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アニエス、もう一晩お泊まりする
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……ぬくい。う~ん。もうちょっと寝る。
でもなんか頬をつんつんされている。
目を開けると隣で寝転ぶグレン様が頬杖を
ついて私の頬をつんつん指でつついている。
グレン様……裸だよ。そりゃそうか。
私も裸だ。顔が熱い。
「お、目が覚めたな?起きるぞ。そろそろ
仕度をしとかないとマックスがオーウェンを
連れて迎えに来るぞ」
「あ~そうですね。私達も大概ふしだら
ですよね。オーウェン様も怒っているかも」
上掛けで胸を押さえてゆっくり起き上がる。
そっと自分の体を確認すると
う~わ~~もう!キスマークだらけ。
もう!少しは加減して下さい。
「あ~すごいな。消すのか?もったいない」
「何がもったいないんですか!」
「せっかくつけたのに……まあ、また
つければいいか。ほれ、こっちに来い」
呼ばれたのでちょっとだけグレン様の方に
にじり寄る。
後ろから抱きしめられる。
あれ?キスマークを消すんじゃないの?
「……グレン様?」
「うん?」
いや、手つきが怪しいんですけど!
「起きるんですよね?キスマークを消して
くれるんですよね?ああ~!もう増やして
どうするんですか!」
「後で消す。もうちょっとだけな?」
「この間、そんな事を言って三回も
したじゃないですか!」
「成る程。回数を覚えていられるほど
余裕がある訳だな?よし!」
何がよし!なの~~!!
あ、ああ~~!!
………よかった。
本当に時間がなかったみたい。
一度で済んでよかった。
グレン様……朝にしたがるよね?
それにしても結婚前に恥ずかしいわ。
もう、今さらだけど。
マーサさんに仕度をしてもらい朝食の席に
つく。侍女頭自ら私の世話をしなくても
いいのにね。
いくらキスマークを消してもらった後でも
お世話されるのは恥ずかしい。
昨日とはまた違う水色のドレスを着せて
もらい朝からしっかり朝食を食べた。
食後にのんびりお茶を飲んでいると、
マックス義兄様がお迎えに来た。
グレン様の予想通り、オーウェン義父様も
一緒に来たよ。
「アニエス、迎えに来たよ」
笑顔のマックス義兄様。
昨日のグレン様とのやり取りがあるから
気まずい。
グレン様に忖度する形になったものね。
「順序を守れと言ったはずですが。ははは!
本当に死にたいようだな……小僧」
オーウェン義父様が笑いながら怒っている。
そうだよね。この反応が普通だよね。
うちの実家の熊父はぜんぜん気にしてない。
おおらか過ぎるでしょ。
やっぱり、あれが変なんだ。
「もうすっ飛ばしたものは仕様がないだろ。
順序なんぞ今さらだ。
細かい事を気にするとハゲるぞ」
「あと一年ぐらい待てんのか。世間体という
ものを考えろ!このケダモノが!」
「世間を黙らせれば、お前も黙るのか?」
こてんと首を傾けるグレン様。
さすがの開き直り。
オーウェン義父様の怒りに油を注いでいる。
はらはらしながら、二人を見ていると
ヨーゼフさんがお茶を持ってやって来た。
家宰って偉いんじゃないの?
なんでお茶を持って来るの。
「おや、このエルドバルドの屋敷で
ザルツコードの若造が偉そうな事で。
マリーナ様はお元気でいらっしゃい
ますかな?」
「ヨ、ヨーゼフ、元気そうだな?」
「ええ、ええ。お陰様で。しぶとく生き
残っていますとも。あなたのせいで
マリーナ様を奥様とお呼びできなかった。
残念でなりません。
ですが、もうじきアニエス様を奥様と
お呼びできる。生きてはみるものですな。
ところでグレン様の幸せの邪魔はまさか
していないでしょうね?」
あれ?ヨーゼフさんとオーウェン義父様は
知り合い?マリーナ義母様が奥様って
どういう事?
