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優花のキモチ
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「恭一はウチが風邪で寝込んだと聞いて、力仕事のバイトの帰り、疲れてるのにバイクでウチの所へ…飛び出してきた猫を避けようとして…
ウチや…
ウチのせいで恭一は…
何度も何度も忘れようと努力した…
でも無理やった…アイツ以上にウチを大切にしてくれる男なんておらん。
行く気のない合コンに参加したんもあんたが
恭一のこと少しでも忘れさそうとしてセッティングしてくれたしや…。」
「知ってたんだ…」
「でも合コンに来る奴なんてたかが知れてる。綺麗な服着て、お化粧したらイチコロや!
あの子も初めはウチ、下心があって介抱してくれたと思ってた。
海に行ったんも、年下の男の子に借り作ったままは嫌やったからや。
予想通り、ウチの水着姿を見て赤くなってたから、ほら見てみいって思ったわ。」
「……。」
「正直、足を切ってしまって出血で頭ボーっとしてた時〝恭一…助けて!!〟って心の中で叫んでた。
その時、あの子はウチを抱き抱えて走り出した。
車の中でも止血しながらウチにずっと大丈夫ですって声をかけ続けてくれてた。
車が渋滞で止まった時、ウチを連れて車から飛び出したんや…
なあ…結真…何であの子、おぶって走らんとわざわざ両手がキツイのにお姫様抱っこして走ったか分かるか?
ウチの足に血が降りて出血するのを抑えるためや。ずっと心臓より足を高い位置にキープするためや。それを何キロも走りながら…しんどかったやろな…」
「えっ……!!」
「それだけやない。あの子は炎天下で自分の帽子をウチにかぶせて、ウチのあげたタオルを水で湿らせて首に巻いてくれたあげく、自分のシャツまでウチの足に巻いてくれた。
暑さでウチが参らんように…
自分のほうが辛かったやろうに…」
優花はそこまで言うと両手で顔を覆った。
指の隙間から涙がこぼれ落ちる。
ウチや…
ウチのせいで恭一は…
何度も何度も忘れようと努力した…
でも無理やった…アイツ以上にウチを大切にしてくれる男なんておらん。
行く気のない合コンに参加したんもあんたが
恭一のこと少しでも忘れさそうとしてセッティングしてくれたしや…。」
「知ってたんだ…」
「でも合コンに来る奴なんてたかが知れてる。綺麗な服着て、お化粧したらイチコロや!
あの子も初めはウチ、下心があって介抱してくれたと思ってた。
海に行ったんも、年下の男の子に借り作ったままは嫌やったからや。
予想通り、ウチの水着姿を見て赤くなってたから、ほら見てみいって思ったわ。」
「……。」
「正直、足を切ってしまって出血で頭ボーっとしてた時〝恭一…助けて!!〟って心の中で叫んでた。
その時、あの子はウチを抱き抱えて走り出した。
車の中でも止血しながらウチにずっと大丈夫ですって声をかけ続けてくれてた。
車が渋滞で止まった時、ウチを連れて車から飛び出したんや…
なあ…結真…何であの子、おぶって走らんとわざわざ両手がキツイのにお姫様抱っこして走ったか分かるか?
ウチの足に血が降りて出血するのを抑えるためや。ずっと心臓より足を高い位置にキープするためや。それを何キロも走りながら…しんどかったやろな…」
「えっ……!!」
「それだけやない。あの子は炎天下で自分の帽子をウチにかぶせて、ウチのあげたタオルを水で湿らせて首に巻いてくれたあげく、自分のシャツまでウチの足に巻いてくれた。
暑さでウチが参らんように…
自分のほうが辛かったやろうに…」
優花はそこまで言うと両手で顔を覆った。
指の隙間から涙がこぼれ落ちる。
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