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四章
リンちゃんマシューさん久しぶり!
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立ち寄った街での情報収集は手抜きをしない。ただし移動時間は大幅短縮する。ポー子爵との会食の時に決まった僕達の方針だ。
ただ、情報収集もノワールやシルフがいると、然程時間を掛けずに大概の事が分かってしまう。
シルフの場合は風属性の下級精霊に命じて情報を集めてくるし、その中で気になったものがあれば、ノワールが影となり実際に見て確認してくる。
「やはり各地の貴族が戦力を整えているようですね。ただ、マシュー商会にも情報はそれなりに集まっているようですよ?」
マシューさんはブンドルとのトラブルの後、このポーバーグで商会を立ち上げ、子爵領の発展に尽力しているらしい。リンちゃんは元気かな。
「わあ! おにいちゃんとおねえちゃんだ!」
マシュー商会の門戸を潜ると、僕達の姿に気付いたリンちゃんがタタタタ~っと駆け寄ってくる。そしてそのまま僕の胸にダイブしてきた。
「やあ、元気だったかい?」
「うん! げんき! あとね、おとうさんのおてつだいもやってるの!」
「そっか、えらいぞ~」
リンちゃんを抱き上げ、『たかいたかい』をしてあげると、それはもう大喜びだ。そこにヨシュア君がジト目で話しかけてくる。
「ショーン君……君はこんな素敵な女性を二人も侍らしているのに、ロリコンなのかい?」
「ちっ、違いますよ! 僕は幼い女の子が可愛いと思うだけで……」
「主人よ……それは違ってないと思うのだ」
「ご主人様! そのような容姿がお好みなら、私も今から幼女の姿に!!!!」
おかしいな……ヨシュア君の言葉を否定したはずなのに。そしてノワール。小さくならなくていいから。
「はっはっは! ショーンさん、リンならあと五年くらいお待ちください」
そこへ笑いながら介入してきたのはリンちゃんの父親のマシューさんだ。以前一緒にいた時と比べて表情に覇気がある。やっぱり商人は彼の天職なんだろうね。きっと仕事が充実してるから顔つきも変わって来るんだろう。前は疲れた顔をしていたし。
そしてそのまま建物の中に招き入れられ、久しぶりの会話に華を咲かせた。
「なるほど……王都、そして女王陛下がそのような事に。各地の貴族の動きが活発になっているのは私の耳にも入ってきていましたが、そういう事でしたか」
応接間にて。テーブルを挟んで向かいにはマシューさん。その後ろには秘書らしき女性が控えている。こちらは僕とヨシュア君。ノワールとアーテルは、リンちゃんたってのお願いで、外で一緒に遊んでいる。彼女達もリンちゃんの事が大好きなので、快く子守りを引き受けてくれた。
「具体的には?」
ヨシュア君がそう訊ねる。
「はい、武器や防具は勿論なのですが、馬や馬車、それに保存の利く食料や樽などの容器……これらの流通量が跳ねあがっていますね」
「ふむ……まるで戦争の準備をしているみたいだね」
ボソリと呟くヨシュア君の表情が曇る。グリペン侯爵領は辺境にあって王国を守っている。それはあくまでも魔物や対外的な敵に対する剣であり盾であって、決して同じ国民同士の争いに刃を突き立てるものではないはずだ。
それが現実のものとなりつつある現状を憂いているんだろうね。
「それは……私どもには分かりかねますが、手放しで喜べない景気の良さ、という雰囲気はありますね」
「で、どこの貴族が大口の取引をしているのかは分かりますか?」
僕がそう訊ねると、マシューさんは後ろ控える秘書を見る。すると秘書の女性はパラパラと手にした資料をめくり、あるページで手を止めた。
「王都より西、ザフト公爵とドラケン侯爵、そしてその寄子の貴族の取引が目立ちます。あとは残りの四公家がやや多い、そんな所でしょうか」
うーむ……
ドラケン侯爵の名前が出て来るのはどう判断すべきかな。
王都の西側が結託しているとなると、これはかなり厄介な話で、二候四伯家が協力しようという大前提が瓦解してしまう。
ザフト公爵家に対する牽制としての武力強化なら、それはこちらの思惑通りなんだけど……
「まあ、難しい事を今考えても仕方がない。結局のところ、君はドラケンに行くんだろう? あちらが敵だろうが味方だろうが」
そうだね。ヨシュア君の言う通りだ。勿論グリペン侯爵の助けになるつもりだけど、それ以外にもダンジョンに潜るっていう目的もあるしね。
「それともうひとつ、褐色の肌にクリーム色の髪、黒曜のような瞳を持った女の子を探しているんだ。歳の頃は私と同じくらいだと思う」
ここで漸くヨシュア君にとっての本題に入った。今まで遠慮していたんだろうね。
「ふむ……かなり珍しい容姿のお方ですね? どこかの貴族の令嬢で?」
「ああ、侍女を二人連れていたので、恐らくは……」
そう、褐色の肌自体が珍しい。だからノワールも目立つ。だけど彼女の場合は髪の色も黒いので、インパクトという面ではヨシュア君の黒曜の君には負けると思う。
「褐色の肌というのは残念ながら……ただ、皆様が赴こうとしているドラケン侯爵家の血筋の者は、代々クリーム色の髪をしているというのは聞いた事があります」
「おお! そうなんだね? ありがとう!」
