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私を笑い者にする事で自分を良く見せる非情な婚約者など、もう別れる事にします。
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私には婚約者が居るが…私は彼から常に馬鹿にされ、見下されて居た。
そして彼は、そんな事を他人の前でも平気でやってのけた。
おかげで私は、いつも皆の笑い者になって居た。
なのに彼は、常に私に頭の軽い…馬鹿な女で居ろと要求して来たのだ─。
「どうして私が、そのような事をしないといけないのです!?」
「そんなの…女は男を立てなければいけないからに決まって居る。俺は自分よりも賢い女は嫌いだ…そんな女、生意気じゃないか。」
そう平然と言ってのける彼に…私は、思わずため息が出てしまった。
家同士の約束で婚約したけれど…よりにもよって、どうしてこんな考えを持つ人と結ばれる事になってしまったのか…。
しかし、彼の家の方が私の家よりも立場や格は上だし…暫く彼の言う通りに振る舞い、様子を見る事にするか─。
そして私は…彼が言ったような無知でボケっとした、馬鹿な女を演じる事にした。
しかし…彼がパーティーで他の招待客と話をする時など、彼の余りの物の知らなさについ助け舟を出しそうに─。
でもそんな事をしたら、益々彼の機嫌が悪くなる。
そうなったら、他にも何かと文句を付けられそうだし…ここは我慢だわ─。
しかし、それから暫くして…彼が手掛ける事業が急に傾き始め、彼は窮地に立たされる事に─。
そこで、私は彼にある知恵を授ける事にしたが…彼はそんな私の話を聞こうとせず…むしろ、馬鹿は引っ込んで居ろと怒鳴った。
「女が出しゃばって来るな、お前のような馬鹿に助けて貰う事など何もない!」
その彼の一言に…私は、今まで溜まりに溜まって居た物が爆発してしまった。
「私はあなたが言うから、馬鹿な女を演じ笑い者になって居ただけで…別に、本当の馬鹿ではありません。むしろ、本当の馬鹿はあなたでは?こんなふうに事業が傾くのを避ける方法など、いくらでもあったのに…それを思いつく事が出来ないんですもの。」
「何!?」
「あなたの様な男は、こちらから婚約破棄させて貰います。間もなく破産するであろうあなたと一緒に居ても、不幸になるだけですし─。」
彼が引き留めるのを無視し、私は彼の家を後にした─。
その後…元婚約者は事業を立て直す事が出来ず、多額の負債を抱え破産する事に─。
彼のせいで彼の家も今ではすっかり落ちぶれ…彼は、家族から相当恨まれる事となってしまったのだった。
今になり、本当は自分より頭のいい私を頼るべきだったと嘆いて居るそうだが…もう遅いのよ。
一方、私はと言うと…ある殿方と、婚約を前提にお付き合いして居た。
彼は、私の事を唯一馬鹿にせず笑いもしなかった人で…むしろ、私が本当は色んな事を知って居るが、それが言いたくても言えない状況にあるのではないかと見抜いて居た方だった。
「君は俺達が難しい話をして居ても、目を輝かせ聞いて居たし…話に入って来たそうな顔をして居たから─。そして俺は、そんな君と色んな事を語り合いたいと思って居たんだ。それが叶い、とても嬉しいよ。」
そう言って微笑む彼に…私は、漸く本当の自分を愛してくれる人が見つかった事の嬉しさで心が一杯になり…そして、その事に幸せを感じたのだった─。
そして彼は、そんな事を他人の前でも平気でやってのけた。
おかげで私は、いつも皆の笑い者になって居た。
なのに彼は、常に私に頭の軽い…馬鹿な女で居ろと要求して来たのだ─。
「どうして私が、そのような事をしないといけないのです!?」
「そんなの…女は男を立てなければいけないからに決まって居る。俺は自分よりも賢い女は嫌いだ…そんな女、生意気じゃないか。」
そう平然と言ってのける彼に…私は、思わずため息が出てしまった。
家同士の約束で婚約したけれど…よりにもよって、どうしてこんな考えを持つ人と結ばれる事になってしまったのか…。
しかし、彼の家の方が私の家よりも立場や格は上だし…暫く彼の言う通りに振る舞い、様子を見る事にするか─。
そして私は…彼が言ったような無知でボケっとした、馬鹿な女を演じる事にした。
しかし…彼がパーティーで他の招待客と話をする時など、彼の余りの物の知らなさについ助け舟を出しそうに─。
でもそんな事をしたら、益々彼の機嫌が悪くなる。
そうなったら、他にも何かと文句を付けられそうだし…ここは我慢だわ─。
しかし、それから暫くして…彼が手掛ける事業が急に傾き始め、彼は窮地に立たされる事に─。
そこで、私は彼にある知恵を授ける事にしたが…彼はそんな私の話を聞こうとせず…むしろ、馬鹿は引っ込んで居ろと怒鳴った。
「女が出しゃばって来るな、お前のような馬鹿に助けて貰う事など何もない!」
その彼の一言に…私は、今まで溜まりに溜まって居た物が爆発してしまった。
「私はあなたが言うから、馬鹿な女を演じ笑い者になって居ただけで…別に、本当の馬鹿ではありません。むしろ、本当の馬鹿はあなたでは?こんなふうに事業が傾くのを避ける方法など、いくらでもあったのに…それを思いつく事が出来ないんですもの。」
「何!?」
「あなたの様な男は、こちらから婚約破棄させて貰います。間もなく破産するであろうあなたと一緒に居ても、不幸になるだけですし─。」
彼が引き留めるのを無視し、私は彼の家を後にした─。
その後…元婚約者は事業を立て直す事が出来ず、多額の負債を抱え破産する事に─。
彼のせいで彼の家も今ではすっかり落ちぶれ…彼は、家族から相当恨まれる事となってしまったのだった。
今になり、本当は自分より頭のいい私を頼るべきだったと嘆いて居るそうだが…もう遅いのよ。
一方、私はと言うと…ある殿方と、婚約を前提にお付き合いして居た。
彼は、私の事を唯一馬鹿にせず笑いもしなかった人で…むしろ、私が本当は色んな事を知って居るが、それが言いたくても言えない状況にあるのではないかと見抜いて居た方だった。
「君は俺達が難しい話をして居ても、目を輝かせ聞いて居たし…話に入って来たそうな顔をして居たから─。そして俺は、そんな君と色んな事を語り合いたいと思って居たんだ。それが叶い、とても嬉しいよ。」
そう言って微笑む彼に…私は、漸く本当の自分を愛してくれる人が見つかった事の嬉しさで心が一杯になり…そして、その事に幸せを感じたのだった─。
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