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四章
シェラのスキル
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それにしてもなんだろう?
別の世界に生息する魔物というのも興味深い話だけど、シェラさんの成長の速さだ。覚悟を決めてからは何かが覚醒したというか、閃いたらそれを実践し、しかも現実のものとして仕上げてしまう。
さっきの行動阻害の魔法にしてもそうだ。ノワールに言われた発動までの速度に難があるとの指摘や、あるいはパワーにモノを言わせるタイプの魔物を抑えるには脆弱だという僕の懸念を一気に払拭してしまった。
「ご主人様に味方にバフが掛かるというパッシブスキルがあるように、彼女にも何らかのスキルがあるのかも知れませんね」
ノワールの一言でなるほどと頷く。そもそもスキル持ちっていうのがもう珍しい存在だ。冒険者とは無縁、しかも人目を避けるように生きてきた彼女には、そのような知識は無かったのかも知れないし、仮に認識していたとしても、戦闘向きのスキルであればそれを発揮する状況が無かったという事もあり得る。
「シェラ、君は何かスキルを持っているんじゃないのかな?」
僕とノワールの会話を聞いていたのかそうではないのか、ヨシュア君が僕達が持っていた疑問をシェラさんにぶつける。
彼女は小首を傾げた後、それに答えた。
「ええっと……スキルならあります。『閃き』、そして『タンク増設』というものなのですが、今までは何にどう活かせば良いのか分かりませんでした」
閃きとタンク増設だって?
なんて事だ。彼女はスキルを二つも……
「それで、その効力を理解したのかい?」
「はい」
ヨシュア君の問いかけに、シェラさんは今度はしっかりと頷いて答えた。
「どちらも主に魔法に関するスキルのようです」
彼女の説明によれば、『閃き』とは、思い浮かんだ事柄を魔法として成立させるために足りない部分をアシストしてくれるスキルで、『タンク増設』とは、一時的に体内の魔力容量を増やすスキルの事のようだ。
「とんでもないスキルだね……」
聞いた僕も驚いたけど、ヨシュア君はもっと驚いている。シェラさんは思っていた以上にチートな存在だったからだろう。
「でもそこまで万能ではないようです。いくら閃きが発動しても、私の素養に問題があったり世界の理から外れるような事はできないですし、タンク増設にしても私の現在の能力に比例するようですから」
ちょっと困ったようにシェラさんが説明する。あまり過度な期待をされても困るという事だろうか。いや、それでも誰かがヒントを与えれば閃きというスキルはその場で大化けする可能性もあるし、タンク増設も切り札になり得る。魔法使いとしてはちょっと羨ましいスキルだよ。
でもそういう事なら、身体強化だけでも会得してもらおうかな。
「シェラさん。魔力による身体強化を習得しちゃってください」
「身体強化……ショーン様やヨシュア様も使っているアレですね」
「そうです」
普段から身体強化を使わせておけば、常に魔力を消費する事になる。魔力容量を鍛える事になるので彼女にとっていい事尽くめだね。
「シェラ。身体強化した状態なら、嫌味を言ってきたゴロツキ程度、片手で捻り潰せるようになるから頑張って」
「うふふふ……分かりました!」
ちょっと緊張していたシェラさんを、ヨシュア君がいい感じにリラックスさせた。この二人、やっぱりいいパートナーになりそうだね。
「ノワール、次は少し手頃な魔物を頼むよ」
「はい、オークくらいでよろしいですか?」
あのエレキテルバッファローにすら怯まずに向かって行ったんだ。大丈夫と思うけどね。今度は行動阻害の魔法なしでやってもらおうかと思う。
でもノワール、オークはブロンズランカーじゃ厳しい魔物なんだけど、それをシェラさんにぶつけようとするなんて、やっぱりスパルタだね。
別の世界に生息する魔物というのも興味深い話だけど、シェラさんの成長の速さだ。覚悟を決めてからは何かが覚醒したというか、閃いたらそれを実践し、しかも現実のものとして仕上げてしまう。
さっきの行動阻害の魔法にしてもそうだ。ノワールに言われた発動までの速度に難があるとの指摘や、あるいはパワーにモノを言わせるタイプの魔物を抑えるには脆弱だという僕の懸念を一気に払拭してしまった。
「ご主人様に味方にバフが掛かるというパッシブスキルがあるように、彼女にも何らかのスキルがあるのかも知れませんね」
ノワールの一言でなるほどと頷く。そもそもスキル持ちっていうのがもう珍しい存在だ。冒険者とは無縁、しかも人目を避けるように生きてきた彼女には、そのような知識は無かったのかも知れないし、仮に認識していたとしても、戦闘向きのスキルであればそれを発揮する状況が無かったという事もあり得る。
「シェラ、君は何かスキルを持っているんじゃないのかな?」
僕とノワールの会話を聞いていたのかそうではないのか、ヨシュア君が僕達が持っていた疑問をシェラさんにぶつける。
彼女は小首を傾げた後、それに答えた。
「ええっと……スキルならあります。『閃き』、そして『タンク増設』というものなのですが、今までは何にどう活かせば良いのか分かりませんでした」
閃きとタンク増設だって?
なんて事だ。彼女はスキルを二つも……
「それで、その効力を理解したのかい?」
「はい」
ヨシュア君の問いかけに、シェラさんは今度はしっかりと頷いて答えた。
「どちらも主に魔法に関するスキルのようです」
彼女の説明によれば、『閃き』とは、思い浮かんだ事柄を魔法として成立させるために足りない部分をアシストしてくれるスキルで、『タンク増設』とは、一時的に体内の魔力容量を増やすスキルの事のようだ。
「とんでもないスキルだね……」
聞いた僕も驚いたけど、ヨシュア君はもっと驚いている。シェラさんは思っていた以上にチートな存在だったからだろう。
「でもそこまで万能ではないようです。いくら閃きが発動しても、私の素養に問題があったり世界の理から外れるような事はできないですし、タンク増設にしても私の現在の能力に比例するようですから」
ちょっと困ったようにシェラさんが説明する。あまり過度な期待をされても困るという事だろうか。いや、それでも誰かがヒントを与えれば閃きというスキルはその場で大化けする可能性もあるし、タンク増設も切り札になり得る。魔法使いとしてはちょっと羨ましいスキルだよ。
でもそういう事なら、身体強化だけでも会得してもらおうかな。
「シェラさん。魔力による身体強化を習得しちゃってください」
「身体強化……ショーン様やヨシュア様も使っているアレですね」
「そうです」
普段から身体強化を使わせておけば、常に魔力を消費する事になる。魔力容量を鍛える事になるので彼女にとっていい事尽くめだね。
「シェラ。身体強化した状態なら、嫌味を言ってきたゴロツキ程度、片手で捻り潰せるようになるから頑張って」
「うふふふ……分かりました!」
ちょっと緊張していたシェラさんを、ヨシュア君がいい感じにリラックスさせた。この二人、やっぱりいいパートナーになりそうだね。
「ノワール、次は少し手頃な魔物を頼むよ」
「はい、オークくらいでよろしいですか?」
あのエレキテルバッファローにすら怯まずに向かって行ったんだ。大丈夫と思うけどね。今度は行動阻害の魔法なしでやってもらおうかと思う。
でもノワール、オークはブロンズランカーじゃ厳しい魔物なんだけど、それをシェラさんにぶつけようとするなんて、やっぱりスパルタだね。
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