ニッコリ笑って圧をかけるヨーゼフさん。
ひきつった笑顔で応戦する義父様。
何?この二人。
「アニエス様はしばらくこちらでお預かり
します。いいですね?」
「い、いや。それは困る。マリーナが
アニエスに会いたがっている」
「おや、それでは三日ほどこちらでお預か
りしてからザルツコードにお送りします。
エルドバルドでお預かりするのですから
丁重におもてなしさせていただますとも。
ご安心を……オーウェン?」
呼び捨てにしたよ。
ヨーゼフさんって一体。
「ヨーゼフ、心が狭いぞ。せっかく迎えに
来たんだ。今日はザルツコードへ帰そう。
アニエス、明日またうちに来ないか?
迎えに行く」
ヨーゼフさんと義父様のただならぬ雰囲気
にグレン様が妥協案をだす。
あ~うん。それで構いませんとも。
なんだろう?この帰る、帰らないの緊迫した
やり取りは。
「いいえ。今日はこちらでお預かりします。
アニエス様のためにシェフが夕食の
デザートにチョコレートケーキを用意して
いますし、おやつも準備しています。
それにまだ肝心のウエディングドレスの
デザイン画をご覧になっていただけて
おりません。マーサは明日のドレスをもう
準備していますし、庭師は明日の朝に
アニエス様のお部屋を飾る花を今から
選んでいます。……恨みますよ?」
チョコレートケーキ?それはうれしいかも!
あ、いや。ヨーゼフさんが怖い。
グレン様が遠くを見る目になっている。
仲裁するのを諦めたな魔王のくせに。
結局、オーウェン義父様が折れた。
今日はまたこちらにお泊まり決定。
明日、ザルツコードに帰る事になった。
「すみません。せっかく迎えに来て下さっ
たのに無駄足にしてしまって」
「いや、明日に帰ってくるのならまあいい。
ヨーゼフには負い目があって逆らえない。
仕方がない……明日また迎えに来るよ」
負い目って何?
マックス義兄様にハグされる。
「嫌になったらいつでも帰って来ていい
からね?迎えに行くから」
「はい。大丈夫です。マリーナ義母様に
よろしくお伝え下さい」
オーウェン義父様とマックス義兄様を
見送る。本当にごめんなさい。
なんだかよく分からないけれど
逆らえない雰囲気なんだもん。
「アニエス、マックスとの過度の接触は
禁止だと言ったはずだぞ」
グレン様がお怒りだ。ケチくさいな。
ハグぐらいいいでしょうが。
痛い。痛い~~頬をつねられる。
「だから、義兄ですから!」
「だからマックスは駄目だと言っている」
「え~~!!」
「え~~!!じゃない。二代続けて
エルドバルドの嫁がザルツコードに盗ら
れるのは洒落にならん」
「はい?」
え、グレン様。なんか聞き捨てならない事
を言ったわよね?
