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博愛
しおりを挟む「ティナ…しかしな、ちょっと困った事があるんじゃ。
ワシも…もういい歳じゃ。このまま国王の職を務め続けることは出来ない…
かといって人間の婿殿に押し付ける訳にはいかん…
ワシとシルヴァは婿殿の人となりを理解出来たが、国民は人間が自分達の上に立つという事が気に喰わない者も居る筈じゃ…
ミスとリルが大きくなってこの国を任せるまでにはちと時間がな…」
「分かりました!お父様…では、私が王女としてこの国を治めます!」
「し、しかしのう…ジュエラ王国も、他の二国も普通は王は男性が…」
「いいじゃありませんか?あなた…」
「シルヴァ…」
「私達の娘、ティナならやってくれますよ…あんなに素敵な旦那様を見つけてきたんですもの…視界の狭かった私達よりもずっと素晴らしい事をこの国にもたらせてくれる筈です…」
「そうなの…お父様…私、いつか人間界と私達、魔界が仲良く出来るようにしたい…
私、考えたわ…何故人間界と魔界が仲良く出来なかったのかを…お互いに知ってもらう努力をしてないからよ…
人間は魔法使いを恐れて魔女狩りなどを繰り返してきた…私達はそれを恨みに思って人間を下等動物だと思って来た…これじゃ仲良く出来る筈ないわ…
私のダーリン…優也さん達、人間は魔法使いより非力で魔法を使えない…でも一つだけ私達より素晴らしいものを持っている…」
「ほう…それは…一体何じゃ?」
「人の気持ちを理解して寄り添う…博愛の精神です。この何百年の間に人間はお父様やお母様が言われる野蛮で自分勝手な種族からお互いの事を思い遣る事の出来る素晴らしい種族に進化してます…
優也さんの周りにはそんな優しさで溢れた人ばかりで私が人間界でお世話になった方は私を大切にしてくださる方しかおられませんでしたよ…
彼が優しくて素晴らしい心を持っているのも納得がいく筈です。」
「なるほどのう…」
「私、人間の素晴らしい旦那様がいることを国民に伝えます…そして私が幸せな事を見てもらう事で人間と私達が共存していけると証明していくつもりです…旦那様にも協力して貰いますわ…」
「勿論だよ…ティナ…僕はこの世界の事は何も理解《わか》らないけど、君が困った時には二人で力を合わせて乗り越えて行こう…」
「ティナ…お前は立派になったのう…婿殿…本当にありがとう!!感謝しておるぞ!!
あいわかった!!それでは国王はティナ…大臣はラリー!お前に任せる…」
「ええっ!!兄上…」
「お前もいい歳だが…ティナと婿殿…これからのジュエラ王国が繁栄するように後見役として導いてやってくれ…」
「兄上…兄上とシルヴァさんはこれからどうするのですか?」
「そんな事は決まっているではないか…ティナは婿殿の所に嫁いだとはいえ、国王の仕事にミスとリルを連れて王宮に来るだろう…ワシとシルヴァはミスちゃんとリルくんのお世話をするのじゃよ…ははは…のう、シルヴァよ!」
「ええ、これから毎日が楽しくなりそうだわ!」
こうして僕の奥様は魔界の国の王…魔王女となった…
また素敵な家族が増えて僕は本当に嬉しかったが、魔界と繋がりが出来た事でとんでもないドタバタ劇に巻き込まれていく事をこの時の僕はまだ知らなかった…
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