手がかりと言うには余りにも弱々しくて、そしてトラブルの予感が満載の相手じゃないかそれって……
でもヨシュア君は嬉しそうだね。
ただ、情報収集もノワールやシルフがいると、然程時間を掛けずに大概の事が分かってしまう。
シルフの場合は風属性の下級精霊に命じて情報を集めてくるし、その中で気になったものがあれば、ノワールが影となり実際に見て確認してくる。
「やはり各地の貴族が戦力を整えているようですね。ただ、マシュー商会にも情報はそれなりに集まっているようですよ?」
マシューさんはブンドルとのトラブルの後、このポーバーグで商会を立ち上げ、子爵領の発展に尽力しているらしい。リンちゃんは元気かな。
「わあ! おにいちゃんとおねえちゃんだ!」
マシュー商会の門戸を潜ると、僕達の姿に気付いたリンちゃんがタタタタ~っと駆け寄ってくる。そしてそのまま僕の胸にダイブしてきた。
「やあ、元気だったかい?」
「うん! げんき! あとね、おとうさんのおてつだいもやってるの!」
「そっか、えらいぞ~」
リンちゃんを抱き上げ、『たかいたかい』をしてあげると、それはもう大喜びだ。そこにヨシュア君がジト目で話しかけてくる。
「ショーン君……君はこんな素敵な女性を二人も侍らしているのに、ロリコンなのかい?」
「ちっ、違いますよ! 僕は幼い女の子が可愛いと思うだけで……」
「主人よ……それは違ってないと思うのだ」
「ご主人様! そのような容姿がお好みなら、私も今から幼女の姿に!!!!」
おかしいな……ヨシュア君の言葉を否定したはずなのに。そしてノワール。小さくならなくていいから。
「はっはっは! ショーンさん、リンならあと五年くらいお待ちください」
そこへ笑いながら介入してきたのはリンちゃんの父親のマシューさんだ。以前一緒にいた時と比べて表情に覇気がある。やっぱり商人は彼の天職なんだろうね。きっと仕事が充実してるから顔つきも変わって来るんだろう。前は疲れた顔をしていたし。
そしてそのまま建物の中に招き入れられ、久しぶりの会話に華を咲かせた。
「なるほど……王都、そして女王陛下がそのような事に。各地の貴族の動きが活発になっているのは私の耳にも入ってきていましたが、そういう事でしたか」
応接間にて。テーブルを挟んで向かいにはマシューさん。その後ろには秘書らしき女性が控えている。こちらは僕とヨシュア君。ノワールとアーテルは、リンちゃんたってのお願いで、外で一緒に遊んでいる。彼女達もリンちゃんの事が大好きなので、快く子守りを引き受けてくれた。
「具体的には?」
ヨシュア君がそう訊ねる。
「はい、武器や防具は勿論なのですが、馬や馬車、それに保存の利く食料や樽などの容器……これらの流通量が跳ねあがっていますね」
「ふむ……まるで戦争の準備をしているみたいだね」
ボソリと呟くヨシュア君の表情が曇る。グリペン侯爵領は辺境にあって王国を守っている。それはあくまでも魔物や対外的な敵に対する剣であり盾であって、決して同じ国民同士の争いに刃を突き立てるものではないはずだ。
それが現実のものとなりつつある現状を憂いているんだろうね。
「それは……私どもには分かりかねますが、手放しで喜べない景気の良さ、という雰囲気はありますね」
「で、どこの貴族が大口の取引をしているのかは分かりますか?」
僕がそう訊ねると、マシューさんは後ろ控える秘書を見る。すると秘書の女性はパラパラと手にした資料をめくり、あるページで手を止めた。
「王都より西、ザフト公爵とドラケン侯爵、そしてその寄子の貴族の取引が目立ちます。あとは残りの四公家がやや多い、そんな所でしょうか」
うーむ……
ドラケン侯爵の名前が出て来るのはどう判断すべきかな。
王都の西側が結託しているとなると、これはかなり厄介な話で、二候四伯家が協力しようという大前提が瓦解してしまう。
ザフト公爵家に対する牽制としての武力強化なら、それはこちらの思惑通りなんだけど……
「まあ、難しい事を今考えても仕方がない。結局のところ、君はドラケンに行くんだろう? あちらが敵だろうが味方だろうが」
そうだね。ヨシュア君の言う通りだ。勿論グリペン侯爵の助けになるつもりだけど、それ以外にもダンジョンに潜るっていう目的もあるしね。
「それともうひとつ、褐色の肌にクリーム色の髪、黒曜のような瞳を持った女の子を探しているんだ。歳の頃は私と同じくらいだと思う」
ここで漸くヨシュア君にとっての本題に入った。今まで遠慮していたんだろうね。
「ふむ……かなり珍しい容姿のお方ですね? どこかの貴族の令嬢で?」
「ああ、侍女を二人連れていたので、恐らくは……」
そう、褐色の肌自体が珍しい。だからノワールも目立つ。だけど彼女の場合は髪の色も黒いので、インパクトという面ではヨシュア君の黒曜の君には負けると思う。
「褐色の肌というのは残念ながら……ただ、皆様が赴こうとしているドラケン侯爵家の血筋の者は、代々クリーム色の髪をしているというのは聞いた事があります」
「おお! そうなんだね? ありがとう!」
手がかりと言うには余りにも弱々しくて、そしてトラブルの予感が満載の相手じゃないかそれって……
でもヨシュア君は嬉しそうだね。
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