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壺から聞こえた声

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よく見るとそれは骨董品の壺のような形をしていていかにも手の込んだ造りのモノだという事が素人目にも理解わかる。


プラティナは洗い物の手を止めて優也に話しかけた…

「ああ…その壺…ジュエラの外海に流れてきたらしいの…警備隊の兵士の方が見つけたらしいんだけど栓を開けようとしても開かなくて…

ジュエラ王宮に持ち帰って学者さんに調べてもらったんだけど…分からないのよ…

ただ壺のレリーフから千年以上昔の物じゃないかって…」


「へえ…そんな骨董品が…海に…」


壺を手に取りまじまじと見つめる優也…


すると壺に描かれている二つの…まるで目のように見えるレリーフが自分を見つめているように見えた。


「あれ…⁉︎」


優也は目をパチパチさせてもう一度レリーフを見た…


確かに何の変哲も無い古い壺のようである…

優也は壺の魅力に引き込まれるような意識を感じながら壺の栓を抜こうとした…



「ダメよ…ダーリン…王宮の一番力が強い兵士の方でも硬くて開かなかったんだから…」





…けて…






「えっ?」






…お…ねが…い…たす…けて…ここ…から…だして…






ヴァルと話す時のように直接声が僕の頭の中に流れ込んできた…



「優也!危険じゃ…魔の者であることは間違いないぞよ…それに封印されているという事は何か邪悪な者である可能性が高いぞ…」




「分かってる…ヴァル…でも…もし本当に助けを求めているなら一刻も早く出してあげないと…」




優也は壺の栓に手をかけた…すると一瞬壺が金色に輝いて見えた。




グッと力を込めると…栓は音も無く外れた…


…モクモクモクモク…
突然…壺の中から煙が出て部屋中に立ち込めた…





その瞬間、火災報知器がジリジリと鳴り響く…





ティナは不安そうに僕に寄り添う…


「ダーリン…!」



「僕は大丈夫…火は出てないみたいだし息苦しくないから大丈夫だと思うけど君は子供達を見てやってくれるかい…?」


「はい!」



煙の中…プラティナはミスとリルを探す…



「うわぁ~ん!ママ~!どこ~!」



「大丈夫よ…今、行くからそこでじっとしていてね…」


声のする方へプラティナは歩み寄って二人を抱きしめた。


「パパが火事じゃないから大丈夫だって…とにかく一旦外に出ましょう…」



優也は辺りを見渡したが、まだ煙で何も見えない…

しばらくして背後うしろに気配を感じて向き直ると…うっすらと人の影が見えてきた…


どうやら女性のようらしい…




「ティナ…君かい?子供達は…?」



「アンタやね…ウチを出してくれたんは…」



「ティナの声じゃない…!!君は一体…!!」


声の主は突然優也に飛びかかった…


「うわっ!」





一時的に外に避難して部屋の外から中の様子を見守るプラティナと子供達…

その時、エレベーターで上がってきた管理人さんがプラティナ達を見つけて「おーい!ティナちゃん達!火災報知器が鳴ったようだけど大丈夫かい?」と慌てたようすで声をかけた。



「管理人さん…私達は大丈夫ですが、主人が…優也さんが中にいるんです…」


「優也さんが…?とにかくあの人も一旦外に出るように言わないとね…」


管理人さんはドアを開けて恐る恐る中に入る…



「ミス、リル…ちょっとここで待っていなさい…パパを見てくるわ…」


二人の子供は大きく頷いた。





プラティナは管理人さんの後に続いて家の中に入った…

煙はほとんど収まっていた…




「優也さん!大丈夫かい!」

「ダーリン…大丈夫?」




二人がリビングのドアを開けて中に入ると…

そこには優也と…アラビア風の衣装を纏った美しい金髪ブロンドの女性が立っていた。




「ダーリン!」

プラティナは驚いた…



その女性は嬉しそうな笑顔で優也をギュッと強く抱きしめている…



「や、やあ…」どうする事も出来ない優也は
二人に向かって引きつった笑顔を見せた…
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