41 / 104
抽出
しおりを挟む
一時間経って起き出していくと、丁度アイラがお風呂から出てきた瞬間だった。
すぐにお風呂を勧められたところを見ると、これは偶然じゃなくてタイミングを見計らってるんだろうなぁ……
きっと、私がお風呂を上がる頃には彼女は寝ているに違いない。
干しておいた下着が乾いているのを確認しつつ、お着替えを用意したら、私もお風呂タイムだ。
そういえば、この湯船や床もあったか素材で作り直したいな。
お湯に浸かりつつ、そんなことをふと思う。
まあ、あったか素材が手に入ってないから無理なんだけど。
”湯船、から、”冷気”、の、”抽出”が、できます。”抽出”、します、か?”
そんなことを考えていたら、頭の中にアナウンスが流れた。
え? ”抽出”?
”抽出”って、錬金釜は要らないの?
頭の中は疑問符でいっぱいだ。
いやいや、それよりも”冷気”を取り払えるっていうのなら是非ともお願いしたい。
そう考えるのと同時に、体に”錬金術”を使っている時によく感じる疲労感が襲ってきて、手の中に小さな塊が現れる。
上手く”抽出”ができたのかを確かめようと、お風呂の床部分に手を触れてみると、風呂釜と比べて明らかに冷たい。
ってことは、コレが抽出された”冷気”ってヤツ?
早速”検索”先生にお伺いしてみると、返ってきたのは『氷結晶』だというお返事。
”冷気”を抽出して固めると『氷結晶』になる、ってことなんだろうか。
残りの体力を確認してみて、ユニットバスの床部分に手を触れつつ”抽出”。
新たに、もう一つ。『氷結晶』が私の手の中に現れた。
二つとも一旦、”データストレージ”にしまい込んでお風呂タイムの続きを楽しむ。
なんだか、お湯が冷えていく速度が落ちたお陰で追い焚きがほとんど必要なくて楽ちんになった……気がする。
そもそもが気温が低いので、お湯が冷めるのが早いのは大して変わらないかも。
ところで、魔力の回復時間がいつもの半分くらいですんだんだけど、なにか変わったのかな?
試しにお湯を”検索”してみたら、『魔力水レベル2』という表示。
どうやら、いつもとはお湯が違っていたらしい。
このお湯も一旦”データストレージ”に片付けて……
まだ、お昼ごはんには早い時間だけど、下準備くらいはしてしまうことにしようと錬金室に向かう。
ちなみに、大きな物も作れるように、大きめに作った錬金室なんだけど……
この部屋の中で本来なら主役のはずの錬金釜は、入口の横に押しやられ、すでにここは食料庫ですと言わんばかりの状態。
脱穀済の雪原草、どうしてここに積んであるんだろうね、アイラ?
別口で食料庫も作ったほうがいいんだろうなぁ……
食料庫とは別に、素材置場も。
それでもここに置かれそうな予感がして仕方ないのは、きっと気のせい。
一番大きく作っていた土鍋に詰め込まれた、脱穀済みの雪原草を半分錬金釜に放り込むと、クワの柄を使って中をグールグル。
アイラは、体力が回復するからと言ってピタパンを気に入ってたみたいだから、乾麺を二種類作るつもり。
乾麺にした理由は、”データストレージ”に入れなくても痛みづらいはずだから。
生だと、早く食べないといけない気がして落ち着かないよね。
うどんとパスタを5kgづつ作り終わると、保存用の容器を作る。
容器の方は鉄製で密封できるやつ……と思っていたら、大きなお弁当箱風の容れ物が出来上がった。――どこからパッキンは生まれてきたんだろう?
まぁ、いっか。密封できる容器が出来たんなら、何でも。
後は――、ちょっと悩んでから、今日獲ったばかりの鳥のガラを取り出す。コレから旨味成分を抜き出して、『鶏ガラスープの素』でも作ってしまおう。
大きい鳥と小さい鳥の二種類いたし、念のために別々で。
出来上がった『鶏ガラスープの素』を入れるように小さなツボを二つ作って、午前中の”錬金術”は終了!
