sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

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テスト

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…僕が〝洋食のミヤサキ〟さんからの電話を待ってから三日が経ち、やっと返事が来た。

『一度会ってから決めたい』ということで僕は一人でお店へ向かった。今日は定休日らしい。

お客で来た時には無かった緊張感がある。

「こんにちは、宮田です。」と挨拶する。

すると誰もいない客席の一つで新聞を読んでいた年配の男性が「ああ、兄さんかい?見習い募集で来てくれたのは?」と声をかけてこられた。

「そうです。よろしくお願いします。」と言うと「兄さん、何でこんな所で働きたいんだい?若いんだから三条にも四条にも沢山働き口はあるんじゃないのかい?」

「大変恥ずかしいんですが、僕はまだやりたいことが見つかっていないんです。自分の向かう方向というか…でもこちらの料理を頂いて、僕も誰かを幸せにする料理を作ってみたいと思ったのです。」

「それは立派だ…と言いたいところだが、俺は口では人は判断しない。まずはテストに合格したら見習いとして俺のサポートをしてもらう。出来なければ俺は文句は言わない。いつでもこの店を去ってくれて構わない。」

「分かりました。僕は何をすれば良いですか?」

男性は玉ねぎの箱を指差した。

「玉ねぎの皮を…むいてみてくれ。」

「えっ?玉ねぎですか?」

調理師の専門学校に通っているわけでもなく、カレーや他の料理のつけ合わせぐらいしか作ったことのない僕には一箱の玉ねぎを剥くのは大変な作業だった。

男性が「残念だが…お前さんは向いていないよ…
諦めた方がいい。そうだな…15分くらいがタイムリミットだな…」と言うと、奥からこの間のポニーテールの女性が出てきて、「父さん…初めてだから少し教えてあげたらどうなの?何も分からないで誰も上手く行く筈無いじゃない。」と僕を庇ってくれた。

「でもな…雪、下ごしらえも出来なければこの先、しんどいのは自分自身だよ。思いつきなんかで出来る世界じゃないんだよ。俺も最初は何も出来なかった。何年もかけて自分自身の腕を磨いていくんだ。」

僕は自分自身の甘さを思い知った…

やりたいことが見つからないから大学生活の中で勉強して会社に入ってまたそこで勉強して…そんな風に考えていた人間がいきなりプロの料理人になりたいなんてそりゃ失礼な話だ。

ただ、今まで自分は無理だと思うことにも人の手を借りながら失敗を恐れずにチャレンジしてきた。やりたいことをこれくらいで諦めてもいいのか?

「すみません、今は出来ません。少し考える時間を貰えませんか?」

「俺は構わないよ。ただ、テストにアルバイト料は払えないがそれでも良ければ。」

「勿論、結構です。ありがとうございます。」

僕は皮を剥くのに30分以上かかっている。
半分以上の時間を短縮するにはやり方を根本から変えないとダメである。

その時、偶然ポニーテールの娘さんがマッシュポテトのボウルにラップをかけていた…

それを見て僕はある考えが浮かんだ…
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