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131話 奈落の底の少年
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落下の途中で辛くもアンジーに拾い上げられた三戸は、心底ほっとした表情をしていた。
「ちょっと改良の余地アリだな、これは」
せっかくの空戦仕様のギアを纏っても、必殺兵器を放った後落下で死亡ではリスクが大きすぎる。
(まあ、あの一発で世界が救えて、その代償が俺の命一つなら安いモンかも知れねえがな)
「申し訳ありません、マスター」
威力は申し分なかったが、自分の主を思わぬ危険に巻き込んでしまった事で、アンジーが大きく肩を落としていた。ふぁむちゃんも同じポーズで宙に浮いている。そんな姿を見せられては、三戸も叱責などできる訳がない。
「ああ、いや。あのレールガンはこの先必ず必要になるだろ? よくやってくれた」
三戸はそう言いアンジーの頭をさらさらと撫でる。しかし、いつもならそれで狂喜乱舞するアンジーが、唇を噛みながら俯いたままだ。それに、僅かに身体を振るわせている。
「大丈夫さ。いざとなったら地上に降りて撃ち込めばいい。それくらいの隙は作ってくれるだろ?」
「……はいっ!」
いつもの輝くような笑顔と共に放たれる『はいっ!』ではなかった。アンジーのその表情は、二度と三戸を危険に晒してなるものかという固い決意で満ちている。
「マスター、そのギアを外して下さい」
「え? どうやって?」
「リジェクト! と、ハッキリと大きな声で!」
「それも音声認識なの……?」
「はいっ!」
今度の『はいっ!』はいつもの笑顔だ。
「り、リジェクト……」
三戸が少し躊躇しながらワードを口にすると、装着時と同じように赤い粒子に包まれ、ギアが消え去った。
「これは改良します! 次にマスターが装着する時には、完璧に仕上げておきますからっ!」
その様子を見ていた藤井、中谷、岡本は集まってヒソヒソと何か話し合っていた。
「やっぱ装着するより変形だよな」
「でもライトニングⅡは単発ですからねえ……」
「そっか! 双発だと足裏にジェットで……」
そんな三人を見て、結構平和だなと思う三戸だった。
△▼△
「ふむ。散ってしまった瘴気をかき集めるのに時間が掛かってしまったね。僕個人の力は限りなく元にもどったけど……」
白いゆったりとした衣服をまとった金髪の少年。歳の頃は十七、八程に見える。まだ幼さを残すその表情は神々しいまでに美しく、中性的と言ってよい。
ややタレ気味の切れ長な瞳は深いブルー。身長は百七十そこそこだが、よく鍛えられたバランスの良い体形をしている。
しかしその彼が、普通の少年ではない事は外見的特徴から明らかである。
「どうやら孤軍奮闘になりそうだね」
彼は奈落の底で周囲を見渡す。しかし彼に視線を返す者は誰もいない。
しかし彼は、深く暗い闇の中、寂し気な言葉の意味とは裏腹に不敵な笑みを零す。
「この戦いの後、僕は神に滅ぼされるだろうね。でも、せめて人間達はこの手で」
そう言って拳を握りしめる彼の頭上には、金色に輝くエンジェル・ハイロウが。そして背中には漆黒の六枚の翼が。
「さあ、始めようか! 最終戦争を!」
彼は六枚の翼をはためかせ、地上へと飛び立った。
「ちょっと改良の余地アリだな、これは」
せっかくの空戦仕様のギアを纏っても、必殺兵器を放った後落下で死亡ではリスクが大きすぎる。
(まあ、あの一発で世界が救えて、その代償が俺の命一つなら安いモンかも知れねえがな)
「申し訳ありません、マスター」
威力は申し分なかったが、自分の主を思わぬ危険に巻き込んでしまった事で、アンジーが大きく肩を落としていた。ふぁむちゃんも同じポーズで宙に浮いている。そんな姿を見せられては、三戸も叱責などできる訳がない。
「ああ、いや。あのレールガンはこの先必ず必要になるだろ? よくやってくれた」
三戸はそう言いアンジーの頭をさらさらと撫でる。しかし、いつもならそれで狂喜乱舞するアンジーが、唇を噛みながら俯いたままだ。それに、僅かに身体を振るわせている。
「大丈夫さ。いざとなったら地上に降りて撃ち込めばいい。それくらいの隙は作ってくれるだろ?」
「……はいっ!」
いつもの輝くような笑顔と共に放たれる『はいっ!』ではなかった。アンジーのその表情は、二度と三戸を危険に晒してなるものかという固い決意で満ちている。
「マスター、そのギアを外して下さい」
「え? どうやって?」
「リジェクト! と、ハッキリと大きな声で!」
「それも音声認識なの……?」
「はいっ!」
今度の『はいっ!』はいつもの笑顔だ。
「り、リジェクト……」
三戸が少し躊躇しながらワードを口にすると、装着時と同じように赤い粒子に包まれ、ギアが消え去った。
「これは改良します! 次にマスターが装着する時には、完璧に仕上げておきますからっ!」
その様子を見ていた藤井、中谷、岡本は集まってヒソヒソと何か話し合っていた。
「やっぱ装着するより変形だよな」
「でもライトニングⅡは単発ですからねえ……」
「そっか! 双発だと足裏にジェットで……」
そんな三人を見て、結構平和だなと思う三戸だった。
△▼△
「ふむ。散ってしまった瘴気をかき集めるのに時間が掛かってしまったね。僕個人の力は限りなく元にもどったけど……」
白いゆったりとした衣服をまとった金髪の少年。歳の頃は十七、八程に見える。まだ幼さを残すその表情は神々しいまでに美しく、中性的と言ってよい。
ややタレ気味の切れ長な瞳は深いブルー。身長は百七十そこそこだが、よく鍛えられたバランスの良い体形をしている。
しかしその彼が、普通の少年ではない事は外見的特徴から明らかである。
「どうやら孤軍奮闘になりそうだね」
彼は奈落の底で周囲を見渡す。しかし彼に視線を返す者は誰もいない。
しかし彼は、深く暗い闇の中、寂し気な言葉の意味とは裏腹に不敵な笑みを零す。
「この戦いの後、僕は神に滅ぼされるだろうね。でも、せめて人間達はこの手で」
そう言って拳を握りしめる彼の頭上には、金色に輝くエンジェル・ハイロウが。そして背中には漆黒の六枚の翼が。
「さあ、始めようか! 最終戦争を!」
彼は六枚の翼をはためかせ、地上へと飛び立った。
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