【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

文字の大きさ
69 / 117
第二部 最大級の使い捨てパンチ

「金貨300枚」「のった!」

しおりを挟む

「なに面白くねー冗談いってんだよ。いくら俺が無断で出てきたからってそりゃないだろ?」

荒れた庭に争った形跡。何か起こったであろうことは予想していたが、まさかの街なかで堂々とした誘拐が行われていたことにロットたちは驚いた。
しかも道を歩いていたとかではなく、おそらく屋敷にパンチがお嬢と呼ぶ人物を目掛けての誘拐だ。


パンチは信じられない様子で声を荒げるが、グロースは深いため息をつき、彼女が襲撃された夜のことを語り始めた。

「冗談ではないわい。昨日の夜、お嬢様も寝入り私たちもそろそろ交代で寝ようと考えていた頃に、なにかが忍び込んでくるのを察知した。侵入者じゃよ。すぐに使用人が集まり対応したが、年寄ばかりで戦闘になってしまうと力が足りんかった。その騒ぎに目を覚ましたお嬢様は私たちを庇って連れて行かれてしまったんじゃ」

彼女は自らの頭に巻かれた包帯と、庭の壊れた銅像を指し示した。パンチの焦りは頂点に達し、今にも飛び出そうとするが、グロースは彼を松葉杖で引き止める。

杖のエッジの部分がパンチの首に引っかかりうまい具合に捕まった。

「ちっとはない頭で考えることじゃな。私達老人ばかりで行っても返り討ちに遭うだけじゃ。しかしほかを頼もうにも、表立って動きづらい。ましてやお主一人で言ってお嬢様の気遣いを無駄にするわけにいくまい」

その言葉に、パンチは困惑し、肩を落としてしまう。ルミナリアの祖父はこの街の裏を牛耳るエグランティーヌ家の頭首だが、ルミナリアについては特に公表していなかった。

それは配慮であり、孫娘を巻き込まんとする親心からであった。なので屋敷自体も一般的には使用人たちの家になっている。

しかしそのせいで今回やすやすと冒険者などに誘拐を救出する依頼なども出しにくいのが現状だった。

そして不幸にもエグランティーヌ家頭首は今街を出ており、帰還は数週間後になる予定だった。そのため直接お家に頼むこともできずに途方に暮れていたのだった。

すると、ロットが一歩前に出て、決意を込めて声を上げた。

「俺たちが協力します!」

ケイトは驚きの声を上げる。

「ちょ、ロット!」

ケイトからしてみればこんなに危ない橋をろくに話を聞かないで了承するのはいただけず、困惑を表していた。それでもロットは助けたい気持ちが優先した。

「俺たちは冒険者でもあるんです。お嬢さんが連れ去られた場所がわかるなら、俺たちが行きます!」

パンチが破顔する。彼はロットの肩を力強く叩き、肩を組んで喜びを分かち合った。

「よく言った、相棒!グロース、こいつらはかなりの実力者だ。俺のお墨付きだぜ」

ロットもフランクに接する兄のような存在は憧れの一つだったのでまんざらではないようだった。グロースはパンチの言葉に冷ややかに答える。

「ふん、お前の墨なぞつくほうが価値が下がるわい。しかし、その申し出ありがたい。是非お願いしたいのじゃが、これしか用意できんが、構わんかな?」

グロースは指を前に3本立ててみせた。

「おー、金貨3枚っすね」

エレナがそれを見て呟くが、グロースは首を振る。

「いやいや、金貨300枚です」

ケイトはその額に目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。夢のような大金をまた手に入れるチャンスに慎重さはあっという間に破壊された。

「さささ、300枚!?!グロースさん、私たちにお任せください!是が非でも救出してみせますから!」

その瞬間、ケイトは急に愛想良くなり、ロットは呆れた表情でそのやりとりを見つめていた。

屋敷の中に入ると、唯一の怪我人はグロースだけだった。話によると、グロースは杖をもち、賊を3人相手に大立ち回りだったらしい。他の使用人たちはルミナリアが自ら止めたおかげで無事だった。その話に、パンチは感動し、感謝の言葉を漏らす。

「さすが、お嬢。俺がいなくてもみんなを守ってくれたんだな」

太陽を全身で浴びるような仕草だった。少しナルシズムてきなパンチは喜びもつかの間冷静になる。

「それで、お嬢を連れ去ったのはどこのどいつだ?」

グロースは重々しい声で答えた。

「おそらく、マヤの山を根城とした山賊の仕業じゃな」

「マヤの山賊っていやぁ、レナとかいう女頭がいるとこだよな?」

「そうじゃ、悪しきに逆らう義賊かと思っておったが、人攫いなど堕ちたものよ」

マヤの山賊、恵まれない子どもなどに貴族から略奪したモノを分け与える義賊と呼ばれるモノたち。それが人さらいをしているなど、きっと街の人も信じないだろう。

その話を聞かされてロット達は誰にも話さずこのメンバーだけでの救出を試みることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...