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アザトス村

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「ギルドに登録か。しかし亜人が今は人扱いされないとは同じ人間としてひどい気がするんだが」
「まぁ今の人間は亜人を嫌う傾向がありますゆえ。だからあまり我も好んで人間の村や国には入りませぬ。報復でならば主に入りますが」

 確かに前にラガーオークの奴らも人間からの扱いは酷いと聞いていたからな。

「我々からすれば主人が珍しい人間なのですよ。我らと普通に関わって礼なども普通に言うのですから」

 いやいや礼を言われるようなことをすれば礼を言うのが当たり前だろ。

「とりあえず村に入ってギルドに向かうか。わからなかったら村の人に聞こうか」

 俺とチドラ、オルゴロス、ミワの4人でアザトス村に入る。アザトス村に入ると村の人が俺たちに近づき

「ようこそアザトス村へ!本日はどのようなご用件ですか?旅のお方々」
「ギルドに向かいたいのだがどこか教えてくれるかい?」

 俺は話しかけられたついでにギルドのことを聞くと村の人は

「ギルドにご案内で!かしこまりました!それでは私についてきてください」

 村の人は俺たち4人をギルドにまで案内する。アザトス村のギルドは村の中央に俺が転生する前の世界で言えばサーカスみたいな建物のような場所がギルドだった

「こちらがアザトス村唯一の自慢のギルドになります!」

 唯一の自慢ってそれでいいのかアザトス村は。

「アザトス村の冒険者は強いんですよー。ここは私たち人間の村でいえば魔物が強いのが多い魔の森が近いですからねー」
「魔の森ですか。それは興味深い」

 おそらくこいつの言う魔の森は俺たちが来たところを言ってるんだろうな。

「ところで冒険者さんはどこから来たんですか?このアザトス村に来る方々は相当戦いが好きな方かそれか帝国からの使者くらいですからねー」
「帝国からの使者?」
「そうですよー。5年前に帝国の王が変わりまして。今はアクラスウ6世様によって亜人は奴隷扱いです。あれほど亜人に頼り続けた生活をしていたくせに」

 アザトス村の人は俺に文句を吐くように言う。

「おい。大丈夫なのか?あんたここの村人だろ?めったなこというもんじゃないぞ」
「あー。大丈夫ですよ。この村はギルド以外には力入れてませんし俺たちなどいつ死んでもおかしくない扱いですから。俺も昔の生活の方が良かったです。このアザトス村は6年前までは亜人と共に暮らすいい村だったんです。貧しい生活でしたが皆活気的に元気がありました」

 アザトス村の村人はため息を吐きながら俺に言った。
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