まどろみ宣言!

西崎かのん

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まどろみ宣言!

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まどろみ宣言

 まどろみ・・・。まどろんだ時、ちんじゃうの。

 あたい、みんこ。みんこちゃん。5歳。まどろみって、どういう意味か、あんまりわからないけど、微睡んでる。って漢字みたい。だから、まどろみちにが、あたいの理想。

 いつも20時~6時まで眠っているの。まどろみちをするのは150歳で、もうすぐ誕生日の日が過ぎますね。今日はおめでとうございます。と、誰かに言われた後、眠ってまどろむ。で、ふわっと亡くなってるの。

 次の日、ばばあが、ちんでる!って少し騒ぎになるの。だから誰にも秘密にしておく。

 新聞には載らない程度の民間人。偉いでしょ?

 あたいは、そうしてなくなりまちた。

 夢が叶ったあたいは、次の人生のハードルが上がりました。

 子供を授けなさい。それが使命。女の子なのに、どうやって?

 そう、思っているのは自分だけ。実際は体は高校男子。前世の記憶が全部残っている、あたいは、男の子に恋をした。

 みんこ。それを忘れられるのかな?忘れないで、女の子に恋できるのかな?

 今の名前は密。密くん。

 
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まどろみ宣言



     「まの間~真の~」

 真の友情だと、思ってるみたい。

「密~。みっくん、消ゴム貸して?後で良い物あげるから。」

 僕は勝にふざけながら、そう話し掛けられるだけで、ドキッとする。良い物ってなにかしら?と。・・・何故か、ウメボシという技だった。頭のこめかみをさする僕を見て笑っている勝。仕返しに背筋をくすぐった。ギャッ!っと勝は叫ぶと、

「お前、本当に嫌な奴だな。」

 と渋面。僕が勝を好きなことに全然気付かない。

 真の友情というよりは、悪友。かな?グラビアの本とか交換して読んだり、Hな漫画貸して、どんな顔するんだろ。って・・・僕の視線に、気付いてるのかな?時折、勝の顔が真っ赤になる。目が合う瞬間に何かボソッと言って勝は僕の視線を避ける。

「何?何処が良かった?」

 近寄った僕は、本でバシと横面を叩かれた。

「んな目で見るな!密、お前、エロイ!」

 痛さに口元が痺れ、涎が垂れた。

「く・・・ッソ!何で俺は、お前に・・発情してんだよッ。」

 そのまま、押し倒された。キスされた。

 ・・・だけど、そこで僕の本能が目覚めたんだよね。男の本能が。押し倒されたいんじゃない。押し倒したいって。

 勝を払いのけて、馬乗りになると首を横に向かせキスを、しようとした。・・・でも、勝の怯えた目を見て、やめた。

「僕の事、嫌い?」

「嫌いだ。」

 それが、勝との最後の会話になった。クラスでは勝一途だった僕は孤立したけど、虐められる事はなく、クラスの中心の勝は何も無かったように日々を過ごして、僕らは、卒業とともに離れた。

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まどろみ宣言



      「どの間~泥睡~」

 髪を伸ばすか、悩んでいた。高校を卒業してニートになっていた。女顔で華奢な体。それでも、男。19歳。髭は嫌いだった。いつも泥のように眠っていた。両親に迷惑をかけている。引きこもる理由がわからない。外に出れない。夢には昔の自分が出てくる。みんこ。それが私。僕。俺。どうせ出掛けないけれど、自分で切っていた髪も、切るのを、やめた。

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まどろみ宣言



      「ろの間~狼狽~」

 僕も20歳になっていた。どうせ成人しても、中途半端な心と体で悩む。植木で取り囲んだ実家の小さな庭で、あんぱんを噛む。飲み込む。そんな生活して、ニートのリハビリしていた。外の空気、部屋から出る、カーテンは閉めてても、窓を開ける。頑張ってはいた。

 庭で、あんぱんを食べていた時、郵便です。と、木の隙間から話し掛けられた!

 パジャマのままだった!何で!木の隙間から?狼狽えながら、あんぱんから口を離して出した声は、か細く、うわずっていた。

「ごめんなさい、今、母を呼びます!」

 外履きサンダルを脱ぐ前に、止められた。

「ゴメンは、こっち!毎日、見てたの。勝手に馴染み感覚になって話し掛けてごめんなさい。びっくりしたよね。たまに配達している時に、庭先のドアが開くけど、お腹空いてるときに袋を開ける音がするんだもん。見ちゃってた!」

 その人は、夏佳と言った。

「なか!呼びつけで良いよ。郵便受け取ってね。」

 毎日の配達だった。母親が、珍しいペンフレンドサークルに入り、手紙を書くのを楽しんでいる。毎日の手紙に、夏佳も不思議に思っていたらしく、サークルの事を話したら、納得していた。

「それにしても、引きこもり?」

 僕は、初対面でずけずけとした夏佳って人にムカついた。

「庭先に出るだけでも、リハビリのつもりなんです!」

 夏佳は、予想を通り越した性格だった。

「協力しよう。私の助手席に座ってみな。」

 勿論、断った。が、次の日、自分のあんぱんと、洋服を持ってきたと言い、着替えてみんさい、それだけでも良いから。と言う。木を挟んで、あんぱんを開ける音がした。

 ワンピースとかスカートじゃなく、Tシャツとジーパンだった。男って、わかってるのかな?サイズはぴったりじゃなく、緩めだった。着てみる俺も、馬鹿だな、と思いながら、初めて女物の服を着た。襟首は少し大きく開いていて、鎖骨が見えてしまう。

「あたしより、痩せてんじゃない。背が低いのはわかってたけど。私、高いの。175センチよ。」

夏佳は、そう言って、ふふと笑って似合うわよと、頷いた。


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まどろみ宣言

      「みの間~みんこが抜けない~」
      「せんの間~選択~」
      「げんの間~現在~」
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