残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

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三章

交渉と脅迫は表裏一体

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 僕は余裕の表情。カートライトさんは緊張に顔を引き攣らせての話し合いが始まった。カートライトさんにだけ置かれたお茶だけど、口を潤す余裕もないらしい。

「あ、護衛の人達に言って下さい。勝手に部屋の外へ出ようとすると、色々とので」
「こ、これではまるで脅迫ではないかね!」

 今までのジェントルな態度はどこへやら、カートライトさんが血相を変え始めた。

「脅迫?」

 そうだね。確かにこれは相手を威圧する一種の脅迫行為かもしれない。でも、あくまでも脅迫の域を出ていないじゃないか。
 それに、モノを買えない、取引をしないというのは脅迫じゃないのかな? いや、これじゃあ王都で生きていけなくなっても仕方ない人もいるだろう。マシューさんとリンちゃん親子のようにね。これはもう脅迫を超えた行為だと思う。

「モノを買えないように裏から手を回す事は、脅迫を超えた人殺しだと僕は思いますけどね」
「……」

 カートライトさんだって商売人の端くれだから、僕の言いたい事が分かるだろう。例えば食料ひとつ売ってもらえない状況って、もはや餓死するか物乞いするしかないよね、極端な話。
 まあ、僕は魔物を狩りながらのサバイバル生活も出来なくはないけど。

「これがさっきのトラブルの原因です。なぜ僕にそうした嫌がらせをするのか、その理由をお聞かせ願いますか?」

 分かってはいる。王家御用達商人の威光を笠に、ブンドルが仕掛けたものだろう。かなりの影響力を持つ商会らしいからギルドとしても無視できないのも分からなくはない。
 ただ、僕としてはこのギルド本部すらブンドルに汚染されている事実を、このグランドマスターのカートライトさんの口から聞きたいんだ。

「君は、ブンドル商会を、更にはこの商人ギルドや多くの貴族達を敵に回すつもりかね」
「ははは!」
「……何がおかしい?」

 思わず笑ってしまう。
 だっておかしいよね。僕はもうブンドルの息が掛かった貴族の当主を一人殺しているんだ。今更だよ。

「グリペン侯爵領からここに来るまで、途中の領主や寄子の貴族が随分と嫌がらせをしてきたんですよ。でも僕は今こうしてここに居る訳です。これがどういう事か分かりますか?」

 僕の言葉にカートライトさんは息を呑む。

「ブンドルと結託していたマルセル・ポー伯爵は亡くなったそうですね。その他にも、とある冒険者が宿泊していた宿を襲撃しようとした暗部の者達が全滅したり」

 こうした話をしている間にも、僕は室内を取り巻く風の障壁をぐるぐると回転させている。竜巻の中に監禁しているようなものだね。

「多分、ブンドルの商会にはマルセル伯爵と同じようにが下ると思いますよ? ああ、このギルドにも落ちなければいいですね、天罰」

 僕はそう言って、今度こそ極上の笑みを浮かべた。

▼△▼

 僕はカートライトさんに掛かる火の粉は実力行使で振り払う事、貴族の威光なぞ小指の先程も脅威に思っていない事を告げると、第二区画での店舗や工房を利用する際のビップ認定券とでも言ったらいいのかな? とにかく割引してくれるチケットを貰った。なんと全品二割引きだよ!
 買い物もそうだけど、これでみんなに美味しい料理をたくさん食べてもらうのもいいね。
 そんな感じでホクホク顔で部屋を出た僕は、誰もいない廊下で影に向かって話しかけた。

「ノワール、アーテル、いるんだろ?」
「ご主人様、さすがの交渉でした!」
「うむ、主はなかなか商売上手になりそうだ」

 影から姿を現した二人が、尊敬の眼差しで僕を見てくる。やめてほしい。あれは商売上手とは言わないよね。
 そのままデライラ達が待っている場所へ行くと、彼女が心配そうな表情で駆け寄ってきた。

「大丈夫? 誰も死んでないわよね!? 建物も壊してない?」

 僕の心配じゃなかった。
 僕をなんだと思ってるんだろう。ひどいなあ。
 そこへイケメン光の大精霊、ルークスが近寄ってきた。

「ショーン様、違うのですよ。我が主人はこれでもショーン様を案じているのです」
「そうじゃぞ? ショーン様がキレ散らかして事を大事にすれば、面倒な事になるじゃろう?」

 さらに老人の姿をしている神梟しんきょうのグランツもフォローに入ってきた。本当にフォローになっているかどうかはちょっと微妙だったけどね。
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