フィギュアな彼女

奏 隼人

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「お話…一体何でしょうか?」

ミドリコーチは不思議そうにジュンコーチの顔を見た。

ジュンコーチはリンクへ入る扉に手をかけて

「まぁ…悪い事では無いと思うのですが…」

彼女が扉を開けるとリンクの観客席は超満員でヴェガのスケートサークルのメンバーが勢揃いしている…

「ようこそ!ヴェガスクールへ…」

全員が声を揃えて歓迎してくれた。




リカもそれを見て目を丸くしていると観客席にいる何人かがリカを見つけて…

「キャーッ!リカちゃーん!」

「すごい!本物だよ!」

「可愛い~!」

観客席からこちらの足元が震える位のスゴイ声援をもらって僕達はただただ唖然とその場に立ち尽くしていた…

ミドリコーチが僕の肩にポンと手を置いて、

「なるほどね…ダイスケ君…あなたの動画はヴェガの人々も魅了していたみたいよ…」

「えっ…」

そうか…リカのイーナダンスの動画はヴェガにも流れていた…こちらでも人気になっていたのか…

「リカ!」

僕がリカに声をかけると彼女はゆっくりとこちらを向いた。

「みんな…君が来るのを待ってたみたいだよ…応えてあげたら?」

「……はい!!」

リカは驚いた表情から僕の大好きなあの笑顔を見せて観客席に向かって手を振る…

すると観客席からさらに大きな歓声が僕達を包んだ…

ミドリコーチはリカに「少し滑ってみない?多分みんなあなたのスケートを見たい筈だわ…」

リカはコーチの言葉に小さく頷いた「はい!」

「じゃあロッカールームに案内するわ…」

ジュンコーチとカオリ、マイ、それからミキと一緒に歩き出したリカを僕は呼び止めた。


「リカ…頑張ってね!」

「はい!ダイスケさん…見ててくださいね!」

「ああ…勿論さ…」リカの背中を僕は側にいたシズカさんといつまでも眺めて見送った…



「おーおーお熱いことやなあ…なぁ!リカちゃん?アンタ…あの子と付き合うとるんやろ?

ええなあ…彼氏が一緒に居てくれて…でも
スケートはそんなに甘いもんやないで…全てを投げ売って掴み取らなトップにはなられへんで!」

お節介が性分のカオリの言葉にマイが「ちょっと!カオリ…あんまりプライベートに立ち入るのは…それぞれの考え方があるんだし…」

「そうよ…」ジュンコーチがカオリの肩に手をかけてゆっくりとした口調で話す…


「競技を一生懸命にやることと人を好きになることは無関係だわ…でも人を好きになる気持ちをプラスに活かすのもマイナスになってしまうのも全ては自分次第…」

ジュンコーチは少し目を伏せて何かを考えているように見えた…

やがてふと僕達の視線に気づいて「あっ…と、とにかくスケートは技術も大事だけど表現力…クールに平常心でってだけじゃ乗り越えられない壁があるわ…

恋愛から豊かな感受性を得る事も方法の一つだと私は思うわ…」

コーチはまた何かを思い出しているように語った。

「ふーん…そんなもんかなあ…じゃあ、アタシらもカッコいい彼氏探そうか!マイマイ!」

「はいはい!とりあえずは星間学生杯が終わってからね!今は目の前の目標に集中、集中!」



「私が翔んだ時の楽しそうな表情と笑顔がダイスケさんは大好きだって言ってくれるんです…だから私はダイスケさんに喜んでもらうために一生懸命に翔びます!

そしてダイスケさんの嬉しそうな表情を見て
笑顔になってまた喜んでもらいたい…それが私がスケートをする理由なんです!」

そう語ったリカの正直で何のてらいもない笑顔に二人のコーチもカオリとマイも顔を見合わせて笑みを浮かべた…

しかしミキはポーカーフェイスを崩さずロッカールームの方へ向かって先に歩き出した。





「じゃあ私はこのスクールの知り合いの所へ
顔を出してくるわね。その後、部屋に荷物を置きに行くからダイスケ君はリカをお願いね!」

シズカさんは僕にそう告げるとリンクを後にした…

「おーい!ダイちゃーん!」

すぐさまノブが僕の元に走って来た。

「ダイちゃん!彼女が…」

そう言ったノブの視線の先を僕は辿った…そこには小柄で可愛い女性がこちらを向いて会釈した。



「あれ…?ミヤさん…」
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