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第三部 勇者への道
「きもちぃですぅ」
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行った先にいた三人は修羅場と言えるほどのピンチに陥っていた。クリスとトリィは全身にぐっしょりと粘液獣を浴び、その能力に侵され始めていた。
ケイトは唯一逃れたものの粘液自体は少しかかっている。以前やられた経験から掴まれば終わることを自覚し青ざめていた。
「えへぇ、きもひい」
既にクリスは酩酊する感覚に身を委ねてしまっており、だらしなく口が開き目も夢心地だ。粘液獣が液体状の体をうまく使ってクリスの体を持ち上げたが手足を投げ出し抵抗する気配はなかった。
それどころかのけぞるような形となり衣服はめくれ上がる形で下着が覗かせている。
「うぅ、ち、力がはいらなひ」
トリィはかろうじて抵抗する意思はあったもののかなりの量を浴びており耳まで赤く染めている。払ってもはらっても迫りくる粘液に服の隙間をぎゅっと締めて我慢することがトリィの抵抗手段だった。
「クリス、トリィ抵抗をやめちゃだめよ!そのまま魔力も体力も全部吸われちゃうわよ!」
ケイトが必死に声を掛けるが二人にはなかなか届かない。ケイト自身も捕らわれた経験があるのでこれを打破するには倒すことが手っ取り早いことはわかっている。
「だっへぇ、なんかぁ、ふあふあするぅ」
「あぁ、私もなんだか、いい気分かもひれない」
「くっ、なんだって粘液獣なのよ!さすがに私だけの魔力じゃ倒せないわ」
ちなみにロットといたときに倒せたのはやはり魔力譲渡という武器があったからで、成長したとはいえケイトの魔力譲渡では粘液獣を破裂させるほどの魔力を提供することは不可能だった。
「火の玉ファイアーボール」
「ぬぶぁ?」
弱点である火の魔法を放つも嫌がりはするが退散させるまでにはいたっていない。既に二人の魔力を吸っていることも関係しているだろう。
「くっそぉ、効いてない。このままじゃほんとに」
自分もやられる、それなら帰還石を使って脱出しなければ、そんな手段が頭をよぎったとき影が真上から落ちてきた。
「鉄炎裂!」
「ぬぶぶぶぁ!?」
切り裂かれた粘液獣は切り口から発火して明らかに嫌がっていることが見て取れた。その拍子にクリスとトリィも粘液獣から連れ出される。両脇に二人を抱えたアベンは安全なところまで連れていき離した。
「いたぁい、でもきもちぃかも」
「うぅ、頭がまわらん」
二人は朦朧としつつも助けてもらった目の前の人物に礼を言おうとする。ただ酩酊状態であるため酔っ払いがだる絡みするようにアベンの体にまとわりついていくのでアベンは身動きが取れなくなった。
「ロット!」
ケイトはまだ頭が冷静であったためアベンのあとにロットも続いていることを知り突破口を見出したことに喜んでいた。
「ケイトすぐに魔法を!」
ロットも粘液獣を倒すため手を出す。
「ちょっとくっつくわよ」
「へ?う、うぁぁあ!」
しかし若干粘液を浴びて気が大きくなっていたのかケイトは飛び込むようにロットに抱きついた。ねっとりとした粘液がロットにまとわりつき悲鳴を上げることしかできなくなる。
ケイトは真面目に魔力譲渡を素早く済ますため接地面積を増やそうとするが結果抱きつくような形となり、ロットはどうしようもなくなって両手を上げて立ち続けるほかなかった。
「なっ、てめえらうらやま何してやがる」
その光景にアベンが叫ぶが真剣なケイトには届かず、急速に増える魔力を粘液獣にぶつけるべくひたすらに手のひらへと集めていた。
粘液獣は火のついた切り口に自らの粘液をかけて鎮火した後にすぐさまこちらに迫ってきている。今度は逃げずにまっ正面から対峙した。
「くらいなさい、魔力の塊よ!」
そして大量の魔力を食わせるべく解き放った。
粘液獣は本能からか膨大な魔力にこれ幸いと飛びついた。するとみるみるうちにアベンの一撃で焼け焦げた部分も回復していく。
「お、おい回復してるぜい?!」
心配そうにアベンが叫ぶが気にせず魔力を注ぎ続けた。液体状の身体は完全に元に戻ったかに思われたが、そこからさらに肥大していくことになる。
「ぬぶ、ぶ、ぶぎゃぁあ!」
異常なスピードで魔力を食わされるためさすがの粘液獣も身の危険を感じたらしい。しかし気が付いた時にはもう遅く、逃げ出すには鈍重な身体になってしまったためろくな身動きも取れずに数秒後爆ぜた。
