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相手に望まれた婚約だったのに、いざ共に生活を始めると裏切りばかりでした…。
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領主様から自身の婚約者になって欲しいと言われ、望まれる形で彼の元へ行く事になった私─。
平民の、しかも地味で平凡な私がまさかそんな方に求愛されるとは…。
私はこの婚約を、心から嬉しく思って居た。
しかし…彼の元に行った私は、衝撃な事実を知る事に─。
何と、彼には美しい愛人が居て…彼女を家に囲って居たのだ。
そして彼は、私にその愛人の世話をする様に言って来た。
「ど、どうして私が彼女の世話をしないといけないのです!?」
「お前は彼女より身分が低いんだから、そんなの当然だ。それに、俺に愛されて居るのはこの彼女の方だから…そんな彼女に尽くすのは当然だろう?」
「そうよ!あなたは形だけの婚約者なのだから、それ位の事はしなさいよ!」
「そんな…。」
そして二人は、それから私をまるで奴隷の様に扱って来た。
その愛人はとても我儘な性格で…それ故に使用人が次々と辞めてしまい、今は数人しか残っておらず…残った者達は皆、彼女の取り巻きの様になってしまって居た。
だから婚約者である私が不当な扱いを受けて居ても、誰も助けてくれる事は無かった。
思えば…ただの平民の私が領主様に見初められる事自体、おかしな話だったのよ。
彼が、一体どうして私を婚約者に望んだのかは分からないが…この先私が彼に愛される事は絶対に無いのだという事は、もうハッキリしたわ。
こんな扱いを受けるなら、この家に来なければ…彼の婚約者になどならなければ良かった。
もう…いっそこのまま、消えてしまいたい─。
そう願った時…私の身体が急に眩しい光に包まれ…次に気が付いた時、私は美しい花が咲く野原に立って居た。
ここは…子供の頃によく遊んだ場所だ。
私は、確かに彼の屋敷に居たのに…どうしてこんな所に─?
すると、私の元にいくつかの光の玉が近づいて来て…それは、私に話しかけて来た。
聞けば、それらは皆この地に住まう精霊で…私は、彼らに気に入られて居たのだと言う。
言われてみれば…この野原で遊んだ後は絶対に良い事が起きたし、そんな私と一緒に居た人には必ず幸運が舞い込んで居た。
それは全て、精霊達のおかげだったのか─。
そして領主である彼は、精霊に好かれた私を婚約者として傍に置く事で、誰よりも幸運になろうと企み、私に声をかけたのだそうだ。
「何て身勝手で欲深いの…?私を愛する気など、全く無い癖に─。」
すると精霊達は…私を酷い目に遭わせた彼と愛人は、必ず罰を与えるから安心しろと言った。
そして、私の運命の相手は別に居て…その人物がもうすぐこの野原に来るから、ここで待つ様に言った。
それから少しして…一頭の馬が掛けて来て、私の前で止まった。
そしてその馬から、素敵な殿方が降りて来て…驚く私に、自分はこの国の王子であると名乗った。
「神官長が、ここにこれば俺の運命の相手に出会えると教えてくれたんだ。喜び勇んで来てみれば…美しい光に囲まれた君が、こうして俺を待ってくれて居た。」
そして王子は、このまま俺と共に城に来て欲しいと言った。
私はとても嬉しかったが…自分には婚約者が居て、まずは彼と別れなければと話した。
すると、私の手や顔を見た王子は…君の身体をそんなふうに傷付ける男の元へは返せないと言った。
そして私の身体を抱き上げ、馬に乗せると…その男の事は俺が何とかすると言い、私を城に連れ帰ったのだった─。
その後…彼は、領主の座を失う事に─。
と言うのも、領民達から集めたお金を、自分の愛人の為に好き勝手使い豪遊して居た事が、王子の調べで明らかになったからだ。
更に、私への暴力行為も問題になり…彼と愛人は、罰として牢に入れられる事になった。
精霊達の言って居た事が、現実の物となったのだ─。
そして私はと言うと…精霊に好かれた娘は幸せと繁栄をもたらすという事で、王様達やお城の人達皆に歓迎される事に─。
今は王子に相応しい相手になる様、色々な事を学んで居る。
でも、あの野原から付いて来てくれた精霊が居て…その子のおかげもあり大きな苦労をする事無く、私は順調にそれらを身に付けて行った。
そんな私を、王子はとても大事にして下さり…自分は本当に素敵な女性と結ばれる事が出来たと仰ってくれた
望まれ婚約したのに愛されず…それどころか奴隷の様に扱われ未来に絶望した私を、彼は救って下さったんですもの…。
そんな彼を、私は心から愛し支えて行こう…そう、私は心に誓った─。
平民の、しかも地味で平凡な私がまさかそんな方に求愛されるとは…。
私はこの婚約を、心から嬉しく思って居た。
しかし…彼の元に行った私は、衝撃な事実を知る事に─。
何と、彼には美しい愛人が居て…彼女を家に囲って居たのだ。
そして彼は、私にその愛人の世話をする様に言って来た。
「ど、どうして私が彼女の世話をしないといけないのです!?」
「お前は彼女より身分が低いんだから、そんなの当然だ。それに、俺に愛されて居るのはこの彼女の方だから…そんな彼女に尽くすのは当然だろう?」
「そうよ!あなたは形だけの婚約者なのだから、それ位の事はしなさいよ!」
「そんな…。」
そして二人は、それから私をまるで奴隷の様に扱って来た。
その愛人はとても我儘な性格で…それ故に使用人が次々と辞めてしまい、今は数人しか残っておらず…残った者達は皆、彼女の取り巻きの様になってしまって居た。
だから婚約者である私が不当な扱いを受けて居ても、誰も助けてくれる事は無かった。
思えば…ただの平民の私が領主様に見初められる事自体、おかしな話だったのよ。
彼が、一体どうして私を婚約者に望んだのかは分からないが…この先私が彼に愛される事は絶対に無いのだという事は、もうハッキリしたわ。
こんな扱いを受けるなら、この家に来なければ…彼の婚約者になどならなければ良かった。
もう…いっそこのまま、消えてしまいたい─。
そう願った時…私の身体が急に眩しい光に包まれ…次に気が付いた時、私は美しい花が咲く野原に立って居た。
ここは…子供の頃によく遊んだ場所だ。
私は、確かに彼の屋敷に居たのに…どうしてこんな所に─?
すると、私の元にいくつかの光の玉が近づいて来て…それは、私に話しかけて来た。
聞けば、それらは皆この地に住まう精霊で…私は、彼らに気に入られて居たのだと言う。
言われてみれば…この野原で遊んだ後は絶対に良い事が起きたし、そんな私と一緒に居た人には必ず幸運が舞い込んで居た。
それは全て、精霊達のおかげだったのか─。
そして領主である彼は、精霊に好かれた私を婚約者として傍に置く事で、誰よりも幸運になろうと企み、私に声をかけたのだそうだ。
「何て身勝手で欲深いの…?私を愛する気など、全く無い癖に─。」
すると精霊達は…私を酷い目に遭わせた彼と愛人は、必ず罰を与えるから安心しろと言った。
そして、私の運命の相手は別に居て…その人物がもうすぐこの野原に来るから、ここで待つ様に言った。
それから少しして…一頭の馬が掛けて来て、私の前で止まった。
そしてその馬から、素敵な殿方が降りて来て…驚く私に、自分はこの国の王子であると名乗った。
「神官長が、ここにこれば俺の運命の相手に出会えると教えてくれたんだ。喜び勇んで来てみれば…美しい光に囲まれた君が、こうして俺を待ってくれて居た。」
そして王子は、このまま俺と共に城に来て欲しいと言った。
私はとても嬉しかったが…自分には婚約者が居て、まずは彼と別れなければと話した。
すると、私の手や顔を見た王子は…君の身体をそんなふうに傷付ける男の元へは返せないと言った。
そして私の身体を抱き上げ、馬に乗せると…その男の事は俺が何とかすると言い、私を城に連れ帰ったのだった─。
その後…彼は、領主の座を失う事に─。
と言うのも、領民達から集めたお金を、自分の愛人の為に好き勝手使い豪遊して居た事が、王子の調べで明らかになったからだ。
更に、私への暴力行為も問題になり…彼と愛人は、罰として牢に入れられる事になった。
精霊達の言って居た事が、現実の物となったのだ─。
そして私はと言うと…精霊に好かれた娘は幸せと繁栄をもたらすという事で、王様達やお城の人達皆に歓迎される事に─。
今は王子に相応しい相手になる様、色々な事を学んで居る。
でも、あの野原から付いて来てくれた精霊が居て…その子のおかげもあり大きな苦労をする事無く、私は順調にそれらを身に付けて行った。
そんな私を、王子はとても大事にして下さり…自分は本当に素敵な女性と結ばれる事が出来たと仰ってくれた
望まれ婚約したのに愛されず…それどころか奴隷の様に扱われ未来に絶望した私を、彼は救って下さったんですもの…。
そんな彼を、私は心から愛し支えて行こう…そう、私は心に誓った─。
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