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二章
僕の属性は闇。温厚な訳がないでしょ。
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かなり先にいる役人と武装した小隊がいる事について、なぜノワールが知ることが出来たのか。その事についてマシューさんは詳しく聞こうとしない。
聞かれてもボカして答えるだけなんだけど、でも冒険者の手の内に踏み込んでこないのは好ましいよね。
そうして暫く馬車が進むと、街道を遮るように展開している四人の兵が見えてきた。中央には役人らしい、武装していない男が一人。
道行く人々を止めては何かを話しかけているようで、ちょっとした行列ができている。僕達もその列の最後尾に並んだ。
「こんな街道を止めて検問だなんて珍しいなぁ」
「ああ。凶悪犯でも逃げたしたのかね? 怖い怖い」
僕達の前に並ぶ旅人らしき風体の二人の、そんな会話が聞こえる。やっぱりマシューさんの言った通り、検問が置かれる事自体普通じゃないみたいだね。
「止まれ!」
やがて僕達の順番になると、二人の兵士が槍を交差させてゆく手を遮った。もちろん後ろめたい事がないと思っているマシューさんは、抵抗する事なく馬車を止めた。
「どうしたんですか?」
「グリペン領から要人に暴行した者が逃亡したらしくてな」
マシューさんの質問に答えながら、役人が顎をしゃくって兵達に指示をだした。すると、兵達は馬車の幌を開いて中を物色し始めた。
積み荷は旅で使う日用品しかない。あとはノワール、アーテル、リンちゃんが乗っているだけだ。
「男が一人、女が二人の冒険者パーティ、それに女児を連れた商人の一行、情報と合致します!」
兵の一人が役人に報告する。やっぱり手配されてたみたいだね。はぁ……
「事情を聞きたいのでこの先の屯所まで同行してもらおう」
役人がそう言いながら表情を厳しくした。
屯所か。ここでこの人数を昼夜問わず動かしているとなると、交替人員もいるって事だもんね。その人達が寝泊まりする簡易的な施設があるって事か。
「私達がその暴行した犯人だと?」
「そこまでは言わんが、人員構成が逃亡した犯人共と同じなのでな。大人しく付いてこないと武力行使も辞さない」
マシューさんと役人のそんなやり取りをしている間に、一人の兵士が馬を飛ばしてどこかへ走り去っていった。
増援でも呼びに行ったかな?
「問題あるまい。雑兵の百や二百、我等の脅威になり得ぬ事は主人も分かっておろう?」
うん、まあね。だけどアーテルさん? あんまり挑発するような事を言うとほら、兵隊さん達が殺気立つから。
「もしもご主人様に徒成すようであれば、丸ごと滅ぼします」
なんて言うか、ノワールが言うと洒落にならないというか、王国中が闇に閉ざされる未来が見える。
そういう訳で、連行されたところで大した問題にはならないと考えた僕達は、大人しく連中の屯所へ付いて行った。
△▼△
屯所に着いた僕達は、すぐさま武器を取り上げられロープで拘束された。
「いきなり犯人扱いか。あとで後悔しなければよいがなぁ!?」
アーテルがそう言ってカラカラと笑う。
「全くです。全員の顔は覚えましたよ?」
ノワールも昏い笑みを浮かべながら周囲を睨みつけた。
というか、僕はウィザードだから武器を奪われたところで差支えないんだよなぁ。それに身体強化を施せば、こんなロープなんてすぐにブチッてできるし。
「大人しくしている事だ。間もなく五十人程の増援がくる」
ノワール達の不穏な会話を耳にして、役人が眉間に皺を寄せた。
「話を聞くだけにしては物騒ですね。別に先を急ぐ旅ではないですが、ここは座りが悪いので、早くしてもらえると助かるのですが」
「……」
僕とノワール、アーテルは縛られて地べたに座らされている。マシューさんとリンちゃんは別室へと連れて行かれたが、ノワールが何も言って来ないところをみると、特に問題はないんだろう。
やがて増援とかいう騎兵が到着すると、漸くこの役人の尋問が始まった。
「聞かれた事以外は答えなくていい。それと質問には全てイエスで答えろ。いいな?」
なんだよそれ。最初から無罪にするつもりはないって事ね。商人一人に買収されてるとか、ちょっとお灸を据えてやらなきゃダメかなぁ?
「そんなバカバカしい尋問があるのですね」
そうノワールが口にした直後。
――バシーン!
