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主君と従者
しおりを挟む優也は右手と左手の玉を押し潰すようにして混ぜ合わせた…
そして魔法陣の中に吸い込まれそうになって踠いているコッカトリス・ゾンビに向かって投げつけた…
「オメガ・バースト…はあっ!!!」
「ギギギ…ギャア…!」
優也の放った光と闇の混ざり合った玉にコッカトリス・ゾンビは吸い込まれた…そしてその玉ごと魔法陣の中に消えて行った…
「ふう…終わった…」
「やったな…優也!!」
ヴァルは僕と笑顔を交わす…
「君のおかげだよ…ヴァル!!」
優也は元の姿に戻った…二人のジーナもじゅうたんの上に現れてみんなで顔を見合わせて微笑み合う…
ロジャーやレーヴァが闘っていたバジリスクもコッカトリス・ゾンビが消えたのと同時に蒸発するように消えてしまった。
「おおっ…」
「か、勝ったのか…?」
優也達が乗ったじゅうたんとヴァルプルギス率いる魔法飛行隊はゴルドやマサムネが指揮を執るソーディア軍のところに帰って来た…
そしてゴルドとマサムネは縁の下の力持ちの兵士達を労った。
「皆の者…よくやった!皆の踏ん張りが魔法使い達の勝利を生んだのだ!」
ロジャーとレーヴァは固い握手を交わす…
「ロジャー殿…やりましたね…
大切な姫も国も…私達の手で守ったのです…」
「ありがとう…レーヴァ殿…
あなたのような主君想いの方と一緒に闘えて嬉しい…この闘いの事は生涯忘れませんぞ…」
「そんな…ロジャー殿…
私なんか……実は昔…私は姫様を……」
二人の会話に割って入るようにナギはレーヴァの側に歩み寄ってロジャー将軍に頭を下げた…
「ロジャーさん…
私がソーディアの国王…ナギでございます。
誇り高き我がソーディア軍の兵士達の中でも…
特にレーヴァ隊長の存在はソーディアの…
いえ…私自身の誇りなのです。
レーヴァ隊長…いえ…レーヴァ将軍…
これからもソーディアをよろしくお願いしますね。」
「わ、私を将軍などと…勿体無うございます…
こんな一兵卒に…」
レーヴァは熱いものが込み上げてくる目頭を必死に押さえていた…
「何故…ソーディア軍が世界最強と言われるのか
分かったような気がします…」
ロジャーは胸に手を当てて素晴らしい主従関係に敬意を表した。
「将軍!ウチらも頼りにしてるでぇ…」
ジーナはロジャーの顔を覗き込んだ。
「ひ、姫様…」
ジーニャもロジャーに歩み寄り…そしてナギと同じように頭を下げた。
「将軍…これまですみませんでした。
私はもう昔のように誰の命も失いたく無い…
その為に人払いをし、私一人でバビロナを外敵から守る為の努力をしてきました。
時にはプライドを捨てて…
何故…皆に頼らなかったのか…
こんなに頼りになる人達が周りに居てくれるのに…
これからもバビロナをよろしくお願いします…」
「ひ、姫様…参りましたなあ…」
ロジャー将軍は一瞬、困った顔をして…そしてジーニャに向き直って頭を下げた。
「私で良ければこれからもバビロナの為に尽くさせて頂きます…」
「いいえ…あなたで無ければ無理なのです…
よろしくお願いします…」
ジーニャも将軍に頭を下げる…
その様子を見ていたナギとレーヴァ…
優也達はみんなで微笑み合った…
「よおし!!みんなで祝杯を上げようではないか!!
シルヴァ…ラリーに連絡して色々用意するように
頼んでくれないか?」
「まあ!あなた…またラリーさんがこんな時だけ?って言われて怒られますわよ…」
お義母さんの言葉にその場が笑いに包まれた…
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