27 / 160
一章 魔法戦士養成学校編
前夜
しおりを挟む
翌日からも、日中は学校で訓練、放課後はシンディ監視の元猛特訓と、過酷な日々を送った。そして、模擬戦前の最後の晩餐。
「どうだ、お前ら。やれそうか?」
シンディが真顔でそう尋ねると、それぞれが異なる対応を見せる。
カールは冷静な表情を崩さず、かすかに口端を吊り上げるのみ。
チューヤは獰猛な笑みを浮かべながら、カットしたステーキを噛み千切った。
「もしかしたら、相手をぶっ殺しちまうかもしれねえな! 絶好調だぜ!」
「チューヤ、ボクは不安でいっぱいなんだからそんなに怖い事言わないでよ……」
そしてマリアンヌだけは自信なさげに俯いたまま、過激な事を口走るチューヤに抗議した。
「心配すンな。お前もよくやった。かなりやれる筈だぜ?」
特訓も後半になると、お互いに組手を行った訓練も取り入れていた為、ある程度力量も把握している。チューヤもマリアンヌを相手に楽勝という訳にはいかず、評価は高い。
「マリアンヌの回避能力は学校内でもトップクラスだ」
カールも幾度となく魔法を躱され剣を躱され、カウンターを当てられ、苦い思いをしている。少なくとも、チューヤ以外ではもっとも手強い生徒だという認識を植え付けられていた。
校内の実力者二人の評価が予想以上に高かった事に、マリアンヌが顔を上げ、きょとんとした表情で二人を見渡した。そして最後にシンディを見る。それに彼女が力強く頷いた。
「お前らがしっかり連携取れりゃあ、教官にだって引けは取らねえよ」
(もっとも、その連携ってヤツが一番問題なんだがな、こいつらの場合は)
シンディは腹の中で苦笑していたが、今回の模擬戦は別に勝利が目的ではない。大型の変異種をこの三人で倒せる実力があると示せればいいのだ。
(負けて勝負の厳しさを知るのもいいじゃねえか)
この時点では、彼女はそう楽観視していたのだった。
そしてこの日の三人は十分な休息を取り、明日に備えて眠りについた。
▼△▼
同日。エリートクラスの教室にて。
「今日の授業はここまでだ。明日は落ちこぼれ……オホン! 失礼。戦士養成クラスにて不正を働いた疑惑がある生徒の真の実力を測るため、模擬戦をとり行う。よって、明日の授業の時間は全て模擬戦の観戦となる。以上」
教壇に立つ、サラサラの金髪を靡かせるイケメン教官。デヴィッドが気障な笑みを浮かべながら授業終了を伝達した。
不正を働いた疑惑がある生徒。言うまでもなく、チューヤ、カール、マリアンヌの三人の事だが、デヴィッドにとっては疑惑の真偽などどうでもいい話だった。
『力量を測る』という名目で生徒を痛めつけ、最終的にはシンディを屈服させるのが目的だ。自身の中で、明日の展開を想像しているのか、浮かべた気障な笑みは徐々に下卑たものに変わっていくが、デヴィッドは気付いていない。
しかし、そこは爽やかなイケメン教師とイメージが刷り込まれているため、エリートクラスの女子生徒達には自信に満ち溢れた素敵な微笑みとしか映らないようだ。
だがその中に一人。
「教官! 質問があります!」
教室内に凛とした声を響かせる栗毛の美少女は、背筋を伸ばし、視線をデヴィッドに投げかけながら挙手をした。
「何かな? スージィ君」
「カール達の相手をするのはどなたなのですか?」
模擬戦の話はすでに広く知れ回っており、その当時者がチューヤ、カール、マリアンヌだというのも周知の事実。
「僕一人の予定だが?」
「相手は三人です!」
「この僕が三人相手とは言え、たかが生徒に負けるとでも?」
スージィの指摘に、デヴィッドは眉を顰める。
「いえ! そうではありません。私も出させて下さい! ドロップアウトした者に、力の差を見せつけてやりたいのです! 幸い、私が出ても2対3。数の上ではまだ向こうが有利ですから不満は出ないのではないでしょうか?」
難しい表情でスージィの意見を聞いていたデヴィッドだが、考えを改めたのか、爽やかな笑顔に戻って彼女に語る。
「なるほど。明日はスージィ君も参加しなさい。ただし!」
「……」
「手加減は許さない」
「……はい」
静かに返事をしたスージィを見て、デヴィッドがほくそ笑む。
(エリートと落ちこぼれの実力差を見せつけるのも一興か)
しかしその陰ではスージィの思惑も動いていた。
(私がこの手でカールとチューヤの実力を確かめる! もし彼等の方が強いなら……)
スージィの瞳がある決意に燃える。
「どうだ、お前ら。やれそうか?」
シンディが真顔でそう尋ねると、それぞれが異なる対応を見せる。
カールは冷静な表情を崩さず、かすかに口端を吊り上げるのみ。
チューヤは獰猛な笑みを浮かべながら、カットしたステーキを噛み千切った。
「もしかしたら、相手をぶっ殺しちまうかもしれねえな! 絶好調だぜ!」
「チューヤ、ボクは不安でいっぱいなんだからそんなに怖い事言わないでよ……」
そしてマリアンヌだけは自信なさげに俯いたまま、過激な事を口走るチューヤに抗議した。
「心配すンな。お前もよくやった。かなりやれる筈だぜ?」
特訓も後半になると、お互いに組手を行った訓練も取り入れていた為、ある程度力量も把握している。チューヤもマリアンヌを相手に楽勝という訳にはいかず、評価は高い。
「マリアンヌの回避能力は学校内でもトップクラスだ」
カールも幾度となく魔法を躱され剣を躱され、カウンターを当てられ、苦い思いをしている。少なくとも、チューヤ以外ではもっとも手強い生徒だという認識を植え付けられていた。
校内の実力者二人の評価が予想以上に高かった事に、マリアンヌが顔を上げ、きょとんとした表情で二人を見渡した。そして最後にシンディを見る。それに彼女が力強く頷いた。
「お前らがしっかり連携取れりゃあ、教官にだって引けは取らねえよ」
(もっとも、その連携ってヤツが一番問題なんだがな、こいつらの場合は)
シンディは腹の中で苦笑していたが、今回の模擬戦は別に勝利が目的ではない。大型の変異種をこの三人で倒せる実力があると示せればいいのだ。
(負けて勝負の厳しさを知るのもいいじゃねえか)
この時点では、彼女はそう楽観視していたのだった。
そしてこの日の三人は十分な休息を取り、明日に備えて眠りについた。
▼△▼
同日。エリートクラスの教室にて。
「今日の授業はここまでだ。明日は落ちこぼれ……オホン! 失礼。戦士養成クラスにて不正を働いた疑惑がある生徒の真の実力を測るため、模擬戦をとり行う。よって、明日の授業の時間は全て模擬戦の観戦となる。以上」
教壇に立つ、サラサラの金髪を靡かせるイケメン教官。デヴィッドが気障な笑みを浮かべながら授業終了を伝達した。
不正を働いた疑惑がある生徒。言うまでもなく、チューヤ、カール、マリアンヌの三人の事だが、デヴィッドにとっては疑惑の真偽などどうでもいい話だった。
『力量を測る』という名目で生徒を痛めつけ、最終的にはシンディを屈服させるのが目的だ。自身の中で、明日の展開を想像しているのか、浮かべた気障な笑みは徐々に下卑たものに変わっていくが、デヴィッドは気付いていない。
しかし、そこは爽やかなイケメン教師とイメージが刷り込まれているため、エリートクラスの女子生徒達には自信に満ち溢れた素敵な微笑みとしか映らないようだ。
だがその中に一人。
「教官! 質問があります!」
教室内に凛とした声を響かせる栗毛の美少女は、背筋を伸ばし、視線をデヴィッドに投げかけながら挙手をした。
「何かな? スージィ君」
「カール達の相手をするのはどなたなのですか?」
模擬戦の話はすでに広く知れ回っており、その当時者がチューヤ、カール、マリアンヌだというのも周知の事実。
「僕一人の予定だが?」
「相手は三人です!」
「この僕が三人相手とは言え、たかが生徒に負けるとでも?」
スージィの指摘に、デヴィッドは眉を顰める。
「いえ! そうではありません。私も出させて下さい! ドロップアウトした者に、力の差を見せつけてやりたいのです! 幸い、私が出ても2対3。数の上ではまだ向こうが有利ですから不満は出ないのではないでしょうか?」
難しい表情でスージィの意見を聞いていたデヴィッドだが、考えを改めたのか、爽やかな笑顔に戻って彼女に語る。
「なるほど。明日はスージィ君も参加しなさい。ただし!」
「……」
「手加減は許さない」
「……はい」
静かに返事をしたスージィを見て、デヴィッドがほくそ笑む。
(エリートと落ちこぼれの実力差を見せつけるのも一興か)
しかしその陰ではスージィの思惑も動いていた。
(私がこの手でカールとチューヤの実力を確かめる! もし彼等の方が強いなら……)
スージィの瞳がある決意に燃える。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる