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AD1855
47話 迎撃準備
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「増えてきたな」
「はい……海岸沿いとは方向も違いますね」
続々と近付いてくる反応の数が増えている。しかも、大型の反応、恐らくデーモンクラスが複数体確認されている。
「おい! 訓練は一旦中止! 防壁内に戻って避難民の安全確保! それが済み次第防壁上から迎撃!」
三戸が志願兵達に指示を出すと、皆防壁内部へと駆けていく。そしてアンジーにも追加指示を出す。
「防壁の上にガンタンクを。それからMINIMIを人数分準備しといてくれ。あと、俺の武装は銃剣付き小銃とサブマシンガン、それから手榴弾を」
「はいっ!」
アンジーがふわりと防壁の上に舞い上がるのを見届けると、三戸は残されていたLAVの後部座席に乗り込み、上部ハッチからMINIMIを構えて待ち構えた。
「このトリガーを引けばよいのですね?」
「ん?」
声のした方向を見ると、隣のLAVには三戸と同じように、ナイチンゲールが乗り込んで上部ハッチから顔を出していた。
さすがに肝が据わっている。三戸は苦笑した。
「危ないと思ったらすぐにヘキサゴンの中へ避難してくれよ?」
「ええ。ただ、私も戦う覚悟は見せなくてはなりませんからね。守られるだけの存在は嫌ですし」
それを聞いた三戸はほくそ笑む。彼女も戦闘向きではないだけで、れっきとした救世者なのだと。
「じゃあ、俺の合図でぶっ放してくれ。敵に接近されたら俺が前に出るから、フレンドリーファイアには注意してくれよ?」
「フレンドリー……なんです?」
「味方を撃つなって事だ」
「ぐ、そ、そんな事くらい分かっています!」
いつも冷静なナイチンゲールにしては珍しく、薄っすらと染めた頬を膨らます。機関銃を前にやや緊張気味だった彼女も、これで少しはリラックスできただろう。三戸は満足気に笑みを零す。
そうしている間にも魔物は迫る。アンジーの広範囲レーダーが捕捉している情報は三戸とリンクしているので、三戸がその気になればいくらでも情報は取り出せる。ただ、四六時中それをやっているのではさすがに情報の波に飲まれて疲れてしまうので、普段はそうしないだけだ。
(デーモンクラスの大型が五体、護衛の雑魚魔物がそれぞれ十体ずつってトコか……さて、デーモンクラスにはMINIMIじゃ火力不足だな)
三戸は得た情報を元に戦力評価しながら作戦を練る。ナイチンゲールさえ無事ならば、多少の無理は承知で突っ込んでいけばいい。だがそうなると、ナイチンゲールがこの前線にいるのはあまり好ましくない状況だ。彼女を守りながら戦う必要がある。
『アンジー、聞こえるか? ジャンヌ達の動きはトレース出来るか?』
ジャンヌ、関羽、リチャード、サラディンの四人は、早朝から訓練のため離れた場所に行っていた。彼らにも魔物の接近を知らせておく必要がある。合流できれば尚良い。
『はい! ……あ……マスター……』
防壁上で機関銃を設置しているアンジーの表情は分からないが、その声色は明らかに動揺している。
『どうした!?』
『はい……西の方向……コンスタンティノープルの方向から魔物の大群が! その方向にはジャンヌ様達も!』
『――!! 急いで呼び戻せ! ヘキサゴンの火力を使いながら迎撃した方がいい!』
『はいっ! チヌークで連れてきます!』
そう返事をすると、アンジーがファントムモードになって飛び去っていく。ファントムモードとは、アンジーの戦闘モードの事で、翼やノズル、ミサイルなどを装備した状態だ。戦闘機そのものの姿になるのとはまた違う。
アンジーの事だ。首根っこを引っ張ってでも連れてくるのだろう。人数と速度を考えると、帰りは恐らくチヌークか。
そんな事を考えながら、三戸はアンジーが見ているレーダーの映像にリンクを繋ぐ。
赤
赤
赤……
西の方向は夥しい数の赤い反応で埋め尽くされている。
「まさかデーモンクラスを陽動に使って、本命は西から物量で攻めてくるとはなぁ……やっぱり魔物共、知恵を付けてやがる」
しかも、瘴気の穴、つまり魔物の巣があった南からではなく、陽動のデーモンクラスは東、本命はコンスタンティノープルのある西から。もしかすると、瘴気の穴は複数存在しているのかも知れない。そんな事が三戸の頭をよぎる。
「ミト!」
その時、苦い顔で考え込む三戸に声がかかった。
「んー?」
「んー? ではありません! 敵が! 敵が見えてきました!」
急かしてくるナイチンゲールは焦っているようだが、距離はまだある。魔物の瘴気弾の射程はおよそ百メートル。これはジャンヌと関羽の救出の際に把握している。大型のデーモンクラスがいるせいで遠近感が騙されているが、まだ遠い。
「焦らない焦らない。向こうの攻撃はまだ届かないよ。もっと引き付けて、確実に仕留めるんだ」
こちらから撃っても確実に当たるとは限らない距離で中途半端な攻撃をして、下手に逃げられでもしたら後が厄介だ。折角こちらの要塞に攻め込んできてくれるのだから、市街地に被害が出ないようにこの地でキッチリと仕留める。
三戸はナイチンゲールにその考えを伝えた。
「なるほど、素人が出過ぎた事を……」
「いやいや、敵が見えてるんだ。それが普通だよ。いいか、合図をしたら撃つんだ。まずは取り巻きの雑魚を片付ける!」
