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2.主人公死す!?
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その日、大きな花火が夜空を覆った。
しかし、私にはもっと眩しい出来事が起こっていた。
「あのさぁ。俺と、付き合わねぇ?」
鮮やかな光が浴衣を照らす。
目の前には、真剣な表情の彼。
彼とは、幼なじみの津田 春樹である。
…こ、これ、あの某映画のCMじゃん!
パッと光って~…。
罰ゲームかと思い、呑気にあの歌を口ずさんだ。
「俺、本気で好きなんだ。」
「…。」
一瞬、時が止まった。
顔がみるみる熱くなる。
それをバレまいと、下を向いた。
「なぁ。みぞれ、聞いてる?」
沈黙を破るように、また春樹の声がする。
再び時が流れ、人々が通りすぎる。
「…考えさせて。」
私はそのひと言を言うだけで精一杯だった。
………
祭りのあと、 私は一人で畦道にいた。
家まで送ると言う申し出も断り、走ってここまで来てしまった。急ぎすぎたのか、鼻緒のところが少し傷む。
しかし、一人で考える時間が早く欲しかった。
はぁ、ここで頭を整理しよ。
…せ、青春か!これが青春!
とりあえず、驚いた。
「春樹、私のこと女だと思ってたんだ!!」
念のために言うが、彼女は生まれつき女である。
だが、あまりにも昔から一緒にいるので、
春樹からは女扱いされていなかったのだ。
所謂、よく漫画であるやつだ。
「告白、されちゃった。」
言葉に出すと、また顔が熱くなってくるのがわかる。
…暑い。。
顔だけじゃない。
もう八月末だがまだまだ暑さは衰えない。
手で仰ぎながら上を向いた。
…あの日もこんな空だったっけ。
月の綺麗な夜である。
ふと一週間前、田んぼに落ちたあの夜のことを思い出した。 あれ以来、ここに来るのは何となく避けていた。
…あれは、本当にあったことなのか。
確かなのは、気を失った泥まみれの私を男が家まで送り届けくれたという母の言葉だけ。
…確かめてみようか。
また、あんな恐怖を味わうのはごめんだ。
だが、まだ自分の知らない何かがここにはある。
その何かは私の平凡な暮らしを変えてくれるような気がする。
「…。」
そっと道の真ん中で目を閉じる。
あの夜と同じことをすれば、また同じことが起こる気がした。
ゴウゴゴゴゴゥー
強い風が音をたてて突然吹いた。
まるで獣のうなり声のようだ。
!?!?!?
ただならぬ気配を感じ、目をそっと開けると…。
「フェーフェー」
目と鼻の先に、荒々しい息を吹きかけるあの恐ろしい怪物がいた。
今回は、空から落ちて来るというような猶予は与えてくれないようだ。
「じ、実物は違いますね~…。」
とりあえず、褒めてみた。精一杯の強がりである。
誉め言葉も虚しく、怪物は待ちきれないと言うように大きく口を開けた。
その中には洞窟のような暗黒がどこまでも広がる。
頬を冷たい汗が伝う。
死んでも入りたくない。と言うか、ここで死ぬのか…。
「ひっ! はっ。…たっ、たす……」
必死で叫ぶが声がでない。
実際、目の前であり得ないことが起こるとキャーなんて可愛らしい叫びは出ないらしい。
体も全く動かない。
しかし、肝心のあの男も来る様子がない。
…―助けて助けて助けてたすけてたすけてたすけてタスケテタスケテタスケテタスケテ………。
軽々しく、試すんじゃなかった…。
必死の祈りも虚しく、視界は暗黒に包まれた。
自分ってバカなんだな。今さら気づいた。
しかし、私にはもっと眩しい出来事が起こっていた。
「あのさぁ。俺と、付き合わねぇ?」
鮮やかな光が浴衣を照らす。
目の前には、真剣な表情の彼。
彼とは、幼なじみの津田 春樹である。
…こ、これ、あの某映画のCMじゃん!
パッと光って~…。
罰ゲームかと思い、呑気にあの歌を口ずさんだ。
「俺、本気で好きなんだ。」
「…。」
一瞬、時が止まった。
顔がみるみる熱くなる。
それをバレまいと、下を向いた。
「なぁ。みぞれ、聞いてる?」
沈黙を破るように、また春樹の声がする。
再び時が流れ、人々が通りすぎる。
「…考えさせて。」
私はそのひと言を言うだけで精一杯だった。
………
祭りのあと、 私は一人で畦道にいた。
家まで送ると言う申し出も断り、走ってここまで来てしまった。急ぎすぎたのか、鼻緒のところが少し傷む。
しかし、一人で考える時間が早く欲しかった。
はぁ、ここで頭を整理しよ。
…せ、青春か!これが青春!
とりあえず、驚いた。
「春樹、私のこと女だと思ってたんだ!!」
念のために言うが、彼女は生まれつき女である。
だが、あまりにも昔から一緒にいるので、
春樹からは女扱いされていなかったのだ。
所謂、よく漫画であるやつだ。
「告白、されちゃった。」
言葉に出すと、また顔が熱くなってくるのがわかる。
…暑い。。
顔だけじゃない。
もう八月末だがまだまだ暑さは衰えない。
手で仰ぎながら上を向いた。
…あの日もこんな空だったっけ。
月の綺麗な夜である。
ふと一週間前、田んぼに落ちたあの夜のことを思い出した。 あれ以来、ここに来るのは何となく避けていた。
…あれは、本当にあったことなのか。
確かなのは、気を失った泥まみれの私を男が家まで送り届けくれたという母の言葉だけ。
…確かめてみようか。
また、あんな恐怖を味わうのはごめんだ。
だが、まだ自分の知らない何かがここにはある。
その何かは私の平凡な暮らしを変えてくれるような気がする。
「…。」
そっと道の真ん中で目を閉じる。
あの夜と同じことをすれば、また同じことが起こる気がした。
ゴウゴゴゴゴゥー
強い風が音をたてて突然吹いた。
まるで獣のうなり声のようだ。
!?!?!?
ただならぬ気配を感じ、目をそっと開けると…。
「フェーフェー」
目と鼻の先に、荒々しい息を吹きかけるあの恐ろしい怪物がいた。
今回は、空から落ちて来るというような猶予は与えてくれないようだ。
「じ、実物は違いますね~…。」
とりあえず、褒めてみた。精一杯の強がりである。
誉め言葉も虚しく、怪物は待ちきれないと言うように大きく口を開けた。
その中には洞窟のような暗黒がどこまでも広がる。
頬を冷たい汗が伝う。
死んでも入りたくない。と言うか、ここで死ぬのか…。
「ひっ! はっ。…たっ、たす……」
必死で叫ぶが声がでない。
実際、目の前であり得ないことが起こるとキャーなんて可愛らしい叫びは出ないらしい。
体も全く動かない。
しかし、肝心のあの男も来る様子がない。
…―助けて助けて助けてたすけてたすけてたすけてタスケテタスケテタスケテタスケテ………。
軽々しく、試すんじゃなかった…。
必死の祈りも虚しく、視界は暗黒に包まれた。
自分ってバカなんだな。今さら気づいた。
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