それにしても、”データストレージ”って便利だよね。欲しいと思った状態で、中に入れたものが取り出せるなんて。
ちょっぴり小腹がすいたので、ピタパンを五枚、ペロリといったのは、アイラには内緒です。
すぐにお風呂を勧められたところを見ると、これは偶然じゃなくてタイミングを見計らってるんだろうなぁ……
きっと、私がお風呂を上がる頃には彼女は寝ているに違いない。
干しておいた下着が乾いているのを確認しつつ、お着替えを用意したら、私もお風呂タイムだ。
そういえば、この湯船や床もあったか素材で作り直したいな。
お湯に浸かりつつ、そんなことをふと思う。
まあ、あったか素材が手に入ってないから無理なんだけど。
”湯船、から、”冷気”、の、”抽出”が、できます。”抽出”、します、か?”
そんなことを考えていたら、頭の中にアナウンスが流れた。
え? ”抽出”?
”抽出”って、錬金釜は要らないの?
頭の中は疑問符でいっぱいだ。
いやいや、それよりも”冷気”を取り払えるっていうのなら是非ともお願いしたい。
そう考えるのと同時に、体に”錬金術”を使っている時によく感じる疲労感が襲ってきて、手の中に小さな塊が現れる。
上手く”抽出”ができたのかを確かめようと、お風呂の床部分に手を触れてみると、風呂釜と比べて明らかに冷たい。
ってことは、コレが抽出された”冷気”ってヤツ?
早速”検索”先生にお伺いしてみると、返ってきたのは『氷結晶』だというお返事。
”冷気”を抽出して固めると『氷結晶』になる、ってことなんだろうか。
残りの体力を確認してみて、ユニットバスの床部分に手を触れつつ”抽出”。
新たに、もう一つ。『氷結晶』が私の手の中に現れた。
二つとも一旦、”データストレージ”にしまい込んでお風呂タイムの続きを楽しむ。
なんだか、お湯が冷えていく速度が落ちたお陰で追い焚きがほとんど必要なくて楽ちんになった……気がする。
そもそもが気温が低いので、お湯が冷めるのが早いのは大して変わらないかも。
ところで、魔力の回復時間がいつもの半分くらいですんだんだけど、なにか変わったのかな?
試しにお湯を”検索”してみたら、『魔力水レベル2』という表示。
どうやら、いつもとはお湯が違っていたらしい。
このお湯も一旦”データストレージ”に片付けて……
まだ、お昼ごはんには早い時間だけど、下準備くらいはしてしまうことにしようと錬金室に向かう。
ちなみに、大きな物も作れるように、大きめに作った錬金室なんだけど……
この部屋の中で本来なら主役のはずの錬金釜は、入口の横に押しやられ、すでにここは食料庫ですと言わんばかりの状態。
脱穀済の雪原草、どうしてここに積んであるんだろうね、アイラ?
別口で食料庫も作ったほうがいいんだろうなぁ……
食料庫とは別に、素材置場も。
それでもここに置かれそうな予感がして仕方ないのは、きっと気のせい。
一番大きく作っていた土鍋に詰め込まれた、脱穀済みの雪原草を半分錬金釜に放り込むと、クワの柄を使って中をグールグル。
アイラは、体力が回復するからと言ってピタパンを気に入ってたみたいだから、乾麺を二種類作るつもり。
乾麺にした理由は、”データストレージ”に入れなくても痛みづらいはずだから。
生だと、早く食べないといけない気がして落ち着かないよね。
うどんとパスタを5kgづつ作り終わると、保存用の容器を作る。
容器の方は鉄製で密封できるやつ……と思っていたら、大きなお弁当箱風の容れ物が出来上がった。――どこからパッキンは生まれてきたんだろう?
まぁ、いっか。密封できる容器が出来たんなら、何でも。
後は――、ちょっと悩んでから、今日獲ったばかりの鳥のガラを取り出す。コレから旨味成分を抜き出して、『鶏ガラスープの素』でも作ってしまおう。
大きい鳥と小さい鳥の二種類いたし、念のために別々で。
出来上がった『鶏ガラスープの素』を入れるように小さなツボを二つ作って、午前中の”錬金術”は終了!
それにしても、”データストレージ”って便利だよね。欲しいと思った状態で、中に入れたものが取り出せるなんて。
ちょっぴり小腹がすいたので、ピタパンを五枚、ペロリといったのは、アイラには内緒です。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる