55 / 140
妹が私の夫の事を素敵だと褒めちぎるので、彼女に譲ってあげる事にします──。
しおりを挟む
「お姉様の旦那様って、本当に素敵よね…。顔もカッコいいし、体つきも逞しくて…。毎日傍に居られる何て、本当に羨ましい─。」
そう言って、うっとりとした表情で庭に居る夫を見る妹。
「…そんなに彼を素敵だと言うのなら…だったら、あなたに彼を譲りましょうか?」
「…え?」
「あなたに、妻の座を譲ってあげようかって言ってるの─。」
私の言葉に、妹は一瞬驚いた顔を見せたが…目を輝かせ、私の方へやって来た。
「本当!?本当に、彼を私にくれるの!?」
「えぇ。前から思って居たのよ…。美形の彼に、地味な私は釣り合わない…。彼には、美しいあなたの方がふさわしいって─。」
「お姉様…!」
こうして、私は夫に離縁の意思を伝え…と同時に、私の妹があなたに恋い焦がれて居るから…彼女を新しい妻に迎えてあげて欲しいとお願いした。
すると彼は、あっさりそれを了承し…私はこの家を出て行く事になったのだ。
しかし、こんなに簡単に彼と別れられたのは…あの二人が、前から浮気関係にあったからだった。
二人は、必死にそれを隠し…私が、何も気付いて居ないと思って居た様だが…私は、ちゃんとお見通しだった。
そして、妹が毎回家にやってくる度に彼を誉めるのは…あんな素敵な方、お姉様に渡したくない…彼は私のものなのだという、アピールの意味である事も理解して居た。
でもね…あの男がそんな素敵な人物だと、私は到底思えないわ。
あなたも、すぐにそれを嫌という程理解する事になるでしょう─。
私は、日が沈み暗くなる空を見上げ、そう思った。
その翌日の事だ─。
朝早く、妹が髪も服も乱れたまま実家へと戻って来て、私にこう訴えた。
「あの男、一体何なの!?夜になったら、まるで別人みたいになっちゃって…。顔も体型も、豚の様に醜くなったのよ!」
「だってそれが、彼の本当の姿だもの。」
「なッ!?」
「彼はね、学生時代にある生徒を虐め…それによって、呪いを受けたそうよ。昼間はとてつもない美形の姿になれるけれど…夜になったら、本当の姿に戻るという呪いをね。皆、昼間のあの美しい彼に騙され、彼を素敵だと好きになるけれど…夜になり真実の姿を知ったら、途端に恋心を無くしてね…。それで彼、今まで結婚できずに居たの。まぁ、最終的に金に物を言わせ、私との結婚に至ったけれどね。」
「そんな…。」
「でも、私はそんな彼が嫌で嫌で…。容姿は勿論だけど、虐めをして居ただけあって性格は悪いし…。あの人、怒るとすぐにキレて手が出るの。そんな彼に怯えながらの生活が、私は本当に嫌だった。でも、あなたが寝取ってくれたと知った時は最高に嬉しかったわ!このままあなたが彼と上手く行けば、彼をあなたに押し付ける事が出来るから─。」
「お、お姉様…そんなの酷い!」
妹は、真実を知り号泣した。
「酷いも何も…あなたの金遣いが荒いから、この家は借金など抱えてしまったんじゃない。そのせいで、あの男に目を付られ…私はあの男と結婚する羽目になったのよ?あなたはその時、別の殿方と付き合ってたから犠牲にならずに済んだけれど…今度は逃がさないから。あら…丁度お迎えが来たわね。」
部屋のドアを激しく叩く音がし、元夫が怒鳴る声が聞こえて来る。
どうやら、妹が何も言わずに出て行った事に相当怒っている様だ。
「ほら、ドアを開けてあげなさい。今は日が昇って居るから…あなたの大好きな、美しい顔の彼がそこに居るわよ?」
「い、いやあぁ─!」
こうして妹は、怒った彼によって髪を引っ張られ、彼の家に連れ戻されてしまった。
あの様子では、激しく折檻された後に、罰として地下牢行きかしら?
