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女、四人。再会す
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……ぬくい。ん~なんかよく寝たな。
ふかふかなベッドで寝返りを打つ。
幸せ~ゴロゴロする。
でも、もうちょっと寝ようかな。
二度寝しようとしたが、ふと気づく。
──ん?ふかふかなベッド?
………私、何で寝てるの!
ガバッと起き上がる。
あれ?ここ王女宮の私の部屋だ。
「あ!アニエスが起きた。姫様~
アニエス、起きましたよ~」
赤い髪のドレス姿の美女が枕元に座って
いた。手には本を持っている。
アルマさんだ!
「アルマさん!」
思わず抱きつく。
無事だった!良かった。
「あら、あら。アニエスったら」
あやすように背中をポンポン叩かれる。
「アニエス、起きたんですって?
あ、ホントだ~!もう、ぜんぜん起きない
から心配したわよ。
お腹すいたでしょ?何か食べるものを
もらって来る……うわっ!」
騎士服を着た凛々しいアイリスだ!
今度はアイリスさんにガバッと抱きつく。
アイリスさんも無事だ……。
「……心配かけたのはこっちの方か。
ごめんね。アニエス、沢山心配したね?」
アイリスさんも私を抱きしめて背中を
ポンポンしてくれる。
「アイリスさん、アイリスさん!」
涙が止まらない。
アイリスさんにぎゅうぎゅう抱きつく。
「あら、いやだ。アニエス泣いてる?
大丈夫よ~私達、三人とも無事よ。
ほら、おいで?」
ドレス姿……目映いぐらいドレスアップした
姫様が手を広げて立っている。
「姫様!姫様!姫様!!」
ガバッと姫様に抱きつく。
無事だった。みんな無事。
わんわん泣いた。
あの抉れた王女宮のあった場所を見た時の
恐怖を思い出す。
陛下やグレン様は大笑いしたし、
青竜の話でキルバンで無事なのは分かって
いたけれど。でも、でも心配だった。
良かった。良かったよ~!
「アニエス。もう泣かないの。またリスが
ウサギになっちゃう。あなた泣くとすぐに
目が腫れるから。よしよし、いい子」
姫様も背中をポンポンしてくださる。
「ふふふ。これで四人、揃ったわね。
アニエスとは、しばらく会えないと思って
いたから、うれしい。
よくキルバンまで来てくれたわね。
ありがとうアニエス」
「うん。アニエス、えらい」
「ホント。アニエス、また会えてうれしい」
──女四人で抱き合った。
うん。別れた時もこうして皆で抱き合った。
あの時は四人ともエロエロスケスケな夜着を
着てたっけ。
ふふふ。今、思い出すと笑える。
『誰が一番色っぽいでショー』の時以来だ。
まだそんなに日にちは経っていないのに
物凄く時間が経っている気がする。
あれから、色々あったもんね。
部屋に食事が運び込まれる。私達以外の
侍女が数人仕度して退室して行った。
……呆然とそれを見る私。
王女宮に私達以外の使用人がいる。
何かショック。
「ね?何か他の人がいるのに慣れないの。
まだ、しばらくの間は他の人は出入り禁止に
してしまいたいくらい。
ま、そういう訳にもいかないけれどね。
ここはキルバンだし」
「あ~お茶淹れたい!」
「あ~掃除したい!」
アイリスさんとアルマさんが言う。
うん。私もさっき、カトラリーのセットを
自分でしたかったもん。
「あ~!いつもの男装姿になりたい!
もう、あれに慣れるとドレスは拷問よ。
あ、アニエス、冷めないうちに食べて。
アルトリア風の味付けになっているから
食べやすいはずよ。消化にいいものにして
もらったから」
……これが普通なんだろうけど。変な感じ。
お腹がすいていたのでペロリと食べた。
美味しいけど、食後のお茶がいまいち。
あ~アイリスさんの淹れたお茶が飲みたい。
とりあえずお腹が満たされ、人心地ついた。
「さて。アニエス、あなた実は三日間も
目を覚まさなかったのよ?
アーサーが抱いて王女宮に連れて来て
くれた時はびっくりしたわ。体調はどう?」
姫様が言う。
え?私、三日も寝てたの!
アーサー様が私を連れて来て下さった?
私、キルバンに来るために青竜の『穴』に
竜達と一緒に飛び込んだはずなのに。
どうなっているの?