「中に入ろう。いつまでも外にいると
体が冷える。茶でも飲みながら話そう」
グレン様は自分の上着を私に羽織らせると
私の肩を抱いた。
暖かい部屋に戻って来た。
今度はヨーゼフさんではなく、侍女さんが
お茶を淹れてくれた。
うん。おいしい。
あ、黒竜が好きそうな焼き菓子がある。
いなくて残念。
「すごいだろ?うちのヨーゼフは」
グレン様がため息をつく。
「すごいですね。オーウェン様がたじたじ
でしたもの。二人はお知り合いですか?」
「元々ヨーゼフはエルドバルドに仕える
騎士でな。怪我が元で退職して先代の
エルドバルド公の家宰となった奴なんだ。
ちなみにオーウェンの元上官だ。
オーウェンは末子で家督を継ぐ事が決まる
までエルドバルド公に仕える騎士だった」
「え!そんな関係?」
元上官か。それは頭が上がらないかも。
「二人とも先代に心酔していたんだが
先代は白竜の生贄として死んだ。
白竜の生贄は託宣で十年の猶予を
与えられる。
血が絶えないように繁殖させるのが
目的だ。先代も先々代の国王から
子供を作るように命じられていたんだが
魔力が高過ぎて子を産める女が中々
見つからない。
仕方がなく先々代の国王は、帝国の奴隷で
魔力の高い女を買い取って先代に
あてがった訳だ」
「高い魔力を持つ奴隷の女。帝国は国が
荒れていて高位貴族の家が取り潰されて
奴隷に落とされる。
アルフォンス様と同じような境遇の
女性だったんですね?」
「その奴隷の女がマリーナだ」
「ええ!!」
「マリーナは先代のエルドバルド公の
嫁として高い魔力を持つがゆえに帝国から
買われて来た奴隷だったんだ」
「え?だってマリーナ義母様はオーウェン
義父様と結婚していますよね?」
「どんな経緯があったのかは知らん。
だが、先代が生贄になる前にマリーナと
オーウェンは結婚している。
ヨーゼフが恨んでいるのはそのせいだろう」
「ふ、不倫ですか?」
「いや、おそらくだが先代がマリーナを
オーウェンに託したのだと思う。
短い命、しかも子を設ければ次の生贄に
選ばれる可能性が高い。
大事な女なら手をつけずに逃がすだろ。
俺も実はお前も諦めようと思った事が
あるからな。気持ちは分かる」
「え?なんですかそれ」
「お前の事を避けまくっていた事がある
だろう?あの時だ」
何それ。
生贄なんて、もう二度と出しては駄目。
私はグレン様を抱きしめた。
温かい。この温もりが愛しい。
マリーナ義母様は先代のエルドバルド公を
どう思っていたんだろう。
今ではあんなに仲の良い夫婦なのに
オーウェン義父様とはどうして結婚した
のだろう。
白竜を解放して生贄を出さなくても
いいように、早く何とかしなくては。
グレン様の手を取り口付ける。
あなたが生贄にならなくてよかった。
生きていてよかった。
グレン様の金色の瞳と視線が合う。
どちらともなく唇が重なった。
でもなんか頬をつんつんされている。
目を開けると隣で寝転ぶグレン様が頬杖を
ついて私の頬をつんつん指でつついている。
グレン様……裸だよ。そりゃそうか。
私も裸だ。顔が熱い。
「お、目が覚めたな?起きるぞ。そろそろ
仕度をしとかないとマックスがオーウェンを
連れて迎えに来るぞ」
「あ~そうですね。私達も大概ふしだら
ですよね。オーウェン様も怒っているかも」
上掛けで胸を押さえてゆっくり起き上がる。
そっと自分の体を確認すると
う~わ~~もう!キスマークだらけ。
もう!少しは加減して下さい。
「あ~すごいな。消すのか?もったいない」
「何がもったいないんですか!」
「せっかくつけたのに……まあ、また
つければいいか。ほれ、こっちに来い」
呼ばれたのでちょっとだけグレン様の方に
にじり寄る。
後ろから抱きしめられる。
あれ?キスマークを消すんじゃないの?
「……グレン様?」
「うん?」
いや、手つきが怪しいんですけど!
「起きるんですよね?キスマークを消して
くれるんですよね?ああ~!もう増やして
どうするんですか!」
「後で消す。もうちょっとだけな?」
「この間、そんな事を言って三回も
したじゃないですか!」
「成る程。回数を覚えていられるほど
余裕がある訳だな?よし!」
何がよし!なの~~!!
あ、ああ~~!!
………よかった。
本当に時間がなかったみたい。
一度で済んでよかった。
グレン様……朝にしたがるよね?