「分かりました!」
二人はLAVの上部ハッチから、近付く魔物の群れに狙いを定めた。
「はい……海岸沿いとは方向も違いますね」
続々と近付いてくる反応の数が増えている。しかも、大型の反応、恐らくデーモンクラスが複数体確認されている。
「おい! 訓練は一旦中止! 防壁内に戻って避難民の安全確保! それが済み次第防壁上から迎撃!」
三戸が志願兵達に指示を出すと、皆防壁内部へと駆けていく。そしてアンジーにも追加指示を出す。
「防壁の上にガンタンクを。それからMINIMIを人数分準備しといてくれ。あと、俺の武装は銃剣付き小銃とサブマシンガン、それから手榴弾を」
「はいっ!」
アンジーがふわりと防壁の上に舞い上がるのを見届けると、三戸は残されていたLAVの後部座席に乗り込み、上部ハッチからMINIMIを構えて待ち構えた。
「このトリガーを引けばよいのですね?」
「ん?」
声のした方向を見ると、隣のLAVには三戸と同じように、ナイチンゲールが乗り込んで上部ハッチから顔を出していた。
さすがに肝が据わっている。三戸は苦笑した。
「危ないと思ったらすぐにヘキサゴンの中へ避難してくれよ?」
「ええ。ただ、私も戦う覚悟は見せなくてはなりませんからね。守られるだけの存在は嫌ですし」
それを聞いた三戸はほくそ笑む。彼女も戦闘向きではないだけで、れっきとした救世者なのだと。
「じゃあ、俺の合図でぶっ放してくれ。敵に接近されたら俺が前に出るから、フレンドリーファイアには注意してくれよ?」
「フレンドリー……なんです?」
「味方を撃つなって事だ」
「ぐ、そ、そんな事くらい分かっています!」
いつも冷静なナイチンゲールにしては珍しく、薄っすらと染めた頬を膨らます。機関銃を前にやや緊張気味だった彼女も、これで少しはリラックスできただろう。三戸は満足気に笑みを零す。
そうしている間にも魔物は迫る。アンジーの広範囲レーダーが捕捉している情報は三戸とリンクしているので、三戸がその気になればいくらでも情報は取り出せる。ただ、四六時中それをやっているのではさすがに情報の波に飲まれて疲れてしまうので、普段はそうしないだけだ。
(デーモンクラスの大型が五体、護衛の雑魚魔物がそれぞれ十体ずつってトコか……さて、デーモンクラスにはMINIMIじゃ火力不足だな)
三戸は得た情報を元に戦力評価しながら作戦を練る。ナイチンゲールさえ無事ならば、多少の無理は承知で突っ込んでいけばいい。だがそうなると、ナイチンゲールがこの前線にいるのはあまり好ましくない状況だ。彼女を守りながら戦う必要がある。
『アンジー、聞こえるか? ジャンヌ達の動きはトレース出来るか?』
ジャンヌ、関羽、リチャード、サラディンの四人は、早朝から訓練のため離れた場所に行っていた。彼らにも魔物の接近を知らせておく必要がある。合流できれば尚良い。
『はい! ……あ……マスター……』
防壁上で機関銃を設置しているアンジーの表情は分からないが、その声色は明らかに動揺している。
『どうした!?』
『はい……西の方向……コンスタンティノープルの方向から魔物の大群が! その方向にはジャンヌ様達も!』
『――!! 急いで呼び戻せ! ヘキサゴンの火力を使いながら迎撃した方がいい!』
『はいっ! チヌークで連れてきます!』
そう返事をすると、アンジーがファントムモードになって飛び去っていく。ファントムモードとは、アンジーの戦闘モードの事で、翼やノズル、ミサイルなどを装備した状態だ。戦闘機そのものの姿になるのとはまた違う。
アンジーの事だ。首根っこを引っ張ってでも連れてくるのだろう。人数と速度を考えると、帰りは恐らくチヌークか。
そんな事を考えながら、三戸はアンジーが見ているレーダーの映像にリンクを繋ぐ。
赤
赤
赤……
西の方向は夥しい数の赤い反応で埋め尽くされている。
「まさかデーモンクラスを陽動に使って、本命は西から物量で攻めてくるとはなぁ……やっぱり魔物共、知恵を付けてやがる」
しかも、瘴気の穴、つまり魔物の巣があった南からではなく、陽動のデーモンクラスは東、本命はコンスタンティノープルのある西から。もしかすると、瘴気の穴は複数存在しているのかも知れない。そんな事が三戸の頭をよぎる。
「ミト!」
その時、苦い顔で考え込む三戸に声がかかった。
「んー?」
「んー? ではありません! 敵が! 敵が見えてきました!」
急かしてくるナイチンゲールは焦っているようだが、距離はまだある。魔物の瘴気弾の射程はおよそ百メートル。これはジャンヌと関羽の救出の際に把握している。大型のデーモンクラスがいるせいで遠近感が騙されているが、まだ遠い。
「焦らない焦らない。向こうの攻撃はまだ届かないよ。もっと引き付けて、確実に仕留めるんだ」
こちらから撃っても確実に当たるとは限らない距離で中途半端な攻撃をして、下手に逃げられでもしたら後が厄介だ。折角こちらの要塞に攻め込んできてくれるのだから、市街地に被害が出ないようにこの地でキッチリと仕留める。
三戸はナイチンゲールにその考えを伝えた。
「なるほど、素人が出過ぎた事を……」
「いやいや、敵が見えてるんだ。それが普通だよ。いいか、合図をしたら撃つんだ。まずは取り巻きの雑魚を片付ける!」
「分かりました!」
二人はLAVの上部ハッチから、近付く魔物の群れに狙いを定めた。
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