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ミルクスープと山賊焼き
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目が覚めたら、もう十一時。
アイラは既に一度起きて、畑仕事をしてきたみたいで横でぐっすり眠ってる。次に起きてくる前にご飯を作らなきゃ。
手持ちの食材を思い浮かべながら、今日のお昼ご飯に何を作るか考える。
主食は花粉米でいいとして、スープと肉料理はどうしよう?
ミルクもあるし、折角だから鳥系の胸肉を使ってミルクスープでも作ろうか。体も温まりそうでいいよね。
お肉は、鳥つながりでアージョンとスージョンの手羽元の山賊焼き!
ひっそりと、キッチンの一角に石窯オーブンっぽいものを作ってあるから、そろそろ使ってみたかったんだよね。山賊焼きは、味付けを終えればオーブンに放り込んで焼くだけでいいだけと言うお手軽料理。手間がかからない割に美味しいのもいいよね。
早速材料を用意して、順繰りに下ごしらえ。山賊焼き用の肉に下味を染み込ませる間に、スープ用のオニオンフラワーを炒める。今日はオニオンフラワーが透き通ってきたところで、一口サイズに切った胸肉を追加。表面に火が通ったところでフェットミルクを入れてから味を整えれば、ミルクスープは出来上がり。
味の染みた手羽元を耐熱皿にのせてから、オーブンに入れたら山賊焼きはしばらく放置だ。その間に、花粉米も用意しよう。
ご飯が炊けて山賊焼きが出来上がるまで、ちょっと時間が出来たので錬金釜の前に移動する。どうも、錬金術で作った包丁の切れ味が悪すぎるので、試しに砥石を作って研いでみようと思った次第。
なんとなくだけど、錬金術で作った刃物には刃がついてない用に感じるんだよね。アイラのために作ったナタやら小刀も、多分そう。形だけはソレらしく出来てるし、曲がりなりにも金属製だから多少は切れる。
でも、切れない刃物ほど怖いものもない。研いでなんとかなるなら、やっておこうという方向性です。
私が怪我をするのは自業自得だけど、アイラが怪我をするのは絶対に嫌なので。
荒砥と中砥を作ったところで、ご飯が完成。アイラがまだ起きてこないし、一本、試しに研いでみる。
シャーコシャーコと表面に時々水を足しながら研いでいくと、少しづつ刃らしきものが出来上がっていく。――ような気がする。
「キレイに研げた?」
一心に研いでいたせいで、時間を忘れていたらしい。
声をかけられて、ハッと我に返る。
「あ、ああ。うん、多分?」
家で使う包丁なら、こんなもんかなーという程度には研げてるんじゃないかな。
切れ味がどの程度上がったのかは、良くわからないけど。
「お昼ごはん食べ終わったら、試し切りしてみたら?」
「そうする。アイラもお腹、空いてるもんね」
「もう、ペッコペコ! 今日のお昼はなーに?」
「今日はミルクスープと、手羽元の山賊焼き」
ウキウキした顔で席につくアイラの前に、出来たてご飯を並べていく。ミルクスープは、手持ちにスープ皿がなかったので耐熱皿で代用。
ご飯も相変わらず飯盒だし、スープ皿も作らないとなぁ……
二人で「いただきます」と手を合わせてから、早速、山賊焼きにかぶりつく。
お行儀悪く、手づかみでいくのが私のオススメ。気分的にその方が美味しい気がするんだよね。
もちろん、汚れた手を拭くための濡れタオルも用意済み。
下味がきっちり染み込んだ手羽元は、こんがりジューシーに仕上がっていて、肉汁と混じり合った甘辛さが素晴らしい。アイラも、ほっぺを抑えて幸せそうな表情をしているから、同じ様に感じているのかも。
「ライスウッドで、お椀の類も作ってみようかしら」
「ご飯、ずっと飯盒だもんね」
「それもあるけど、私の木工の腕を磨くためにもいいじゃない?」
「じゃあ、お任せします」
と言う訳で、お茶碗と汁椀はアイラに丸投げ。他にもコップやカトラリー類を作ってくれるらしい。
カトラリー類といえば、ステーキ用のナイフやフォークも作らなきゃ。
夜は、ステーキを焼くことにしよう。スープはオニオングラタンスープで!
「ミルクスープも、優しいお味ね」
「温まるねぇ」
ミルクスープは、トロリとさせる用の粉を入れてないからサラッとしていて、クリームシチューとはまた違った雰囲気だ。
ミルクスープって、ちょっと味がぼんやりとしてしまいがちだけど、ホットベリーの種がいい塩梅でピリッと引き締めてくれた。コショウの代用品として、きっちりといい仕事をしてくれてます。
「この後、レイちゃんは何をする予定?」
アイラに問われて、少し悩む。
なにせ、やりたいことは沢山あるんだよ。ただ、”データストレージ”の容量の問題で拡張工事は出来ない。中身を目減りさせるためには、今入ってる分を”分離”させる必要があるんだけど、結構な量があるからいつまで掛かることやら……
ざっと計算してみたら、昨日、畑を拡張する時に出た分全て分離すると、なんと八百回近くグルグルしないとならない。……無理無理。
なんか、いい手はないかなぁ……
本当は、いつもみたいに外に捨てに行ければラクなんだけどね……
アイラは既に一度起きて、畑仕事をしてきたみたいで横でぐっすり眠ってる。次に起きてくる前にご飯を作らなきゃ。
手持ちの食材を思い浮かべながら、今日のお昼ご飯に何を作るか考える。
主食は花粉米でいいとして、スープと肉料理はどうしよう?
ミルクもあるし、折角だから鳥系の胸肉を使ってミルクスープでも作ろうか。体も温まりそうでいいよね。
お肉は、鳥つながりでアージョンとスージョンの手羽元の山賊焼き!
ひっそりと、キッチンの一角に石窯オーブンっぽいものを作ってあるから、そろそろ使ってみたかったんだよね。山賊焼きは、味付けを終えればオーブンに放り込んで焼くだけでいいだけと言うお手軽料理。手間がかからない割に美味しいのもいいよね。
早速材料を用意して、順繰りに下ごしらえ。山賊焼き用の肉に下味を染み込ませる間に、スープ用のオニオンフラワーを炒める。今日はオニオンフラワーが透き通ってきたところで、一口サイズに切った胸肉を追加。表面に火が通ったところでフェットミルクを入れてから味を整えれば、ミルクスープは出来上がり。
味の染みた手羽元を耐熱皿にのせてから、オーブンに入れたら山賊焼きはしばらく放置だ。その間に、花粉米も用意しよう。
ご飯が炊けて山賊焼きが出来上がるまで、ちょっと時間が出来たので錬金釜の前に移動する。どうも、錬金術で作った包丁の切れ味が悪すぎるので、試しに砥石を作って研いでみようと思った次第。
なんとなくだけど、錬金術で作った刃物には刃がついてない用に感じるんだよね。アイラのために作ったナタやら小刀も、多分そう。形だけはソレらしく出来てるし、曲がりなりにも金属製だから多少は切れる。
でも、切れない刃物ほど怖いものもない。研いでなんとかなるなら、やっておこうという方向性です。
私が怪我をするのは自業自得だけど、アイラが怪我をするのは絶対に嫌なので。
荒砥と中砥を作ったところで、ご飯が完成。アイラがまだ起きてこないし、一本、試しに研いでみる。
シャーコシャーコと表面に時々水を足しながら研いでいくと、少しづつ刃らしきものが出来上がっていく。――ような気がする。
「キレイに研げた?」
一心に研いでいたせいで、時間を忘れていたらしい。
声をかけられて、ハッと我に返る。
「あ、ああ。うん、多分?」
家で使う包丁なら、こんなもんかなーという程度には研げてるんじゃないかな。
切れ味がどの程度上がったのかは、良くわからないけど。
「お昼ごはん食べ終わったら、試し切りしてみたら?」
「そうする。アイラもお腹、空いてるもんね」
「もう、ペッコペコ! 今日のお昼はなーに?」
「今日はミルクスープと、手羽元の山賊焼き」
ウキウキした顔で席につくアイラの前に、出来たてご飯を並べていく。ミルクスープは、手持ちにスープ皿がなかったので耐熱皿で代用。
ご飯も相変わらず飯盒だし、スープ皿も作らないとなぁ……
二人で「いただきます」と手を合わせてから、早速、山賊焼きにかぶりつく。
お行儀悪く、手づかみでいくのが私のオススメ。気分的にその方が美味しい気がするんだよね。
もちろん、汚れた手を拭くための濡れタオルも用意済み。
下味がきっちり染み込んだ手羽元は、こんがりジューシーに仕上がっていて、肉汁と混じり合った甘辛さが素晴らしい。アイラも、ほっぺを抑えて幸せそうな表情をしているから、同じ様に感じているのかも。
「ライスウッドで、お椀の類も作ってみようかしら」
「ご飯、ずっと飯盒だもんね」
「それもあるけど、私の木工の腕を磨くためにもいいじゃない?」
「じゃあ、お任せします」
と言う訳で、お茶碗と汁椀はアイラに丸投げ。他にもコップやカトラリー類を作ってくれるらしい。
カトラリー類といえば、ステーキ用のナイフやフォークも作らなきゃ。
夜は、ステーキを焼くことにしよう。スープはオニオングラタンスープで!
「ミルクスープも、優しいお味ね」
「温まるねぇ」
ミルクスープは、トロリとさせる用の粉を入れてないからサラッとしていて、クリームシチューとはまた違った雰囲気だ。
ミルクスープって、ちょっと味がぼんやりとしてしまいがちだけど、ホットベリーの種がいい塩梅でピリッと引き締めてくれた。コショウの代用品として、きっちりといい仕事をしてくれてます。
「この後、レイちゃんは何をする予定?」
アイラに問われて、少し悩む。
なにせ、やりたいことは沢山あるんだよ。ただ、”データストレージ”の容量の問題で拡張工事は出来ない。中身を目減りさせるためには、今入ってる分を”分離”させる必要があるんだけど、結構な量があるからいつまで掛かることやら……
ざっと計算してみたら、昨日、畑を拡張する時に出た分全て分離すると、なんと八百回近くグルグルしないとならない。……無理無理。
なんか、いい手はないかなぁ……
本当は、いつもみたいに外に捨てに行ければラクなんだけどね……
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