それにしても結婚前に恥ずかしいわ。
もう、今さらだけど。
マーサさんに仕度をしてもらい朝食の席に
つく。侍女頭自ら私の世話をしなくても
いいのにね。
いくらキスマークを消してもらった後でも
お世話されるのは恥ずかしい。
昨日とはまた違う水色のドレスを着せて
もらい朝からしっかり朝食を食べた。
食後にのんびりお茶を飲んでいると、
マックス義兄様がお迎えに来た。
グレン様の予想通り、オーウェン義父様も
一緒に来たよ。
「アニエス、迎えに来たよ」
笑顔のマックス義兄様。
昨日のグレン様とのやり取りがあるから
気まずい。
グレン様に忖度する形になったものね。
「順序を守れと言ったはずですが。ははは!
本当に死にたいようだな……小僧」
オーウェン義父様が笑いながら怒っている。
そうだよね。この反応が普通だよね。
うちの実家の熊父はぜんぜん気にしてない。
おおらか過ぎるでしょ。
やっぱり、あれが変なんだ。
「もうすっ飛ばしたものは仕様がないだろ。
順序なんぞ今さらだ。
細かい事を気にするとハゲるぞ」
「あと一年ぐらい待てんのか。世間体という
ものを考えろ!このケダモノが!」
「世間を黙らせれば、お前も黙るのか?」
こてんと首を傾けるグレン様。
さすがの開き直り。
オーウェン義父様の怒りに油を注いでいる。
はらはらしながら、二人を見ていると
ヨーゼフさんがお茶を持ってやって来た。
家宰って偉いんじゃないの?
なんでお茶を持って来るの。
「おや、このエルドバルドの屋敷で
ザルツコードの若造が偉そうな事で。
マリーナ様はお元気でいらっしゃい
ますかな?」
「ヨ、ヨーゼフ、元気そうだな?」
「ええ、ええ。お陰様で。しぶとく生き
残っていますとも。あなたのせいで
マリーナ様を奥様とお呼びできなかった。
残念でなりません。
ですが、もうじきアニエス様を奥様と
お呼びできる。生きてはみるものですな。
ところでグレン様の幸せの邪魔はまさか
していないでしょうね?」
あれ?ヨーゼフさんとオーウェン義父様は
知り合い?マリーナ義母様が奥様って
どういう事?
ニッコリ笑って圧をかけるヨーゼフさん。
ひきつった笑顔で応戦する義父様。
何?この二人。
「アニエス様はしばらくこちらでお預かり
します。いいですね?」
「い、いや。それは困る。マリーナが
アニエスに会いたがっている」
「おや、それでは三日ほどこちらでお預か
りしてからザルツコードにお送りします。
エルドバルドでお預かりするのですから
丁重におもてなしさせていただますとも。
ご安心を……オーウェン?」
呼び捨てにしたよ。
ヨーゼフさんって一体。
「ヨーゼフ、心が狭いぞ。せっかく迎えに
来たんだ。今日はザルツコードへ帰そう。
アニエス、明日またうちに来ないか?
迎えに行く」
ヨーゼフさんと義父様のただならぬ雰囲気
にグレン様が妥協案をだす。
あ~うん。それで構いませんとも。
なんだろう?この帰る、帰らないの緊迫した
やり取りは。
「いいえ。今日はこちらでお預かりします。
アニエス様のためにシェフが夕食の
デザートにチョコレートケーキを用意して
いますし、おやつも準備しています。
それにまだ肝心のウエディングドレスの
デザイン画をご覧になっていただけて
おりません。マーサは明日のドレスをもう
準備していますし、庭師は明日の朝に
アニエス様のお部屋を飾る花を今から
選んでいます。……恨みますよ?」
チョコレートケーキ?それはうれしいかも!
あ、いや。ヨーゼフさんが怖い。
グレン様が遠くを見る目になっている。
仲裁するのを諦めたな魔王のくせに。
結局、オーウェン義父様が折れた。
今日はまたこちらにお泊まり決定。
明日、ザルツコードに帰る事になった。
「すみません。せっかく迎えに来て下さっ
たのに無駄足にしてしまって」
「いや、明日に帰ってくるのならまあいい。
ヨーゼフには負い目があって逆らえない。
仕方がない……明日また迎えに来るよ」
負い目って何?
マックス義兄様にハグされる。
「嫌になったらいつでも帰って来ていい
からね?迎えに行くから」
「はい。大丈夫です。マリーナ義母様に
よろしくお伝え下さい」
オーウェン義父様とマックス義兄様を
見送る。本当にごめんなさい。
なんだかよく分からないけれど
逆らえない雰囲気なんだもん。
「アニエス、マックスとの過度の接触は
禁止だと言ったはずだぞ」
グレン様がお怒りだ。ケチくさいな。
ハグぐらいいいでしょうが。
痛い。痛い~~頬をつねられる。
「だから、義兄ですから!」
「だからマックスは駄目だと言っている」
「え~~!!」
「え~~!!じゃない。二代続けて
エルドバルドの嫁がザルツコードに盗ら
れるのは洒落にならん」
「はい?」
え、グレン様。なんか聞き捨てならない事
を言ったわよね?
「中に入ろう。いつまでも外にいると
体が冷える。茶でも飲みながら話そう」
グレン様は自分の上着を私に羽織らせると
私の肩を抱いた。
暖かい部屋に戻って来た。
今度はヨーゼフさんではなく、侍女さんが
お茶を淹れてくれた。
うん。おいしい。
あ、黒竜が好きそうな焼き菓子がある。
いなくて残念。
「すごいだろ?うちのヨーゼフは」
グレン様がため息をつく。
「すごいですね。オーウェン様がたじたじ
でしたもの。二人はお知り合いですか?」
「元々ヨーゼフはエルドバルドに仕える
騎士でな。怪我が元で退職して先代の
エルドバルド公の家宰となった奴なんだ。
ちなみにオーウェンの元上官だ。
オーウェンは末子で家督を継ぐ事が決まる
までエルドバルド公に仕える騎士だった」
「え!そんな関係?」
元上官か。それは頭が上がらないかも。
「二人とも先代に心酔していたんだが
先代は白竜の生贄として死んだ。
白竜の生贄は託宣で十年の猶予を
与えられる。
血が絶えないように繁殖させるのが
目的だ。先代も先々代の国王から
子供を作るように命じられていたんだが
魔力が高過ぎて子を産める女が中々
見つからない。
仕方がなく先々代の国王は、帝国の奴隷で
魔力の高い女を買い取って先代に
あてがった訳だ」
「高い魔力を持つ奴隷の女。帝国は国が
荒れていて高位貴族の家が取り潰されて
奴隷に落とされる。
アルフォンス様と同じような境遇の
女性だったんですね?」
「その奴隷の女がマリーナだ」
「ええ!!」
「マリーナは先代のエルドバルド公の
嫁として高い魔力を持つがゆえに帝国から
買われて来た奴隷だったんだ」
「え?だってマリーナ義母様はオーウェン
義父様と結婚していますよね?」
「どんな経緯があったのかは知らん。
だが、先代が生贄になる前にマリーナと
オーウェンは結婚している。
ヨーゼフが恨んでいるのはそのせいだろう」
「ふ、不倫ですか?」
「いや、おそらくだが先代がマリーナを
オーウェンに託したのだと思う。
短い命、しかも子を設ければ次の生贄に
選ばれる可能性が高い。
大事な女なら手をつけずに逃がすだろ。
俺も実はお前も諦めようと思った事が
あるからな。気持ちは分かる」
「え?なんですかそれ」
「お前の事を避けまくっていた事がある
だろう?あの時だ」
何それ。
生贄なんて、もう二度と出しては駄目。
私はグレン様を抱きしめた。
温かい。この温もりが愛しい。
マリーナ義母様は先代のエルドバルド公を
どう思っていたんだろう。
今ではあんなに仲の良い夫婦なのに
オーウェン義父様とはどうして結婚した
のだろう。
白竜を解放して生贄を出さなくても
いいように、早く何とかしなくては。
グレン様の手を取り口付ける。
あなたが生贄にならなくてよかった。
生きていてよかった。
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