「ふう、どうにか倒せたわね」
あちこちに飛び散った粘液を拭うケイトはホッ息をつく。ロットはその隣で同じく息をついてしゃがみこんだ。
ケイトは唯一逃れたものの粘液自体は少しかかっている。以前やられた経験から掴まれば終わることを自覚し青ざめていた。
「えへぇ、きもひい」
既にクリスは酩酊する感覚に身を委ねてしまっており、だらしなく口が開き目も夢心地だ。粘液獣が液体状の体をうまく使ってクリスの体を持ち上げたが手足を投げ出し抵抗する気配はなかった。
それどころかのけぞるような形となり衣服はめくれ上がる形で下着が覗かせている。
「うぅ、ち、力がはいらなひ」
トリィはかろうじて抵抗する意思はあったもののかなりの量を浴びており耳まで赤く染めている。払ってもはらっても迫りくる粘液に服の隙間をぎゅっと締めて我慢することがトリィの抵抗手段だった。
「クリス、トリィ抵抗をやめちゃだめよ!そのまま魔力も体力も全部吸われちゃうわよ!」
ケイトが必死に声を掛けるが二人にはなかなか届かない。ケイト自身も捕らわれた経験があるのでこれを打破するには倒すことが手っ取り早いことはわかっている。
「だっへぇ、なんかぁ、ふあふあするぅ」
「あぁ、私もなんだか、いい気分かもひれない」
「くっ、なんだって粘液獣なのよ!さすがに私だけの魔力じゃ倒せないわ」
ちなみにロットといたときに倒せたのはやはり魔力譲渡という武器があったからで、成長したとはいえケイトの魔力譲渡では粘液獣を破裂させるほどの魔力を提供することは不可能だった。
「火の玉ファイアーボール」
「ぬぶぁ?」
弱点である火の魔法を放つも嫌がりはするが退散させるまでにはいたっていない。既に二人の魔力を吸っていることも関係しているだろう。
「くっそぉ、効いてない。このままじゃほんとに」
自分もやられる、それなら帰還石を使って脱出しなければ、そんな手段が頭をよぎったとき影が真上から落ちてきた。
「鉄炎裂!」
「ぬぶぶぶぁ!?」
切り裂かれた粘液獣は切り口から発火して明らかに嫌がっていることが見て取れた。その拍子にクリスとトリィも粘液獣から連れ出される。両脇に二人を抱えたアベンは安全なところまで連れていき離した。
「いたぁい、でもきもちぃかも」
「うぅ、頭がまわらん」
二人は朦朧としつつも助けてもらった目の前の人物に礼を言おうとする。ただ酩酊状態であるため酔っ払いがだる絡みするようにアベンの体にまとわりついていくのでアベンは身動きが取れなくなった。
「ロット!」
ケイトはまだ頭が冷静であったためアベンのあとにロットも続いていることを知り突破口を見出したことに喜んでいた。
「ケイトすぐに魔法を!」
ロットも粘液獣を倒すため手を出す。
「ちょっとくっつくわよ」
「へ?う、うぁぁあ!」
しかし若干粘液を浴びて気が大きくなっていたのかケイトは飛び込むようにロットに抱きついた。ねっとりとした粘液がロットにまとわりつき悲鳴を上げることしかできなくなる。
ケイトは真面目に魔力譲渡を素早く済ますため接地面積を増やそうとするが結果抱きつくような形となり、ロットはどうしようもなくなって両手を上げて立ち続けるほかなかった。
「なっ、てめえらうらやま何してやがる」
その光景にアベンが叫ぶが真剣なケイトには届かず、急速に増える魔力を粘液獣にぶつけるべくひたすらに手のひらへと集めていた。
粘液獣は火のついた切り口に自らの粘液をかけて鎮火した後にすぐさまこちらに迫ってきている。今度は逃げずにまっ正面から対峙した。
「くらいなさい、魔力の塊よ!」
そして大量の魔力を食わせるべく解き放った。
粘液獣は本能からか膨大な魔力にこれ幸いと飛びついた。するとみるみるうちにアベンの一撃で焼け焦げた部分も回復していく。
「お、おい回復してるぜい?!」
心配そうにアベンが叫ぶが気にせず魔力を注ぎ続けた。液体状の身体は完全に元に戻ったかに思われたが、そこからさらに肥大していくことになる。
「ぬぶ、ぶ、ぶぎゃぁあ!」
異常なスピードで魔力を食わされるためさすがの粘液獣も身の危険を感じたらしい。しかし気が付いた時にはもう遅く、逃げ出すには鈍重な身体になってしまったためろくな身動きも取れずに数秒後爆ぜた。
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