……そういえば、帝国に拉致されて
一晩中、逃げ回った。
腕輪を壊すのに結構、魔力を消費した。
女医さんに治療してもらったけれど、
オズワルドにボコボコに殴られたし。
王宮で転移魔法を使ったし、
『穴』には三回落ちている。
……実は体力的に限界だったのかも。
私はどうも限界を越えるとやたらと寝る。
三日も目が覚めないなんて、心配させて
しまったな。申し訳ない。
姫様達に別れた時からあった出来事を
すべて話す。
話の間に姫様が私の口にチョコレートを
放り込む。美味しい。
これプチ・エトワールのオリジナルレシピの
チョコレートだ。
キルバンで食べれるなんて不思議。
「グレン、無事だったのね。よかった」
姫様が笑う。
それにしてもドレス姿。お美しい。
着るのは苦しくても見る人の目は楽しませて
くれてますよ姫様。
「それにしても、オズワルドの奴!
アニエスを拉致して隷属の腕輪を
嵌めたうえに顔を殴るなんて……あの鬼畜!
あいつだけは許さないわ。
見てなさい!絶対、ぶちのめしてやるから」
かんかんに怒る姫様。いえ、姫様。
大丈夫です。お手を煩わせませんとも。
あいつは必ず私がぶち殺しますから。
「よく、自力で逃げて来たわね。えらいぞ
アニエス。よしよし」
アイリスさんが私の頭を撫でる。
いや、運がよかっただけです。
金竜の幽霊が導いてくれたから無事に
逃げられたんだし。
「私のせいでアルフォンス様が何か準備不足
の状態で帝国に行く事になってしまった
みたいで……。
すみません。アルマさん、アイリスさん」
アルフォンス様、無事なんだろうか?
私のせいで予定より早く帝国に行った。
何か不都合がなければいいのだけれど。
「そう。アルフォンスは帝国に行ったのね。
……とうとう動き始めたか。
アイリス、あなたいいの?
アルフォンスの側にいてあげなくて」
「……私は姫様のお側を離れませんよ?」
「十二年。もうすぐ十三年か。
長い間、私に付き添ってくれてありがとう。
アイリス、あなたに暇を出します。
命令です。アルフォンスの所に行きなさい」
え?何、何!何が始まったの。
アイリスさんにお暇を出す?嘘でしょ!
「私はお側を離れないと言いました」
「アイリスだけじゃない。
アルマ、アニエス。
あなた達にも暇をとらせます。
──今まで本当にありがとう」
え?私達も!
「「「姫様!」」」
どうして?なんでですか。
「私はこうして結界から解放されたわ。
これからは、ロイシュタールと共に
キルバンで生きて行く。
アイリスは、アルフォンス。
アルマはマクドネル。
アニエスはグレン。
みんな、人生を共に生きたい人がいる。
私達、お別れしないと。
別々の人生を生きるの。
今まで本当にありがとう。
あなた達がいてくれたから、
私は生きてこれた。楽しかったわ」
「姫様、まだ駄目です。まだオズワルドに
狙われているのにお側を離れられません」
アイリスさんがいい募る。
そうですよ。まだ、安心できません。
「アルフォンスが上手くやってくれたら
オズワルドの力を削げる。アイリスは
アルフォンスの力になってあげて」
「でも!」
「私は平気。ロイが一緒にいるのよ?
それに青竜が王女宮に結界を張ってくれる
らしいわ。……白竜の次は青竜。
もう、私は竜にお世話になりっぱなしね。
まあ、青竜はアニエスを襲った罪が
あるからバンバンこき使うからいいけど。
あ、このプチ・エトワールのチョコは
アニエスの大好物だからって、青竜に
アルトリアの王都まで買いに行かせたの。
『穴』って便利ね」
……このチョコ、青竜が買ってきたんだ。
こき使われているわね。青竜。笑える。
「姫様、嫌です」
「もう!しょうもない。聞き分けなさい。
いい?永遠の別れじゃないわ。
少し関係が変わるだけ。
私達、ちょっと姉妹みたいじゃない?
アイリスが長女。私が次女。アルマが三女。
アニエスが可愛い末っ子。
少し離れても姉妹だもの、平気よ平気。
ま、ちょっと寂しいけどね。
アイリスは私のせいでアルフォンスと
別れた。ずっと気になっていたの。
ねえ、好きな男が命懸けで敵地にいるのよ?
