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四章
陛下も覚悟を
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取り敢えず僕のユニークジョブの件の報告は済んだ。
ユニークジョブが授けられるのは非常に稀らしく、それがデライラ、僕、と続けざまに起こっているのがもう尋常な事態ではないらしい。
それが何等かの争乱や事件の前兆ではないかと陛下は不安になっている訳だね。
そもそもユニークジョブというのは大変強力で、それを授かった人はそれぞれの分野において一騎当千の力を持つという。
例えば王家の人間が授けられる『キング』や『クイーン』といったジョブは、それだけで人を統べるカリスマ性を持っているとか。レベッカ女王陛下は、王位を継ぐ前は『プリンセス』だったのが、戴冠後は『クイーン』になったという。
でも、そのカリスマ性以外にどんな能力を持っているかまでは教えてくれなかった。それこそ王家の者だけが知る秘中の秘ってやつなんだろうね。
まあ、こう言っちゃなんだけど、ただの娘さんに国民が従っている訳だから、それだけでもうチートなジョブとも言えるよね。
「ところで陛下、こちらのヨシュア公子がお尋ねしたい事があるのだとか」
女王陛下を前に恐縮しているのか、ヨシュア君がさっきから空気になっている。仕方ないので助け舟を出してあげた。
「あら、何でしょう、ヨシュア公子?」
「は、はい。実は――」
そこでヨシュア君が黒曜の君の手掛かりを探している事を伝える。確かに陛下なら国中の貴族の情報を持っているだろう。
「褐色の肌に黒い瞳、クリーム色の髪ですか……」
陛下は細い顎に指をやり、しばし考える仕草をする。
「残念ですが、国内の貴族にはそのような特徴を持った一族はおりません。ただ、他国の者だったり、何らかの変異によって褐色の肌の人間が生まれる事も有り得ない事ではないでしょうね。そしてその者を貴族の者が妾として囲っていた場合、表には出てこない可能性もあります。であれば、最も手がかりがあるのはクリーム色の髪の一族、ドラケン侯爵家でしょう」
「やはりそうですか」
ドラケン侯爵との接触は、グリペン侯爵より課せられたミッションと言っていい。そこに行くのが目的なのだから、陛下のお言葉を聞いたヨシュア君に落胆の色はない。どうせ行かねばならない目的地が、手がかりの場所でもあるのだから。
「実は私達は、父の命を受けドラケン侯爵領を赴く途中なのです」
「ですが最短距離で行くとなれば、ザフト公爵の領地を通らねばなりません。今、オスト公爵以外の三つの公爵家は……」
ヨシュア君の話を聞いた陛下が、少し困った顔で言い淀んだ。政情不安を通り越して、明確に反女王派を形成しているんだから長閑な旅にはなりっこない。それを陛下は自分の責任として感じているんだろう。
厳密に言えば光の加護を与えたルークスのせいなんだけど、その代わり陛下にも味方は増えた。潜在的な敵がはっきりしただけの話なんだよね。
「僕達の事なら心配無用です。ヨシュア君を鍛えながら行きますので」
冗談混じりにそう言うと、陛下の表情が僅かに緩んだ。僕はさらに加えて陛下に伝える。
「オスト公爵の下に精霊王シルフを置いてきました。必ずや陛下のお力になってくれると思います」
「まあ!」
さすがに直接精霊王が味方してくれるというのは心強いんだろうね。陛下のお顔に喜色が浮かぶ。逆に心配そうなのはデライラだ。
「王都にいるあたし達は助かるけど、あんたは大丈夫なの? 風属性の精霊達とか」
「うん。シルフに加護を頂いたんだ。風の精霊達もちゃんと協力してくれるから問題ないさ」
「そう、なら良かったわ」
シルフのような風の極大魔法は使えないと思うけど、加護を頂いた僕はその辺の魔法使いなんかとは比べ物にならない威力の魔法を撃てる。そもそも持っている魔力量も桁違いだし。
「ところでヨシュア公子がドラケン侯爵の下へ赴く目的は?」
光と闇の大精霊の復活。一部に明るみになった四大精霊王の洗脳。そしてユニークジョブ所持者の度重なる出現。そうした大きなうねりの中で国内でも有数の大貴族であるグリペン家がドラケン家へと接触しようとしている。
しかも当主が表だって動くのではなく、第二公子という立場の人間が少数の冒険者を雇って動いているとなれば、水面下で何をしようとしているか気になるのも無理はない。まだ事を表沙汰にはしたくないという意図が見えるしね。
だから問いかける女王陛下の表情は至って真面目だし、少しだけ不安の色も出ている。
「……戦争――の準備でしょうね」
「やはり、そうですか」
四公家のうちの三つは敵だ。それに対抗する為に二候四伯家を纏め上げなければならない。現に、四伯家の斥候がオストバーグで情報収集している事から、彼等も状況を見極めようとしている。現段階では敵になるか味方になるか分からないもんね。
まずはグリペンとドラケン、光と闇が同じ方向を向かなくてはいけないという事なんだ。
「父上は勿論、ポー子爵やヴィルベルヴィント公子も既に動いています。陛下は戦争を望んではいないかも知れませんが、事態はもう……」
