上 下
205 / 206

オーガスの最期

しおりを挟む
「お、おのれぇ。このわしが貴様らなんぞにぃ。ここまで追い詰められるとは。誉めてやる、ぞ」

 心臓部に穴が開いているくせに何をほざいてやがるんだこのジジイは

「主人、様子がおかしい。奴から一度距離をおいた方が」
「本当ならのう。わしはこれを使いたくは無かったんじゃ。これは本当におくのてじゃからのう。じゃが貴様らに殺されるよりは悪魔の姿になるしかあるまい。わしの心臓はもう何年も前に悪魔にくれてやっているからのう。心臓部を貫いたところでわしは死にはしない。ただ悪魔との契約により、わしはここまでということかのう」

 契約?そんな魔法聞いたことがない。何なんだ契約とは

「主人。契約は主従の契約に似ているものがある。我と主人、オルゴロスと主人のような主従があるが悪魔の契約と呼ばれるものは一方的なもの。契約の内容によりますが悪魔との交渉でその悪魔にした契約の条件を破ると悪魔に体をのっとられるのだ。悪魔は力が強すぎて存在はできないが依代を得られればこの世に存在することができる。龍種よりも恐ろしい存在だ」

 チドラが珍しく恐れながら言う。悪魔って。この世界にはそんな存在までいたのか。

「悪魔はわしのように強気ものの肉体を欲している。いくら年老いてよぼよぼであろうと奴らは肉体を自分の肉体のように変化させるからのう。器として人間が必要な、だけじゃ。そろそろ、かのう」

 オーガスの体から黒い煙のようなものが溢れそれにオーガスは包まれる。

「やつをとめるぞ主人!我はもう魔力が尽きて龍人化もできんし、魔法も今は使えん!早急にやつをしとめねば!」
「おうよ!オルゴロスは念のために待機だ」

 俺とチドラは黒い煙に突っ込んでいくと

「憐れ憐れ。人間とは実に愚かよのう。オーガスのやつは我と契約し我のことを研究して悪魔化もしようとしていたようだが無駄な努力だったようだな」

 俺たちが殴りかかる前に黒い煙ははれ、はれたさきには頭に角2本生え、背中には黒い翼、爪は先ほどの龍人化と違い真っ黒に鋭利な爪となっていた。

「ふー。やっと殺してくれたのか。これで僕はこの世界の支配者となれる」

 な、何だこいつ。俺たちが攻撃しようというのに防御すらしようとしない。

「チドラ!」
「だめだ主人!逃げろ!」

 チドラが俺に向かって叫び、俺はオーガスだった奴を見るとやつは目からビームを放ってきた。
 目からビームだと!?
しおりを挟む

処理中です...