である竜王その人で─────……
「やっと、やっと、見つけた────……俺の、……番……ッ!!」
えっ、今、ただの黒猫の姿ですよ!?というか、私不吉で危ないらしいからそんなに近寄らないでー!!
「……ノエルは、俺が竜だから、嫌なのかな。猫には恐ろしく感じるのかも。ノエルが望むなら、体中の鱗を剥いでもいいのに。それで一生人の姿でいたら、ノエルは俺にも自分から近付いてくれるかな。懐いて、あの可愛い声でご飯をねだってくれる?」
「……この周辺に、動物一匹でも、近づけるな。特に、絶対に、雄猫は駄目だ。もしもノエルが……番として他の雄を求めるようなことがあれば、俺は……俺は、今度こそ……ッ」
王様の傍に厄災を運ぶ不吉な黒猫がいたせいで、万が一にも何かあってはいけない!となんとか離れようとするヒロインと、そんなヒロインを死ぬほど探していた、何があっても逃さない金髪碧眼ヤンデレ竜王の、実は持っていた不思議な能力に気がついちゃったりするテンプレ恋愛ものです。世界観はゆるふわのガバガバでつっこみどころいっぱいなので何も考えずに読んでください。
※ヒロインは大半は黒猫の姿で、その正体を知らないままヒーローはガチ恋しています(別に猫だから好きというわけではありません)。ヒーローは金髪碧眼で、竜人ですが本編のほとんどでは人の姿を取っています。ご注意ください。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる