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出会い
体育館裏
しおりを挟む「なんで学校来んだよ、死ねよ。」
今日の稲葉はいつもより機嫌が悪かった。
いつもは何かしらの会話の後に流れで暴力に発展するのだが、今日は急に体育館裏に呼び出してきたかと思えば、俺を見るなりいきなり殴りかかってきた。それに力がいつもより強い。
「マジできめぇ。目障りなんだよお前。」
俺の髪を掴み、一呼吸置いては殴り、また一呼吸置いては拳で思い切り殴られた。
脳が揺れる。
今日の朝、登校した時にロッカーでたまたま斎藤に会った。古田土じゃん、おはよー。と俺を見て笑いかけてくれたので、今日一日頑張れると思っていたのだが、さすがにこれは頑張れないかもしれない。
一定のリズムで左顔面を打撃され続けている俺を見て、周りの男達も控えめに稲葉を制する。
「おい落ち着けよ、やりすぎだって。なにそんな怒ってんだよ稲葉。顔に痣作ったらバレるぞ。」
周りの声に一切反応することなく、稲葉は無言で俺を殴り続ける。
稲葉が俺に怒っているのは間違いないが、真っ直ぐに俺を見る目は、やはり不思議と悪意を感じなかった。俺はいつもの稲葉のそんな目が気味悪く、稲葉から目を逸らすしかなかった。
ふと目を逸らした先に稲葉の赤い右手が目に入った。俺を殴る稲葉の右拳は、俺の血で真っ赤に染まっていた。
感覚で分かったが、鼻血は出ていなかった。
前に一度、後ろから突き飛ばされた時に壁に顔面をぶつけ鼻血を出したことがある。その時は鼻が折れなくてよかったと安心した。
何故、鼻血も出ていないのに稲葉の手にあんなにも血が付いているのか。
あれは本当に俺の血なのだろうか。
俺は岩とか粗い表面のセメント壁とかではないから、稲葉自身から出血しているとは考えにくかった。
顔の皮膚が切れるほど殴られているのだと自覚した時、突然耐えきれない恐怖に襲われた。
「「やめろ!」」
恐怖で咄嗟に絞り出した自分の大声と、誰かの声が重なった。
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