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一章
和解?
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結局僕は、サマンサギルド長とイヴァン副ギルド長に、自分の持つスキルの事を打ち明ける事にした。どの道彼等も僕と一緒に戦闘に入れば違和感に気付くだろうから。
「どうやら僕には特別なスキルがあるみたいなんです」
「スキル、だと?」
「はい。僕自身には実感はありませんが、一緒に戦っているノワールによればそうらしいです」
「「……」」
僕の発言に、二人は考え込んでしまった。
「主に身体能力が底上げされるようなのですが、この力が何なのか、僕自身が知りたいくらいですね」
「むう……無意識のうちに味方にバフを掛けるスキルだと?」
イヴァン副ギルド長は顎に手を当てて唸る。
「それが本当なら、国が動くわね」
そしてサマンサギルド長がとんでもない事を言った。国が? 流石にそれは大袈裟じゃないかなぁ?
「大袈裟ではないぞ、主人よ。軍の中に主人がいるだけで、兵達の能力が軒並み強化されるとしたら……?」
「そうか。それもそうだね」
「どこまで効果を及ぼすか分からぬ力だから何とも言えん。あくまでも可能性の話だ」
うーん。アーテルの話も中々恐ろしい内容だよね。もし実際にそんな事になったら、僕は戦術兵器扱いだよ。
「程度にもよるでしょうね。それは実際に体験してみないと私達にも判断が付かないわ。それでも、そんなスキルの話は前例がないし、今ここで聞いた事に関してはギルド長権限で箝口令を布きます。いいですね?」
ギルド長の『発令』に全員が無言で頷いた。思ったより大事になった気がしないでもないけれど、これはこれで僕にとっては都合がいいかも知れない。
「そうだな。実際にダンジョンの中に入ればもっと詳しい事が分かるかも知れん。もっと気楽に行こうや」
ガハハ、と豪快に笑いながら、イヴァン副ギルド長が水筒を口に運んだ。あれ、お酒だよね……
そして夜間の警戒は三交替で、シフトはサマンサギルド長から言い渡された。僕は三番目。何か作為的なものを感じるけど、デライラと一緒だった。
ノワールがいれば夜間警戒なんて必要ないんだけど、その事を告げる訳にもいかないからね。まあ仕方ない。
△▼△
二番目のチーム、アーテルとイヴァン副ギルド長から引き継ぎされ、僕とデライラは眠い目を擦って焚火の前に座った。これから夜明けまで、二人で過ごす。なんとも微妙な空気だ。そんな事は知った事かとばかりに、焚き木はパチパチと爆ぜる音を立て続ける。
「飲むかい?」
「ありがと」
僕はいつぞやの、粉末状にしたお茶をお湯で溶かしたものを差し出した。カップを受け取ったデライラがそれを口に含み、ふうっと息を吐く。
「相変わらずお茶だけは美味しいわね、あんた」
「お茶だけ?」
「ふふっ、冗談よ」
デライラとパーティを組んでいた時、殆どは僕が食事の準備をしていた。デライラは……うん。見た目は美少女なんだけど女子力という点ではアレなんだよね。
少しだけ、昔のような空気が流れる。そこで彼女は意を決したような表情で口を開いた。
「ねえ。ノワールって、何者なの?」
「……」
その質問には答えられないな。言わばこの世界に否定された存在だ。そんなものが僕の眷属になっているなんて、言える訳がない。
「あの子があんたを強くしてるんでしょ? ウサギに変化したりできるところを見ると、特殊な魔法を使える魔女ってところかしら?」
「……」
「でも、戦闘で魔法は使ってなかったわよね。あ、それよりも、どうしてウサギの姿だったのかしら? 呪いか何か?」
僕は黙って聞いているだけ。でもデライラは様々な考察を述べる。大方は的外れな考えだったけど、呪いか。そこだけはビンゴ。
「ウサギの姿をしてたのは呪いかも知れないけど、詳しい事は僕にも分からないよ。スキルの事といい、魔法の事といい、どうも僕は普通じゃないらしいからね。謎な存在同士が引かれ合ったとか、そんな感じじゃないか?」
僕は当たり障りのない言葉を選んだ。デライラも僕の意を汲んでくれたのかどうか分からないけど、これ以上の詮索はやめてくれたみたいだ。
「……あたしね、強くなるよ。あんたが諦めないで頑張ったみたいに、あたしも頑張る。そしていつかソードマスターになって、プラチナランクの冒険者になって……」
「なって……?」
「そこから先は乙女の秘密よ!」
僕等のパーティに戻りたい。彼女がそれを口にする事はなかった。僕とノワールに対する負い目か、それとも自分自身のプライドか、それは分からない。でも楽な道を選ばないのは彼女の美点だとは思う。
「お代わり、いるかい?」
「ん、やめておくわ」
彼女はそう言って立ち上がり、どこかへ行こうとした。
「どこに行くの?」
「そんな事聞くな! バカ!」
なんだ、お花摘みか。
(ギクシャクした空気は改善されたようだな)
(ご主人様、やりますね)
君達、影の中で盗み聞きするのはやめなさい。
「どうやら僕には特別なスキルがあるみたいなんです」
「スキル、だと?」
「はい。僕自身には実感はありませんが、一緒に戦っているノワールによればそうらしいです」
「「……」」
僕の発言に、二人は考え込んでしまった。
「主に身体能力が底上げされるようなのですが、この力が何なのか、僕自身が知りたいくらいですね」
「むう……無意識のうちに味方にバフを掛けるスキルだと?」
イヴァン副ギルド長は顎に手を当てて唸る。
「それが本当なら、国が動くわね」
そしてサマンサギルド長がとんでもない事を言った。国が? 流石にそれは大袈裟じゃないかなぁ?