あなたは私の側で指をくわえて見ている
だけでいいの?
アイリスみたいに戦える女がそれでいい?」
「う、良くない……です」
「でしょ!アルフォンスの側にいて
助けあげたいでしょ?弱音を吐いたら
お尻を蹴飛ばしてあげたいでしょ?」
「……ですね」
あ、アイリスさん。陥落した。
「お尻といえば、アイリスさん。さっそく
ですが、アルフォンス様に乗馬を教えて
あげて下さい。ものすごい下手です。
早駆けできません。
辺境まで馬で一緒に行きましたけれど
お尻が痛いと言って自分でお尻に治癒魔法を
かけていました。間抜けです。
何とかして下さい」
私がアイリスさんに文句を言う。
三人とも大笑いする。
「アルフォンス、まだ馬が駄目なんだ。
おかし~!あははは」
「……うちの兄がとんだ迷惑を。ぷっ!
ごめんね。アニエス……あはは!」
「もう、アルめ!よし、特訓してあげる。
それにしても、お尻に治癒魔法をかける
なんて……間抜けよね!あははは!!」
「はあ、おかしい。……さて。アニエスは
グレンの所に行くでしょ?
あなたは強い。きっと役にたてるわ」
姫様、今度は私ですか?
「役にたてるかは分かりませんが、側には
いたいです」
「いい子ね。正直でよろしい。
ほら他の二人もアニエスを見習いなさいな。
アイリスもアルマも意地っ張りなんだから。
特にアルマ。
あなたそのお腹じゃ無理しちゃ駄目よ。
身二つになるまで大人しくしてなさい」
「え?!」
私だけ驚く。
え?ええ~~!!アルマさん、赤ちゃん?
「うわ。アニエス、いい驚きっぷりね。
そりゃ驚くわよね。私達も驚いたもの。
ほら、『穴』を使って王女宮ごと転移した
でしょう?ロイが心配してくれて私達、
念のためにお医者に診ていただいたの。
そうしたらアルマ妊娠してるって!
もうびっくりよ」
姫様の言葉に真っ赤になるアルマさん。
マクドネル卿の赤ちゃん。
うわ!おめでとうございます!
「……まさか、たった一回で子供ができる
なんて信じられなくて……。
自分でも気がついてなかったから
私も驚きましたよ!」
恥ずかしいそうに俯くアルマさん。
可愛い!
「一回でも、する事したら妊娠する可能性は
あるわよ。避妊もしてなかったって言うし」
う、……姫様、生々しい事を。
あれ?避妊?そういえばあの時したっけ?
……思わずお腹に手をやる。
まさかね?……大丈夫だよね?
いや、子供は欲しいけれど……。
状況的に今は困る。
戦えなくなったら困るわ。
「何か、意味深なリアクションね?」
「首にまたキスマークをつけてますしね」
「あらいやだ。妊婦仲間ができるのかしら」
姫様、アイリスさん、アルマさんが生暖かい
目で私を見る。
あ、しまった。バレた?
「ホント、分かりやすい子ねえ~。
へえ~どんなシュチエーションだったのか、
ぜひ聞かせてもらいましょうか?
うふふふ。ア~ニ~エ~ス~ふふふふ」
「うふふふ。ほら、ほら。さっさと話し
ちゃいなさいな。ア~ニ~エ~ス~」
「聞かれる側から聞く側になれるなんて!
うふふふ。さあ、アニエス!お姉様達に
詳しく教えなさいな。ふふふふ」
三人ともにじり寄ってくる。
あ、ああ~。助けて~!
………三人がかりで、聞き出されました。
恥ずかしい。
私から誘惑した事も話しちゃった。
「あははは!!足で悩殺か!足フェチの
グレンじゃイチコロね!
やるわねアニエス。子リスのクセに!」
「あははは!誘惑!子リスが!お腹痛い!」
「誘惑!私の朝チュンを越えるインパクト!
でかしたぞ子リス!あはは!面白いわ~」
お姉様達、大爆笑。
ちょっと笑い過ぎだって!もう!