火と水と土。三人の精霊王を正気に戻し、且つノワールとルークスを封印するよう仕組んだヤツを倒さない限り、僕の戦いは終わらない。
ユニークジョブが授けられるのは非常に稀らしく、それがデライラ、僕、と続けざまに起こっているのがもう尋常な事態ではないらしい。
それが何等かの争乱や事件の前兆ではないかと陛下は不安になっている訳だね。
そもそもユニークジョブというのは大変強力で、それを授かった人はそれぞれの分野において一騎当千の力を持つという。
例えば王家の人間が授けられる『キング』や『クイーン』といったジョブは、それだけで人を統べるカリスマ性を持っているとか。レベッカ女王陛下は、王位を継ぐ前は『プリンセス』だったのが、戴冠後は『クイーン』になったという。
でも、そのカリスマ性以外にどんな能力を持っているかまでは教えてくれなかった。それこそ王家の者だけが知る秘中の秘ってやつなんだろうね。
まあ、こう言っちゃなんだけど、ただの娘さんに国民が従っている訳だから、それだけでもうチートなジョブとも言えるよね。
「ところで陛下、こちらのヨシュア公子がお尋ねしたい事があるのだとか」
女王陛下を前に恐縮しているのか、ヨシュア君がさっきから空気になっている。仕方ないので助け舟を出してあげた。
「あら、何でしょう、ヨシュア公子?」
「は、はい。実は――」
そこでヨシュア君が黒曜の君の手掛かりを探している事を伝える。確かに陛下なら国中の貴族の情報を持っているだろう。
「褐色の肌に黒い瞳、クリーム色の髪ですか……」
陛下は細い顎に指をやり、しばし考える仕草をする。
「残念ですが、国内の貴族にはそのような特徴を持った一族はおりません。ただ、他国の者だったり、何らかの変異によって褐色の肌の人間が生まれる事も有り得ない事ではないでしょうね。そしてその者を貴族の者が妾として囲っていた場合、表には出てこない可能性もあります。であれば、最も手がかりがあるのはクリーム色の髪の一族、ドラケン侯爵家でしょう」
「やはりそうですか」
ドラケン侯爵との接触は、グリペン侯爵より課せられたミッションと言っていい。そこに行くのが目的なのだから、陛下のお言葉を聞いたヨシュア君に落胆の色はない。どうせ行かねばならない目的地が、手がかりの場所でもあるのだから。
「実は私達は、父の命を受けドラケン侯爵領を赴く途中なのです」
「ですが最短距離で行くとなれば、ザフト公爵の領地を通らねばなりません。今、オスト公爵以外の三つの公爵家は……」
ヨシュア君の話を聞いた陛下が、少し困った顔で言い淀んだ。政情不安を通り越して、明確に反女王派を形成しているんだから長閑な旅にはなりっこない。それを陛下は自分の責任として感じているんだろう。
厳密に言えば光の加護を与えたルークスのせいなんだけど、その代わり陛下にも味方は増えた。潜在的な敵がはっきりしただけの話なんだよね。
「僕達の事なら心配無用です。ヨシュア君を鍛えながら行きますので」
冗談混じりにそう言うと、陛下の表情が僅かに緩んだ。僕はさらに加えて陛下に伝える。
「オスト公爵の下に精霊王シルフを置いてきました。必ずや陛下のお力になってくれると思います」
「まあ!」
さすがに直接精霊王が味方してくれるというのは心強いんだろうね。陛下のお顔に喜色が浮かぶ。逆に心配そうなのはデライラだ。
「王都にいるあたし達は助かるけど、あんたは大丈夫なの? 風属性の精霊達とか」
「うん。シルフに加護を頂いたんだ。風の精霊達もちゃんと協力してくれるから問題ないさ」
「そう、なら良かったわ」
シルフのような風の極大魔法は使えないと思うけど、加護を頂いた僕はその辺の魔法使いなんかとは比べ物にならない威力の魔法を撃てる。そもそも持っている魔力量も桁違いだし。
「ところでヨシュア公子がドラケン侯爵の下へ赴く目的は?」
光と闇の大精霊の復活。一部に明るみになった四大精霊王の洗脳。そしてユニークジョブ所持者の度重なる出現。そうした大きなうねりの中で国内でも有数の大貴族であるグリペン家がドラケン家へと接触しようとしている。
しかも当主が表だって動くのではなく、第二公子という立場の人間が少数の冒険者を雇って動いているとなれば、水面下で何をしようとしているか気になるのも無理はない。まだ事を表沙汰にはしたくないという意図が見えるしね。
だから問いかける女王陛下の表情は至って真面目だし、少しだけ不安の色も出ている。
「……戦争――の準備でしょうね」
「やはり、そうですか」
四公家のうちの三つは敵だ。それに対抗する為に二候四伯家を纏め上げなければならない。現に、四伯家の斥候がオストバーグで情報収集している事から、彼等も状況を見極めようとしている。現段階では敵になるか味方になるか分からないもんね。
まずはグリペンとドラケン、光と闇が同じ方向を向かなくてはいけないという事なんだ。
「父上は勿論、ポー子爵やヴィルベルヴィント公子も既に動いています。陛下は戦争を望んではいないかも知れませんが、事態はもう……」
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