「大袈裟ではないぞ、主人よ。軍の中に主人がいるだけで、兵達の能力が軒並み強化されるとしたら……?」
「そうか。それもそうだね」
「どこまで効果を及ぼすか分からぬ力だから何とも言えん。あくまでも可能性の話だ」
うーん。アーテルの話も中々恐ろしい内容だよね。もし実際にそんな事になったら、僕は戦術兵器扱いだよ。
「程度にもよるでしょうね。それは実際に体験してみないと私達にも判断が付かないわ。それでも、そんなスキルの話は前例がないし、今ここで聞いた事に関してはギルド長権限で箝口令を布きます。いいですね?」
ギルド長の『発令』に全員が無言で頷いた。思ったより大事になった気がしないでもないけれど、これはこれで僕にとっては都合がいいかも知れない。
「そうだな。実際にダンジョンの中に入ればもっと詳しい事が分かるかも知れん。もっと気楽に行こうや」
ガハハ、と豪快に笑いながら、イヴァン副ギルド長が水筒を口に運んだ。あれ、お酒だよね……
そして夜間の警戒は三交替で、シフトはサマンサギルド長から言い渡された。僕は三番目。何か作為的なものを感じるけど、デライラと一緒だった。
ノワールがいれば夜間警戒なんて必要ないんだけど、その事を告げる訳にもいかないからね。まあ仕方ない。
△▼△
二番目のチーム、アーテルとイヴァン副ギルド長から引き継ぎされ、僕とデライラは眠い目を擦って焚火の前に座った。これから夜明けまで、二人で過ごす。なんとも微妙な空気だ。そんな事は知った事かとばかりに、焚き木はパチパチと爆ぜる音を立て続ける。
「飲むかい?」
「ありがと」
僕はいつぞやの、粉末状にしたお茶をお湯で溶かしたものを差し出した。カップを受け取ったデライラがそれを口に含み、ふうっと息を吐く。
「相変わらずお茶だけは美味しいわね、あんた」
「お茶だけ?」
「ふふっ、冗談よ」
デライラとパーティを組んでいた時、殆どは僕が食事の準備をしていた。デライラは……うん。見た目は美少女なんだけど女子力という点ではアレなんだよね。
少しだけ、昔のような空気が流れる。そこで彼女は意を決したような表情で口を開いた。
「ねえ。ノワールって、何者なの?」
「……」
その質問には答えられないな。言わばこの世界に否定された存在だ。そんなものが僕の眷属になっているなんて、言える訳がない。
「あの子があんたを強くしてるんでしょ? ウサギに変化したりできるところを見ると、特殊な魔法を使える魔女ってところかしら?」
「……」
「でも、戦闘で魔法は使ってなかったわよね。あ、それよりも、どうしてウサギの姿だったのかしら? 呪いか何か?」
僕は黙って聞いているだけ。でもデライラは様々な考察を述べる。大方は的外れな考えだったけど、呪いか。そこだけはビンゴ。
「ウサギの姿をしてたのは呪いかも知れないけど、詳しい事は僕にも分からないよ。スキルの事といい、魔法の事といい、どうも僕は普通じゃないらしいからね。謎な存在同士が引かれ合ったとか、そんな感じじゃないか?」
僕は当たり障りのない言葉を選んだ。デライラも僕の意を汲んでくれたのかどうか分からないけど、これ以上の詮索はやめてくれたみたいだ。
「……あたしね、強くなるよ。あんたが諦めないで頑張ったみたいに、あたしも頑張る。そしていつかソードマスターになって、プラチナランクの冒険者になって……」
「なって……?」
「そこから先は乙女の秘密よ!」
僕等のパーティに戻りたい。彼女がそれを口にする事はなかった。僕とノワールに対する負い目か、それとも自分自身のプライドか、それは分からない。でも楽な道を選ばないのは彼女の美点だとは思う。
「お代わり、いるかい?」
「ん、やめておくわ」
彼女はそう言って立ち上がり、どこかへ行こうとした。
「どこに行くの?」
「そんな事聞くな! バカ!」
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(ご主人様、やりますね)
君達、影の中で盗み聞きするのはやめなさい。
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