まぁ…暫くしたら出して貰えるから、彼の機嫌が直るまで大人しく過ごす事ね。
妹を見送った私は…もう二度と、あの子がここに帰って来ない事を祈った。
だって…もう、あんな男に関わりたくないもの─。
その後…私は呪いなど受けて居ない性格も穏やかで優しい、素敵な殿方と再婚した。
彼は、昼も夜も関係なく…いつだって変わらぬ姿で、私だけを一途に愛してくれる。
まさにこれが、私がずっと望んで居た結婚生活だわ─。
そう言って、うっとりとした表情で庭に居る夫を見る妹。
「…そんなに彼を素敵だと言うのなら…だったら、あなたに彼を譲りましょうか?」
「…え?」
「あなたに、妻の座を譲ってあげようかって言ってるの─。」
私の言葉に、妹は一瞬驚いた顔を見せたが…目を輝かせ、私の方へやって来た。
「本当!?本当に、彼を私にくれるの!?」
「えぇ。前から思って居たのよ…。美形の彼に、地味な私は釣り合わない…。彼には、美しいあなたの方がふさわしいって─。」
「お姉様…!」
こうして、私は夫に離縁の意思を伝え…と同時に、私の妹があなたに恋い焦がれて居るから…彼女を新しい妻に迎えてあげて欲しいとお願いした。
すると彼は、あっさりそれを了承し…私はこの家を出て行く事になったのだ。
しかし、こんなに簡単に彼と別れられたのは…あの二人が、前から浮気関係にあったからだった。
二人は、必死にそれを隠し…私が、何も気付いて居ないと思って居た様だが…私は、ちゃんとお見通しだった。
そして、妹が毎回家にやってくる度に彼を誉めるのは…あんな素敵な方、お姉様に渡したくない…彼は私のものなのだという、アピールの意味である事も理解して居た。
でもね…あの男がそんな素敵な人物だと、私は到底思えないわ。
あなたも、すぐにそれを嫌という程理解する事になるでしょう─。
私は、日が沈み暗くなる空を見上げ、そう思った。
その翌日の事だ─。
朝早く、妹が髪も服も乱れたまま実家へと戻って来て、私にこう訴えた。
「あの男、一体何なの!?夜になったら、まるで別人みたいになっちゃって…。顔も体型も、豚の様に醜くなったのよ!」
「だってそれが、彼の本当の姿だもの。」
「なッ!?」
「彼はね、学生時代にある生徒を虐め…それによって、呪いを受けたそうよ。昼間はとてつもない美形の姿になれるけれど…夜になったら、本当の姿に戻るという呪いをね。皆、昼間のあの美しい彼に騙され、彼を素敵だと好きになるけれど…夜になり真実の姿を知ったら、途端に恋心を無くしてね…。それで彼、今まで結婚できずに居たの。まぁ、最終的に金に物を言わせ、私との結婚に至ったけれどね。」
「そんな…。」
「でも、私はそんな彼が嫌で嫌で…。容姿は勿論だけど、虐めをして居ただけあって性格は悪いし…。あの人、怒るとすぐにキレて手が出るの。そんな彼に怯えながらの生活が、私は本当に嫌だった。でも、あなたが寝取ってくれたと知った時は最高に嬉しかったわ!このままあなたが彼と上手く行けば、彼をあなたに押し付ける事が出来るから─。」
「お、お姉様…そんなの酷い!」
妹は、真実を知り号泣した。
「酷いも何も…あなたの金遣いが荒いから、この家は借金など抱えてしまったんじゃない。そのせいで、あの男に目を付られ…私はあの男と結婚する羽目になったのよ?あなたはその時、別の殿方と付き合ってたから犠牲にならずに済んだけれど…今度は逃がさないから。あら…丁度お迎えが来たわね。」
部屋のドアを激しく叩く音がし、元夫が怒鳴る声が聞こえて来る。
どうやら、妹が何も言わずに出て行った事に相当怒っている様だ。
「ほら、ドアを開けてあげなさい。今は日が昇って居るから…あなたの大好きな、美しい顔の彼がそこに居るわよ?」
「い、いやあぁ─!」
こうして妹は、怒った彼によって髪を引っ張られ、彼の家に連れ戻されてしまった。
あの様子では、激しく折檻された後に、罰として地下牢行きかしら?