ひとしきり笑った後、姫様が笑いを納めて
真面目な顔になる。
「お互い悔いのない人生にしよう。
道は別れても私達は姉妹よ?」
女、四人で抱き合った。
もう、散々笑っていたのに切り替えが
早いですよ。姫様……。
とたんにしんみりする。
ちょっと寂しいけれど、私達。
それぞれの道を行く。
私達、侍女を首になりました。
ふかふかなベッドで寝返りを打つ。
幸せ~ゴロゴロする。
でも、もうちょっと寝ようかな。
二度寝しようとしたが、ふと気づく。
──ん?ふかふかなベッド?
………私、何で寝てるの!
ガバッと起き上がる。
あれ?ここ王女宮の私の部屋だ。
「あ!アニエスが起きた。姫様~
アニエス、起きましたよ~」
赤い髪のドレス姿の美女が枕元に座って
いた。手には本を持っている。
アルマさんだ!
「アルマさん!」
思わず抱きつく。
無事だった!良かった。
「あら、あら。アニエスったら」
あやすように背中をポンポン叩かれる。
「アニエス、起きたんですって?
あ、ホントだ~!もう、ぜんぜん起きない
から心配したわよ。
お腹すいたでしょ?何か食べるものを
もらって来る……うわっ!」
騎士服を着た凛々しいアイリスだ!
今度はアイリスさんにガバッと抱きつく。
アイリスさんも無事だ……。
「……心配かけたのはこっちの方か。
ごめんね。アニエス、沢山心配したね?」
アイリスさんも私を抱きしめて背中を
ポンポンしてくれる。
「アイリスさん、アイリスさん!」
涙が止まらない。
アイリスさんにぎゅうぎゅう抱きつく。
「あら、いやだ。アニエス泣いてる?
大丈夫よ~私達、三人とも無事よ。
ほら、おいで?」
ドレス姿……目映いぐらいドレスアップした
姫様が手を広げて立っている。
「姫様!姫様!姫様!!」
ガバッと姫様に抱きつく。
無事だった。みんな無事。
わんわん泣いた。
あの抉れた王女宮のあった場所を見た時の
恐怖を思い出す。
陛下やグレン様は大笑いしたし、
青竜の話でキルバンで無事なのは分かって
いたけれど。でも、でも心配だった。
良かった。良かったよ~!
「アニエス。もう泣かないの。またリスが
ウサギになっちゃう。あなた泣くとすぐに
目が腫れるから。よしよし、いい子」
姫様も背中をポンポンしてくださる。
「ふふふ。これで四人、揃ったわね。
アニエスとは、しばらく会えないと思って
いたから、うれしい。
よくキルバンまで来てくれたわね。
ありがとうアニエス」
「うん。アニエス、えらい」
「ホント。アニエス、また会えてうれしい」
──女四人で抱き合った。
うん。別れた時もこうして皆で抱き合った。
あの時は四人ともエロエロスケスケな夜着を
着てたっけ。
ふふふ。今、思い出すと笑える。
『誰が一番色っぽいでショー』の時以来だ。
まだそんなに日にちは経っていないのに
物凄く時間が経っている気がする。
あれから、色々あったもんね。
部屋に食事が運び込まれる。私達以外の
侍女が数人仕度して退室して行った。
……呆然とそれを見る私。
王女宮に私達以外の使用人がいる。
何かショック。
「ね?何か他の人がいるのに慣れないの。
まだ、しばらくの間は他の人は出入り禁止に
してしまいたいくらい。
ま、そういう訳にもいかないけれどね。
ここはキルバンだし」
「あ~お茶淹れたい!」
「あ~掃除したい!」
アイリスさんとアルマさんが言う。
うん。私もさっき、カトラリーのセットを
自分でしたかったもん。
「あ~!いつもの男装姿になりたい!
もう、あれに慣れるとドレスは拷問よ。
あ、アニエス、冷めないうちに食べて。
アルトリア風の味付けになっているから
食べやすいはずよ。消化にいいものにして
もらったから」
……これが普通なんだろうけど。変な感じ。
お腹がすいていたのでペロリと食べた。
美味しいけど、食後のお茶がいまいち。
あ~アイリスさんの淹れたお茶が飲みたい。
とりあえずお腹が満たされ、人心地ついた。
「さて。アニエス、あなた実は三日間も
目を覚まさなかったのよ?
アーサーが抱いて王女宮に連れて来て
くれた時はびっくりしたわ。体調はどう?」
姫様が言う。
え?私、三日も寝てたの!
アーサー様が私を連れて来て下さった?
私、キルバンに来るために青竜の『穴』に
竜達と一緒に飛び込んだはずなのに。
どうなっているの?
……そういえば、帝国に拉致されて
一晩中、逃げ回った。
腕輪を壊すのに結構、魔力を消費した。
女医さんに治療してもらったけれど、
オズワルドにボコボコに殴られたし。
王宮で転移魔法を使ったし、
『穴』には三回落ちている。
……実は体力的に限界だったのかも。
私はどうも限界を越えるとやたらと寝る。
三日も目が覚めないなんて、心配させて
しまったな。申し訳ない。
姫様達に別れた時からあった出来事を
すべて話す。
話の間に姫様が私の口にチョコレートを
放り込む。美味しい。
これプチ・エトワールのオリジナルレシピの
チョコレートだ。
キルバンで食べれるなんて不思議。
「グレン、無事だったのね。よかった」
姫様が笑う。
それにしてもドレス姿。お美しい。
着るのは苦しくても見る人の目は楽しませて
くれてますよ姫様。
「それにしても、オズワルドの奴!
アニエスを拉致して隷属の腕輪を
嵌めたうえに顔を殴るなんて……あの鬼畜!
あいつだけは許さないわ。
見てなさい!絶対、ぶちのめしてやるから」
かんかんに怒る姫様。いえ、姫様。
大丈夫です。お手を煩わせませんとも。
あいつは必ず私がぶち殺しますから。
「よく、自力で逃げて来たわね。えらいぞ
アニエス。よしよし」
アイリスさんが私の頭を撫でる。
いや、運がよかっただけです。
金竜の幽霊が導いてくれたから無事に
逃げられたんだし。
「私のせいでアルフォンス様が何か準備不足
の状態で帝国に行く事になってしまった
みたいで……。
すみません。アルマさん、アイリスさん」
アルフォンス様、無事なんだろうか?
私のせいで予定より早く帝国に行った。
何か不都合がなければいいのだけれど。
「そう。アルフォンスは帝国に行ったのね。
……とうとう動き始めたか。
アイリス、あなたいいの?
アルフォンスの側にいてあげなくて」
「……私は姫様のお側を離れませんよ?」
「十二年。もうすぐ十三年か。
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アイリス、あなたに暇を出します。
命令です。アルフォンスの所に行きなさい」
え?何、何!何が始まったの。
アイリスさんにお暇を出す?嘘でしょ!
「私はお側を離れないと言いました」
「アイリスだけじゃない。
アルマ、アニエス。
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──今まで本当にありがとう」
え?私達も!
「「「姫様!」」」
どうして?なんでですか。
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アニエスはグレン。
みんな、人生を共に生きたい人がいる。
私達、お別れしないと。
別々の人生を生きるの。
今まで本当にありがとう。
あなた達がいてくれたから、
私は生きてこれた。楽しかったわ」
「姫様、まだ駄目です。まだオズワルドに
狙われているのにお側を離れられません」
アイリスさんがいい募る。
そうですよ。まだ、安心できません。
「アルフォンスが上手くやってくれたら
オズワルドの力を削げる。アイリスは
アルフォンスの力になってあげて」
「でも!」
「私は平気。ロイが一緒にいるのよ?
それに青竜が王女宮に結界を張ってくれる
らしいわ。……白竜の次は青竜。
もう、私は竜にお世話になりっぱなしね。
まあ、青竜はアニエスを襲った罪が
あるからバンバンこき使うからいいけど。
あ、このプチ・エトワールのチョコは
アニエスの大好物だからって、青竜に
アルトリアの王都まで買いに行かせたの。
『穴』って便利ね」
……このチョコ、青竜が買ってきたんだ。
こき使われているわね。青竜。笑える。
「姫様、嫌です」
「もう!しょうもない。聞き分けなさい。
いい?永遠の別れじゃないわ。
少し関係が変わるだけ。
私達、ちょっと姉妹みたいじゃない?
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アニエスが可愛い末っ子。
少し離れても姉妹だもの、平気よ平気。
ま、ちょっと寂しいけどね。
アイリスは私のせいでアルフォンスと
別れた。ずっと気になっていたの。
ねえ、好きな男が命懸けで敵地にいるのよ?
