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酔っぱらい 2(side:佐藤くん)
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そうして電話を切った僕は、大急ぎで髪を乾かすと鍵だけ持ってマンションの1階まで降りた。
しばらく待っていると、マンションの前にタクシーが止まり、僕も一度マンションで顔を合わせたことのある編集さんが斉藤先生に手を貸しながら降りてくる。
「佐藤さん、遅くにすみません」
「いえ、気にしないでください。
それより早く斉藤先生を部屋まで運びましょう」
見れば斉藤先生は一応は立っているが、目を閉じていてほぼ寝ているような状態だ。
僕と編集さんは斉藤先生を両脇から抱えてエレベーターに乗る。
「斉藤先生、そんなにたくさん飲まれたんですか?」
僕がそう聞いてみると、編集さんは申し訳なさそうな顔をしつつも答えてくれた。
「いえ、多いと言えば多いんですが、斉藤先生はお強いので、いつもなら全然問題ない量なんですが……」
「あ、そうなんですか?
うちではいつもビール1本くらいしか飲まれないので、先生がお酒強いって知りませんでした」
「あー、それでしたら最近はお酒の量を減らしていらっしゃったのかもしれませんね。
知らなくていつも通り飲ませちゃって、申し訳ないことをしました」
そんな話をしているうちにエレベーターが止まったので、僕たちは斉藤先生を部屋に運び、そのまま斉藤先生の寝室に入って先生をベッドに寝かせた。
編集さんは再び僕に謝ってから、タクシーを待たせているからと急いで帰っていった。
「えーと、斉藤先生が起きた時のために水でも用意しておいた方がいいかな。
あと洗面器とタオルとか?」
自分があまりお酒を飲まないので、こういう時に何を用意すればいいのかよくわからないが、とりあえず思いついたものを用意して斉藤先生の寝室に持っていくことにする。
僕が寝室に入ると、ベッドの上の斉藤先生がこっちを向いた。
「あ、斉藤先生、起きたんですね。
水、飲みますか?」
「うん」
斉藤先生がうなずいたので、僕は先生が体を起こすのに手を貸し、水のペットボトルのキャップを開けた。
そのまま渡すとこぼしそうな気がしたので、先生がペットボトルを持って水を飲む間、手を添えておく。
「ありがとう」
水を飲み終えた斉藤先生が僕に礼を言う。
もう目はぱっちりと開いているが、やはり酔っぱらっているらしく、舌ったらずなしゃべり方になっている。
「他に欲しいものあります?
あとトイレとか」
「ううん、大丈夫」
「だったら横になった方がいいですよ」
「うん」
斉藤先生がうなずいたので、僕はまた斉藤先生に手を貸してベッドに寝かせた。
斉藤先生はそんな僕をなぜか不思議そうな顔で見ている。
「……おかしいな。
なんで触れるんだろう。
佐藤くんは二次元だから触れないはずなのに」
「え?」
突然、意味不明なことを言われ、僕が聞き返すと、斉藤先生はにっこりと笑った。
「ああ、そうか。
佐藤くんに触れるってことは、これは夢なのか」
納得したようにそうつぶやくと、斉藤先生はいきなり僕の腕をつかんで、思わぬ力強さで僕を引っ張った。
しばらく待っていると、マンションの前にタクシーが止まり、僕も一度マンションで顔を合わせたことのある編集さんが斉藤先生に手を貸しながら降りてくる。
「佐藤さん、遅くにすみません」
「いえ、気にしないでください。
それより早く斉藤先生を部屋まで運びましょう」
見れば斉藤先生は一応は立っているが、目を閉じていてほぼ寝ているような状態だ。
僕と編集さんは斉藤先生を両脇から抱えてエレベーターに乗る。
「斉藤先生、そんなにたくさん飲まれたんですか?」
僕がそう聞いてみると、編集さんは申し訳なさそうな顔をしつつも答えてくれた。
「いえ、多いと言えば多いんですが、斉藤先生はお強いので、いつもなら全然問題ない量なんですが……」
「あ、そうなんですか?
うちではいつもビール1本くらいしか飲まれないので、先生がお酒強いって知りませんでした」
「あー、それでしたら最近はお酒の量を減らしていらっしゃったのかもしれませんね。
知らなくていつも通り飲ませちゃって、申し訳ないことをしました」
そんな話をしているうちにエレベーターが止まったので、僕たちは斉藤先生を部屋に運び、そのまま斉藤先生の寝室に入って先生をベッドに寝かせた。
編集さんは再び僕に謝ってから、タクシーを待たせているからと急いで帰っていった。
「えーと、斉藤先生が起きた時のために水でも用意しておいた方がいいかな。
あと洗面器とタオルとか?」
自分があまりお酒を飲まないので、こういう時に何を用意すればいいのかよくわからないが、とりあえず思いついたものを用意して斉藤先生の寝室に持っていくことにする。
僕が寝室に入ると、ベッドの上の斉藤先生がこっちを向いた。
「あ、斉藤先生、起きたんですね。
水、飲みますか?」
「うん」
斉藤先生がうなずいたので、僕は先生が体を起こすのに手を貸し、水のペットボトルのキャップを開けた。
そのまま渡すとこぼしそうな気がしたので、先生がペットボトルを持って水を飲む間、手を添えておく。
「ありがとう」
水を飲み終えた斉藤先生が僕に礼を言う。
もう目はぱっちりと開いているが、やはり酔っぱらっているらしく、舌ったらずなしゃべり方になっている。
「他に欲しいものあります?
あとトイレとか」
「ううん、大丈夫」
「だったら横になった方がいいですよ」
「うん」
斉藤先生がうなずいたので、僕はまた斉藤先生に手を貸してベッドに寝かせた。
斉藤先生はそんな僕をなぜか不思議そうな顔で見ている。
「……おかしいな。
なんで触れるんだろう。
佐藤くんは二次元だから触れないはずなのに」
「え?」
突然、意味不明なことを言われ、僕が聞き返すと、斉藤先生はにっこりと笑った。
「ああ、そうか。
佐藤くんに触れるってことは、これは夢なのか」
納得したようにそうつぶやくと、斉藤先生はいきなり僕の腕をつかんで、思わぬ力強さで僕を引っ張った。
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