『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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夫の妹と仲良くなれずに居ましたが、結局それが原因で私たち夫婦は離縁する運びとなりました。

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 私はある殿方と結婚したが、そんな彼には妹が一人居た。

 しかし彼女は家に引きこもり状態で…恋人は勿論、婚約の予定もないと言う。



 でも、私はそんな事など聞かされて居なかった。

 彼は、世間に妹を晒すのは可哀相だから黙って居たと言ったが…結句億の所は、私に嘘を付いてたと言う事だわ。



 そう思うも、私はそんな彼女とも上手くやって行こうと気持ちを切り替えた。

 だが…彼女の方は、どうやら違ったようだ。



 と言うのも、自分の味方のお兄様を誑かした悪女だ…自分の聖域に侵入して来た敵と言う目で、私を見て来たからだ。

 そしてそれは明確な意思を持ち始め、彼女による私への嫌がらせの日々が始まった─。



「こんな熱いスープ飲めないんだけど!もしや、私をわざと火傷させたいの!?」

「そんなつもりは─」

「おい、大丈夫か?俺のと変えてあげるから、どうか機嫌を直してくれ。」

「まぁ、お兄様は優しいわね!なのに奥さんがこんな意地悪で鬼畜な女だなんて、本当に可哀相だわ!」



 …同じ鍋からよそったんだから、熱さは皆同じなのに。

 それに…熱いと思ったら、少し冷ましてから飲めばいいだけだわ。

 そんなに目くじら立てて怒る事なの?

 
 
 と、彼女に対し色々と思う所はあったが…それを言葉にする気力はもう無く、私は彼女を無視する事しか出来なかった。
 


 すると彼女はそれ以降も、私が掃除した所をじろじろ見てはあそこが汚いと言い私が掃除もろくにできない女だと、夫である兄に言いつけた



 また他には、わざとドレスを汚し…私が彼女の服だけ洗うのを避けているとか、何かと言いがかりを付けて来たりした。



 そして彼女に来た手紙を部屋まで届けに行った際は…それを目の前で破り捨てた癖に、その後になって私が勝手に捨ててしまったと夫に泣きつく始末だ。



 そんな彼女に私は呆れ…もう、彼女の存在を徹底的に無視する事に─。



 この家には、最初から夫と私しか居ないと思うようにしよう。

 と言うか…元々、彼に妹は居ないと言われて居たんだから…だったら妹の存在など認識しなくても構わないのでは─?



 しかし、それに怒ったのは…義妹では無く、夫の方だった。

 彼は妹よりも先に怒りを顕わにし、私に文句を言って来たのだ─。



「あの子は構って欲しくて、お前にああやって突っかかって来ただけだ。それを無視するなんて可哀相だろうが!全く…可愛い妹に何をしてくれるんだ。」

「あなたは私の夫でしょう?毎回あの子に言いがかりを付けられる私を、可哀相だとは思わないの!?」

「思わないな。この家に嫁いで来たんだから、全て大人しく受け入れろ!それが出来ないなら…もうお前とは離縁するぞ?」



 夫のその言葉に、私は自身の心がスッと冷えて行くのが分かった。



「…分かりました、離縁で構いません。」

「何!?反省もしないとは…もう勝手にしろ─!」



 結局、私と夫は離縁する事になり…荷物を手にした私を見た義妹は、ベーッと舌を出して早く出て行けと手を振るのだった。



 本当に愚かで馬鹿な子ね…。

 この家から出られず、私にしか威張り散らす事しか出来ないのに。



 だけどそんなあなたにも、変われるチャンスがあったと言うのに…あなたは私を虐げる為に自らそれを潰したのよ?

 それに気づいて後から私に泣きついたって、もう知らないわ─。



 そして離縁から一ヶ月程して…元夫とその妹が、困った顔で私を訪ねて来た。



「お前から、もう一度お兄さんに連絡を取ってくれよ!」

「私達が何を言っても、もうどうにもならなくて─」

「お断りです。私は勿論、兄ももうあなたたちに関わりたくないと言ってるので。それに手紙を見る事無く処分したのはあなたじゃない、自業自得よ!」



 実は、あの時義妹が破った手紙は私の兄からで…彼女に、是非婚約者を紹介したいと書かれた物だった。



 私の兄は、引き籠って居る彼女を心配して居て…婚約話が成立し彼女が家から出る事になれば、それが本人や私たち夫婦の為になるのではないかと思ったのだ。



 そしてそのお相手と言うのが、ある両家のご子息様で…引きこもりの彼女でも受け入れようと言う、大層心の広い方だったのだ。

 でもそんな話が書かれた手紙とは知らず、彼女は私への意地悪の為にそれを破り捨ててしまった。



 するとその後兄から私へ届いた手紙で、私はあの手紙に書かれた事実を知る事に─。

 そこで私は、今回の事だけでなく彼女がこれまで私にした仕打ちを兄に伝え…それを知り激怒した兄により、その婚約話は白紙になってしまったのだ。

 お相手のご子息も、流石にそこまでの性悪女は嫌だと言って他に相手を見つけてしまったし…もうどうしようもないわ。



「意地悪な妹に、そんな妹を庇う兄…あなた達みたいな馬鹿な兄妹、どうなろうともうどうでもい良いわ。今やその子の性格の悪さはすっかり世間に広まり、どうせもう婚約話も来ないだろうから…あなたが一生面倒見れば?あなただって重度のシスコンと言う事が分かって、どうせこの先再婚も出来ないでしょうし…丁度いいのでは?」

「な、何ですって!?」

「失礼な…そういうお前はどうなんだ!」

「私ですか?私はそんな意地悪な小姑と、愚かな夫に良く尽くした女と評判で…是非妻になって欲しいと、あちこちの殿方に声をかけて貰えたわ。私はその中でも一番優しくて素敵な方を選んで、丁度お付き合いを始めたばかりなの。それでその方には妹さんが居るけれど…彼女は私の事をとても慕ってくれて、よく懐いてくれてね。私も実の妹の様に可愛がって居るわ─。」



 幸せ一杯の私の言葉に、二人はそれ以上何も言えずガクリと肩を落とし…まるで負け犬のようにすごすごと帰って行った。



 そしてそれ以降、彼の妹は益々家にこもるようになりその生活は荒れて行き…彼はそんな妹の面倒を見るので手一杯で自分の幸せを見つけるどころではないらしく、最初に離縁を切り出した事を心から後悔していると言うわ─。
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