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第一夜
★生産施設
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リリンはイカ下足君から聞いた情報をすぐにでも試したそうな素振りを見せたものの、私のレベル上げの方を優先する事にしたようだった。
「いいのかね?」
「んー……。生産はアルと一緒にやれるようになってからの楽しみに取っておく。」
そう答えた彼女の表情に嘘は見えなかったので、私はそれで納得する事にした。
確かにそれも一理ある。
一緒に試行錯誤するのもまた、楽しみの一つだ。
私達はせっせとクエストを受けては達成する事を繰り返し、レベルを上げて行った。
クエストを請けるための移動の合間に話し合って、リリンが体力回復用の『調理』だからと、私の生産スキルは精神力を回復するアイテムを作成できる『調薬』を取得する事に決まった。
探索スキルは、彼女は『食材採集』と『糸採取』で、私は『薬材採集』と『解体』に。
解体に関しては、ゲーム外で行う事が出来る物の、現実のものとの差異に対応できないという判断で取得の決断をした。
実際に取得してみると、LV1では『植物解体』と言う物でウサギの解体は出来ないと分かって落胆したのだが……。
ただ、このスキルを使う事で、薬草やハーブと言う大雑把な分類にされていた代物の仕分けが出来たのでこれはこれで良いと言う評価に落ち着いた。
戦闘系は、彼女が前衛を努めると言って『杖術』と『盾術』を取り、私は『回避』を選択。
魔法スキルに関しては、『火』と『水』の魔法を彼女に取得して貰い、私は『風』の魔法を取得する事になった。
「やっと、生産に入れるね~♪」
「うむ。」
彼女のネコ尻尾は、機嫌のよさを示してゆらゆらと楽しげに揺れている。
「君は本当に、物を作るのが好きなのだな。」
「だって……ゲームの中でとはいえ、自分の作ったものを喜んで使って貰えるのって嬉しいじゃない?」
その時の事を想像したのか、口元がニマニマと緩んでいる。
他のゲームの時もそうだったが、彼女は本当にそういった楽しみ方が好きなのだ。
自分の世界で私はモノ作りを生業としているものの、そういう感情を抱いた事がなかった為、初めは戸惑ったものだが、今は少しだけその気持ちが分かってきたような気がする。
だからこそ、心の底から嬉しげな様子で物作りに対する情熱を語る彼女の姿が、素直に可愛らしいと感じられた。
「君の、そういう所に私はとても惹かれるのだな。」
思わずポロリと、そんな言葉が口から飛び出した。
頭の中で思うだけにしておこうと思っていたのに。
案の定、その言葉を聞いた彼女は顔を赤らめて尻尾をピンと空に向かって突き立てた。
私は、足の止まってしまった彼女をドサクサに紛れて横抱きにすると、生産施設のある場所へと足を向ける。途中でハッと我に返った彼女に降ろすよう言われたが、聞こえないふりでやり過ごした。
生産施設は、町の北西寄りの門にほど近い場所にある巨大な建物の中にあって、周りの建物と比べると少し異質にみえる。
この施設を使用する際の決まりごとは、入場する際の利用料100Gで1時間の間だけ中の施設を使用でき、利用時間を過ぎた分は後で追加徴収されると言うものだった。
成程、これなら思いの外早く作業が終わっても余分に取られる金額が少なくてすむ上に、施設側としても取っぱぐれないと言う訳らしい。
私達は入り口で利用料の100Gを支払うと中の施設へと向かう。
建物の中には、生産スキルの種類に併せた大部屋が幾つか用意されており、それぞれの入口で必要になる各種小道具の販売がされている。
リリンは調理施設の入り口でフライパンを購入すると、品物と一緒に紙を一枚受け取った。
「それは?」
何か書いてあるように見えたので訊ねてみると、彼女はその紙をピラピラさせながら笑顔を浮かべた。
「これはね、レシピ。」
「レシピ……かね?」
「生産用の道具を買うと、道具に応じたレシピを1枚くれるの。」
「ほう。」
「なんか、ランダムらしくてね?最初に買った奴は『目玉焼き』のレシピが付いてきたんだけど、今度のは『シュタールラビットソテー』だって。」
「『調薬』で作れるのはハーブティとなっているのだが、同じ場所で作業できるのかね?」
「問題ございません。」
私の疑問の答えは、リリンではなく目の前の販売員NPCからもたらされた。
言われるままに大きなヤカンを購入すると、リリンが貰ったものと同じ様な紙が渡される。
☆生ハーブティの淹れ方☆
材料 生ハーブ1束 / お湯 4L / 水筒 20個
サッと目を通してみると、材料に含まれている水筒が足りないので買い足す事にした。
カップ一杯分の飲み物が入るサイズの水筒は、100個1セットで100Gで、一つ当たりの金額に直すと随分と安い。この1セットの購入で5回分作れる様だ。
念の為、ヤカンの方の情報も確認してみると、今購入した夜間は10回しか使用できない事が分かった。
ゲームではよくある消耗品の扱いかと納得すると、リリンの後に着いて調理室の中へと進んだ。
「いいのかね?」
「んー……。生産はアルと一緒にやれるようになってからの楽しみに取っておく。」
そう答えた彼女の表情に嘘は見えなかったので、私はそれで納得する事にした。
確かにそれも一理ある。
一緒に試行錯誤するのもまた、楽しみの一つだ。
私達はせっせとクエストを受けては達成する事を繰り返し、レベルを上げて行った。
クエストを請けるための移動の合間に話し合って、リリンが体力回復用の『調理』だからと、私の生産スキルは精神力を回復するアイテムを作成できる『調薬』を取得する事に決まった。
探索スキルは、彼女は『食材採集』と『糸採取』で、私は『薬材採集』と『解体』に。
解体に関しては、ゲーム外で行う事が出来る物の、現実のものとの差異に対応できないという判断で取得の決断をした。
実際に取得してみると、LV1では『植物解体』と言う物でウサギの解体は出来ないと分かって落胆したのだが……。
ただ、このスキルを使う事で、薬草やハーブと言う大雑把な分類にされていた代物の仕分けが出来たのでこれはこれで良いと言う評価に落ち着いた。
戦闘系は、彼女が前衛を努めると言って『杖術』と『盾術』を取り、私は『回避』を選択。
魔法スキルに関しては、『火』と『水』の魔法を彼女に取得して貰い、私は『風』の魔法を取得する事になった。
「やっと、生産に入れるね~♪」
「うむ。」
彼女のネコ尻尾は、機嫌のよさを示してゆらゆらと楽しげに揺れている。
「君は本当に、物を作るのが好きなのだな。」
「だって……ゲームの中でとはいえ、自分の作ったものを喜んで使って貰えるのって嬉しいじゃない?」
その時の事を想像したのか、口元がニマニマと緩んでいる。
他のゲームの時もそうだったが、彼女は本当にそういった楽しみ方が好きなのだ。
自分の世界で私はモノ作りを生業としているものの、そういう感情を抱いた事がなかった為、初めは戸惑ったものだが、今は少しだけその気持ちが分かってきたような気がする。
だからこそ、心の底から嬉しげな様子で物作りに対する情熱を語る彼女の姿が、素直に可愛らしいと感じられた。
「君の、そういう所に私はとても惹かれるのだな。」
思わずポロリと、そんな言葉が口から飛び出した。
頭の中で思うだけにしておこうと思っていたのに。
案の定、その言葉を聞いた彼女は顔を赤らめて尻尾をピンと空に向かって突き立てた。
私は、足の止まってしまった彼女をドサクサに紛れて横抱きにすると、生産施設のある場所へと足を向ける。途中でハッと我に返った彼女に降ろすよう言われたが、聞こえないふりでやり過ごした。
生産施設は、町の北西寄りの門にほど近い場所にある巨大な建物の中にあって、周りの建物と比べると少し異質にみえる。
この施設を使用する際の決まりごとは、入場する際の利用料100Gで1時間の間だけ中の施設を使用でき、利用時間を過ぎた分は後で追加徴収されると言うものだった。
成程、これなら思いの外早く作業が終わっても余分に取られる金額が少なくてすむ上に、施設側としても取っぱぐれないと言う訳らしい。
私達は入り口で利用料の100Gを支払うと中の施設へと向かう。
建物の中には、生産スキルの種類に併せた大部屋が幾つか用意されており、それぞれの入口で必要になる各種小道具の販売がされている。
リリンは調理施設の入り口でフライパンを購入すると、品物と一緒に紙を一枚受け取った。
「それは?」
何か書いてあるように見えたので訊ねてみると、彼女はその紙をピラピラさせながら笑顔を浮かべた。
「これはね、レシピ。」
「レシピ……かね?」
「生産用の道具を買うと、道具に応じたレシピを1枚くれるの。」
「ほう。」
「なんか、ランダムらしくてね?最初に買った奴は『目玉焼き』のレシピが付いてきたんだけど、今度のは『シュタールラビットソテー』だって。」
「『調薬』で作れるのはハーブティとなっているのだが、同じ場所で作業できるのかね?」
「問題ございません。」
私の疑問の答えは、リリンではなく目の前の販売員NPCからもたらされた。
言われるままに大きなヤカンを購入すると、リリンが貰ったものと同じ様な紙が渡される。
☆生ハーブティの淹れ方☆
材料 生ハーブ1束 / お湯 4L / 水筒 20個
サッと目を通してみると、材料に含まれている水筒が足りないので買い足す事にした。
カップ一杯分の飲み物が入るサイズの水筒は、100個1セットで100Gで、一つ当たりの金額に直すと随分と安い。この1セットの購入で5回分作れる様だ。
念の為、ヤカンの方の情報も確認してみると、今購入した夜間は10回しか使用できない事が分かった。
ゲームではよくある消耗品の扱いかと納得すると、リリンの後に着いて調理室の中へと進んだ。
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