あなたは私の側で指をくわえて見ている
だけでいいの?
アイリスみたいに戦える女がそれでいい?」
「う、良くない……です」
「でしょ!アルフォンスの側にいて
助けあげたいでしょ?弱音を吐いたら
お尻を蹴飛ばしてあげたいでしょ?」
「……ですね」
あ、アイリスさん。陥落した。
「お尻といえば、アイリスさん。さっそく
ですが、アルフォンス様に乗馬を教えて
あげて下さい。ものすごい下手です。
早駆けできません。
辺境まで馬で一緒に行きましたけれど
お尻が痛いと言って自分でお尻に治癒魔法を
かけていました。間抜けです。
何とかして下さい」
私がアイリスさんに文句を言う。
三人とも大笑いする。
「アルフォンス、まだ馬が駄目なんだ。
おかし~!あははは」
「……うちの兄がとんだ迷惑を。ぷっ!
ごめんね。アニエス……あはは!」
「もう、アルめ!よし、特訓してあげる。
それにしても、お尻に治癒魔法をかける
なんて……間抜けよね!あははは!!」
「はあ、おかしい。……さて。アニエスは
グレンの所に行くでしょ?
あなたは強い。きっと役にたてるわ」
姫様、今度は私ですか?
「役にたてるかは分かりませんが、側には
いたいです」
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特にアルマ。
あなたそのお腹じゃ無理しちゃ駄目よ。
身二つになるまで大人しくしてなさい」
「え?!」
私だけ驚く。
え?ええ~~!!アルマさん、赤ちゃん?
「うわ。アニエス、いい驚きっぷりね。
そりゃ驚くわよね。私達も驚いたもの。
ほら、『穴』を使って王女宮ごと転移した
でしょう?ロイが心配してくれて私達、
念のためにお医者に診ていただいたの。
そうしたらアルマ妊娠してるって!
もうびっくりよ」
姫様の言葉に真っ赤になるアルマさん。
マクドネル卿の赤ちゃん。
うわ!おめでとうございます!
「……まさか、たった一回で子供ができる
なんて信じられなくて……。
自分でも気がついてなかったから
私も驚きましたよ!」
恥ずかしいそうに俯くアルマさん。
可愛い!
「一回でも、する事したら妊娠する可能性は
あるわよ。避妊もしてなかったって言うし」
う、……姫様、生々しい事を。
あれ?避妊?そういえばあの時したっけ?
……思わずお腹に手をやる。
まさかね?……大丈夫だよね?
いや、子供は欲しいけれど……。
状況的に今は困る。
戦えなくなったら困るわ。
「何か、意味深なリアクションね?」
「首にまたキスマークをつけてますしね」
「あらいやだ。妊婦仲間ができるのかしら」
姫様、アイリスさん、アルマさんが生暖かい
目で私を見る。
あ、しまった。バレた?
「ホント、分かりやすい子ねえ~。
へえ~どんなシュチエーションだったのか、
ぜひ聞かせてもらいましょうか?
うふふふ。ア~ニ~エ~ス~ふふふふ」
「うふふふ。ほら、ほら。さっさと話し
ちゃいなさいな。ア~ニ~エ~ス~」
「聞かれる側から聞く側になれるなんて!
うふふふ。さあ、アニエス!お姉様達に
詳しく教えなさいな。ふふふふ」
三人ともにじり寄ってくる。
あ、ああ~。助けて~!
………三人がかりで、聞き出されました。
恥ずかしい。
私から誘惑した事も話しちゃった。
「あははは!!足で悩殺か!足フェチの
グレンじゃイチコロね!
やるわねアニエス。子リスのクセに!」
「あははは!誘惑!子リスが!お腹痛い!」
「誘惑!私の朝チュンを越えるインパクト!
でかしたぞ子リス!あはは!面白いわ~」
お姉様達、大爆笑。
ちょっと笑い過ぎだって!もう!
ひとしきり笑った後、姫様が笑いを納めて
真面目な顔になる。
「お互い悔いのない人生にしよう。
道は別れても私達は姉妹よ?」
女、四人で抱き合った。
もう、散々笑っていたのに切り替えが
早いですよ。姫様……。
とたんにしんみりする。
ちょっと寂しいけれど、私達。
それぞれの道を行く。
私達、侍女を首になりました。
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