まぁ…暫くしたら出して貰えるから、彼の機嫌が直るまで大人しく過ごす事ね。
妹を見送った私は…もう二度と、あの子がここに帰って来ない事を祈った。
だって…もう、あんな男に関わりたくないもの─。
その後…私は呪いなど受けて居ない性格も穏やかで優しい、素敵な殿方と再婚した。
彼は、昼も夜も関係なく…いつだって変わらぬ姿で、私だけを一途に愛してくれる。
まさにこれが、私がずっと望んで居た結婚生活だわ─。
89
あなたにおすすめの小説
その程度の愛だったのですね
青葉めいこ
恋愛
愛している。貴方だけを。
愛する貴方がいない世界では生きていけない。
だから、貴方の跡を追うのは、わたくしにとって当然の成り行きなのだ。
前編はジュリア視点、後編はピーター視点になります。
小説家になろうにも投稿しています。
【完結】離縁など、とんでもない?じゃあこれ食べてみて。
BBやっこ
恋愛
サリー・シュチュワートは良縁にめぐまれ、結婚した。婚家でも温かく迎えられ、幸せな生活を送ると思えたが。
何のこれ?「旦那様からの指示です」「奥様からこのメニューをこなすように、と。」「大旦那様が苦言を」
何なの?文句が多すぎる!けど慣れ様としたのよ…。でも。
さようなら、もと婚約者さん~失踪したあなたと残された私達。私達のことを思うなら死んでくれる?~
うめまつ
恋愛
結婚して三年。今頃、六年前に失踪したもと婚約者が現れた。
※完結です。
※住む世界の価値観が違った男女の話。
※夢を追うって聞こえはいいけど後始末ちゃんとしてってほしいと思う。スカッとな盛り上がりはなく後読感はが良しと言えないですね。でもネクラな空気感を味わいたい時には向いてる作品。
※お気に入り、栞ありがとうございます(*´∀`*)
【完結】ずっとやっていれば良いわ。※暗い復讐、注意。
BBやっこ
恋愛
幼い頃は、誰かに守られたかった。
後妻の連れ子。家も食事も教育も与えられたけど。
新しい兄は最悪だった。
事あるごとにちょっかいをかけ、物を壊し嫌がらせ。
それくらい社交界でよくあるとは、家であって良い事なのか?
本当に嫌。だけどもう我慢しなくて良い
【完結】ハーレム構成員とその婚約者
里音
恋愛
わたくしには見目麗しい人気者の婚約者がいます。
彼は婚約者のわたくしに素っ気ない態度です。
そんな彼が途中編入の令嬢を生徒会としてお世話することになりました。
異例の事でその彼女のお世話をしている生徒会は彼女の美貌もあいまって見るからに彼女のハーレム構成員のようだと噂されています。
わたくしの婚約者様も彼女に惹かれているのかもしれません。最近お二人で行動する事も多いのですから。
婚約者が彼女のハーレム構成員だと言われたり、彼は彼女に夢中だと噂されたり、2人っきりなのを遠くから見て嫉妬はするし傷つきはします。でもわたくしは彼が大好きなのです。彼をこんな醜い感情で煩わせたくありません。
なのでわたくしはいつものように笑顔で「お会いできて嬉しいです。」と伝えています。
周りには憐れな、ハーレム構成員の婚約者だと思われていようとも。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
話の一コマを切り取るような形にしたかったのですが、終わりがモヤモヤと…力不足です。
コメントは賛否両論受け付けますがメンタル弱いのでお返事はできないかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる