上 下
146 / 206

黒のジン

しおりを挟む
「ぐ!ぉぉぉぉ!」
「おいおいおい。俺はまだ本気を出してないし、まだ全然力を入れてないんだぞ。全く」

 ジンは俺に斬られた手を拾うと斬られた場所に手をくっつけて斬られる前の状態に戻す。

「何!?」
「は、っはぁはぁ!ってなぁ!くそが!」

 ジンは俺を睨みつけながらいい、ジュナは俺に向かって

「キナ!気をつけて。ジンは回復魔法が最高クラスで私と同じで2つの属性魔法が使えるの!もう一つは風の魔法の神速!一気に距離をつめてくるから気をつけて!」

 風の魔法神速ね。なるほど。道理でさっきやたらと早くジュナに近づけたわけだ。

「チドラ!ジュナ。ここは俺に任せて先に集落に戻ってくれ!」

 俺は2人に向かって叫ぶとチドラが

「いえ!主人。我も残る。やつは少し危険だ!なんとなくヤバいやつな気がする!ある意味で」
「あんた感がいいわね。確かにあいつはヤバいわ。だから長期戦は望ましくないわ」

 ジュナがやたらとジンの解説をしているとジンは神速でジュナに近づき

「お前。敵に喋りすぎだぞ。死ね」

 斧をジュナの首に当てようとするがジュナは剣で防ぐがガラ空きの腹部を蹴られてしまう。

「がっは!」
「所詮序列などギルドの奴らが貢献度で決めたこと。実力なら俺の方が強いんだよ!」
「ぐ!この!」

 ジュナは吹き飛ばされながらも火魔法ファイア・ボールをジンに放つがジンの鎧で無効化されてしまう。

「お前は馬鹿なのか?俺に魔法は効かない。この黒の鎧は魔法耐性が最高位のものだからな」
「ぐっふ。そんな、ことは、百も承知、よ。私はまだまだ、未熟。あんたが強いことも、認めるわ、でもね。私より強い、人と、地龍が、あなたの目の前にいるの、よ」

 ジュナは地面に転がりながらもジンにいい、俺はジンの頭の兜に斬りかかる。

「は!無駄なことを!俺の兜はそんな弱そうな剣ごときに!」
「この剣はザオーガ族の作ってくれた鬼剣。どの剣にも勝ると思っている俺の仲間の最高の剣だ。だからその身でよく味わうといい」

 俺の鬼剣はジンの兜を破壊し、ジンは驚く。

「な!」
「油断するな人間。貴様の相手はここにもいるぞ」

 チドラはジンの背後を取り、ジンの黒い鎧の背中部分を殴って破壊する。

「ば、かなぁ!こんな、こと、が!」

 ジンはふらふらになりながらも俺とチドラを見て怒りをあらわにしていた。
しおりを挟む

処理中です...