兵の一人がノワールの頬を張った。
「誰が勝手にしゃべっていいと言ったか!」
超濃密な霊体であるノワールに、物理的な攻撃は全く意味をなさない。それは分かってる。分かってるけど、黒ウサギだった時からノワールを可愛がっていた僕にとって、彼女に手を上げる者に対してはとても寛容になれそうにない。
「手を上げましたね? 僕の大事な家族に」
理不尽が無ければ温厚にしていようと思っていたけど、もういい。
――戦争をしようじゃないか。
僕は闇のウィザードなんだ。敵には優しくない。
聞かれてもボカして答えるだけなんだけど、でも冒険者の手の内に踏み込んでこないのは好ましいよね。
そうして暫く馬車が進むと、街道を遮るように展開している四人の兵が見えてきた。中央には役人らしい、武装していない男が一人。
道行く人々を止めては何かを話しかけているようで、ちょっとした行列ができている。僕達もその列の最後尾に並んだ。
「こんな街道を止めて検問だなんて珍しいなぁ」
「ああ。凶悪犯でも逃げたしたのかね? 怖い怖い」
僕達の前に並ぶ旅人らしき風体の二人の、そんな会話が聞こえる。やっぱりマシューさんの言った通り、検問が置かれる事自体普通じゃないみたいだね。
「止まれ!」
やがて僕達の順番になると、二人の兵士が槍を交差させてゆく手を遮った。もちろん後ろめたい事がないと思っているマシューさんは、抵抗する事なく馬車を止めた。
「どうしたんですか?」
「グリペン領から要人に暴行した者が逃亡したらしくてな」
マシューさんの質問に答えながら、役人が顎をしゃくって兵達に指示をだした。すると、兵達は馬車の幌を開いて中を物色し始めた。
積み荷は旅で使う日用品しかない。あとはノワール、アーテル、リンちゃんが乗っているだけだ。
「男が一人、女が二人の冒険者パーティ、それに女児を連れた商人の一行、情報と合致します!」
兵の一人が役人に報告する。やっぱり手配されてたみたいだね。はぁ……
「事情を聞きたいのでこの先の屯所まで同行してもらおう」
役人がそう言いながら表情を厳しくした。
屯所か。ここでこの人数を昼夜問わず動かしているとなると、交替人員もいるって事だもんね。その人達が寝泊まりする簡易的な施設があるって事か。
「私達がその暴行した犯人だと?」
「そこまでは言わんが、人員構成が逃亡した犯人共と同じなのでな。大人しく付いてこないと武力行使も辞さない」
マシューさんと役人のそんなやり取りをしている間に、一人の兵士が馬を飛ばしてどこかへ走り去っていった。
増援でも呼びに行ったかな?
「問題あるまい。雑兵の百や二百、我等の脅威になり得ぬ事は主人も分かっておろう?」
うん、まあね。だけどアーテルさん? あんまり挑発するような事を言うとほら、兵隊さん達が殺気立つから。
「もしもご主人様に徒成すようであれば、丸ごと滅ぼします」
なんて言うか、ノワールが言うと洒落にならないというか、王国中が闇に閉ざされる未来が見える。
そういう訳で、連行されたところで大した問題にはならないと考えた僕達は、大人しく連中の屯所へ付いて行った。
△▼△
屯所に着いた僕達は、すぐさま武器を取り上げられロープで拘束された。
「いきなり犯人扱いか。あとで後悔しなければよいがなぁ!?」
アーテルがそう言ってカラカラと笑う。
「全くです。全員の顔は覚えましたよ?」
ノワールも昏い笑みを浮かべながら周囲を睨みつけた。
というか、僕はウィザードだから武器を奪われたところで差支えないんだよなぁ。それに身体強化を施せば、こんなロープなんてすぐにブチッてできるし。
「大人しくしている事だ。間もなく五十人程の増援がくる」
ノワール達の不穏な会話を耳にして、役人が眉間に皺を寄せた。
「話を聞くだけにしては物騒ですね。別に先を急ぐ旅ではないですが、ここは座りが悪いので、早くしてもらえると助かるのですが」
「……」
僕とノワール、アーテルは縛られて地べたに座らされている。マシューさんとリンちゃんは別室へと連れて行かれたが、ノワールが何も言って来ないところをみると、特に問題はないんだろう。
やがて増援とかいう騎兵が到着すると、漸くこの役人の尋問が始まった。
「聞かれた事以外は答えなくていい。それと質問には全てイエスで答えろ。いいな?」
なんだよそれ。最初から無罪にするつもりはないって事ね。商人一人に買収されてるとか、ちょっとお灸を据えてやらなきゃダメかなぁ?
「そんなバカバカしい尋問があるのですね」
そうノワールが口にした直後。
――バシーン!
兵の一人がノワールの頬を張った。
「誰が勝手にしゃべっていいと言ったか!」
超濃密な霊体であるノワールに、物理的な攻撃は全く意味をなさない。それは分かってる。分かってるけど、黒ウサギだった時からノワールを可愛がっていた僕にとって、彼女に手を上げる者に対してはとても寛容になれそうにない。
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僕は闇のウィザードなんだ。敵には優しくない。
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